連載「憧れの逸品」No.18 ロエベは21世紀のアーツ＆クラフツだ。

2017/11/12 TIPS

革の魔術師、〈ロエベ（LOEWE）〉のもうひとつの際立ったチャームポイントは芸術に対する深い理解だ。4つのLを組み合わせた「アナグラム」は好例だろう。そのロゴはスペインの画家、ヴィンセント・ヴェラがつくったものだった。

アーティストのジョン・アレンとコラボレーションしたヴィンテージ家具や手仕事の魅力を伝える国際アワード「クラフトプライズ」はよく知られたところだが、ジョナサン・アンダーソンはこの方面の素養もそなえている。くだんのアナグラムは盟友M/M Parisにオファーし、よりモダンでシンプルなデザインにアップデート、高く評価された。

そんなアンダーソンがクリスマスコレクションのモチーフに選んだのは、ここ200年でもっとも偉大なデザイナーと手放しで褒め称えたウィリアム・モリス。近代デザインに多大な影響を与えたアーツ＆クラフツの旗手だ。

クリスマスコレクションはモリスの作品に加えてここで紹介するブリーチデニムなどオリジナル・プリントで構成されている。御大の作品に並べていささかも見劣りがしないのは、アンダーソンの芸術的感性の確かさを裏付ける。