キャットストリートと明治通りのちょうど中間の路地裏。ブランドのフラッグシップショップや、感度の高いセレクトショップなどがひしめき合うこの場所に、ほかのそれとは少し異なるうどん屋が9月10日(月)に誕生します。お店の名前は「麺散(めんちらし)」です。
讃岐うどん専門店とのことですが、なにやら一風変わっているという噂を聞き、フイナム編集部はプレオープン期間中に潜入取材を敢行しました。
扉を開けると店内はご覧の通り。左手には目の前にはさみ焼きが敷き詰められたカウンター、奥にはまるで料亭のような雰囲気を感じさせる “和” なスペース。目に留まるところには、なんだか気になるものばかり。
普通のうどん屋ではまず考えられない、什器のラインナップ。ファッションシーンと繋がっている人がいるはず…と勘繰っていると、やっぱりいました仕掛け人。
「ほんと写真とかいいっす!前に出るような人間じゃないので!」と謙遜しながらも、少し引きつり気味の表情でパシャり。しかし、ディレクションを手がける岡田さんがいなければこのお店は成り立ちません。
「どういう経緯でこんな什器が揃ったんですか?」という質問を投げかけると「みんな遊び仲間なんです」と一言。簡単に実現しない驚くべきことですが、これぞストリートの感覚。岡田さんのフランクながらも真っ直ぐな姿勢をみると納得します。
実はこの「麺散」をオープンさせたのは、原宿にあるギャラリースペース「BA-TSU ART GALLERY」や「COMMON」などの運営をするクリエイティブエージェンシー「en one tokyo」。なるほど、異業種が参入することで発生したクリエイティビティやコネクションが、このファッションと飲食店を行き来する平衡感覚を生み出しているようです。
さて、本題のうどんへ。ぶっかけと冷やかけの基本の「キ」2種を頂きました。三たて(打ちたて・切りたて・茹でたて)にこだわって打たれたつるつるっと箸に纏わりつくうどんを口に運ぶと、そうそうコレ! と言いたくなる讃岐ならではのコシがやはりありました。そしてなんとお値段450円! ほかにも焼うどんなど多彩なメニューが揃います。
さっぱりとしていて、歯ざわりも良い。「東京には讃岐を本気でやっているお店がどうしても少ないから、一切の妥協はしません」と岡田さんが語った言葉に嘘はありませんでした。
内側に巻きが入る至極美しい盛り付けも、一切飽きのこない美味しいうどんも、紛れもないヘッドハンティングで「麺散」に移籍してうどんを打つことになった知久平さんの成す技に違いありません。
うどんを盛り付ける器にも、相当こだわったとか。砥部焼、出西、袖師焼きといった伝統ある器の数々が並びます。
「麺散」の大きなポイントとして忘れてはいけないのが、ランチの営業だけではないこと。夜は、お酒を飲んだあと締めに本格さぬきうどんを食べられる原宿初(?)のお店としてお客さんを楽しませます。
最後にひとつ。「麺散」の入り口にはこんなフードトラックが常駐しています。ここでは「出汁巻ホットドック」なるものを販売するのだとか! タイミングによっては、無料配布もあるかも。しかも「en one tokyo」は近い将来、このフードトラックを使ってなにやらポップアップショップをするとかしないとか。しかも持ち帰りのBOXのイラストを書いているのは、雑誌『フイナム・アンプラグド』の表紙でもおなじみ、竹内俊太郎さん! どこまでいってもカルチャーと繋がっていますね。
原宿に突如現れ、異質な空気を放つうどん屋が「麺散」でした。渋谷、原宿に来た際のお昼ご飯にも、近くで働いているファッション好きな方たちにも、かなりオススメ。9月10日(月)のオープンなので一度、足を運んでみてください。
Text_Rei Kawahara
麺散(めんちらし)
住所:東京都渋谷区神宮前6‐13‐7 グランドオム1F
電話:03‐3642‐9898
時間:11:30〜23:30
enone-tokyo.com
Source: フィナム