つくり手ありきのメゾンであることを広く伝えたのがさる3月、表参道ヒルズにお目見えした「エルメスの手しごと」展だった。“アトリエがやってきた” のコピーのとおり、鞍、バッグ、シルクスカーフ、ネクタイ、ジュエリー、時計、手袋など10におよぶ職人の技が披露されるというもので、2011年に始まり、世界を巡回してきたそのイベントは好評裏に幕を閉じた。これを受けて秋には名古屋(10月4日〜9日 会場:KITTE名古屋)、博多(10月14日〜19日 会場:JR博多シティ)でも開催されることが決まった。
チャンスがあればなにはなくとも見ていただきたいのはレザーに携わる職人の仕事ぶりだ。一本の糸を二本の針で縫い上げていくクウジュ・セリエが好例だが、馬具で培った職人技からはきっと目が離せなくなる。これを惜しみなく注ぎ込み、そうして生まれた「オータクロア」「ケリー」「バーキン」はまさにモデル名が一人歩きするほどの人気を博している。
そのような名作に連なるポテンシャルを感じさせた新作が「シティニュース」と「シティスライド」だ。
「シティニュース」は〈エルメス(HERMÈS)〉を代表するカーフ、ヴォー・トーゴを使ったメッセンジャー。背面にポケットを配し、メイン・コンパートメントをフラップ仕様としたそれはメッセンジャーの名にふさわしい機動力がある。ショルダーの「シティスライド」はアクティブなライフスタイルに応えるべくやわらかで軽やかなカーフ、ヴォー・エヴァーグレインを採用した。
いずれもレザー本来のシボや滑るような手触りが味わえ、かつ〈エルメス〉が誇る職人仕事を知るのにもまたとない。破綻のないステッチワークはすでに芸術の域にある。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa
Edit_Ryo Muramatsu
エルメスジャポン
電話:03-3569-3300
www.hermes.com
Source: フィナム