リードイメージザ・ブルータリスト、2025年(映画の一場面)
戦後のヨーロッパの廃墟から這い上がったコンクリートの夢が、ブレイディ・コーベット監督の『ザ・ブルータリスト』に描かれています。この作品は、ラースロー・トート（アドリアン・ブロディ）とハリソン・リー・ヴァン・ビューレン（ガイ・ピアース）という2人の男性の対立を中心に展開されます。トートは、ハンガリーの建築家でホロコースト生存者であり、ペンシルベニア州の田舎に移住した人物で、ビジネスマンであるヴァン・ビューレンが後援者となります。この芸術と商業の不安定な連携は、トートの妻であるエルジェベト（フェリシティ・ジョーンズ）と姪のズォフィア（ラフィー・キャシディ）をアメリカに招き入れ、彼らがヴァン・ビューレン家と共に暮らすことにつながります。また、バウハウス学校の学生で薬物依存症に陥ったトートが、新しいコミュニティセンターのビジョンを実現しようと奮闘する過程も描かれています。
コーベットの映画は、冒頭からその野心を示しており、『ゴッドファーザー PART II』の一場面を上下逆さまにすることで始まり、3時間後にはダニエル・デイ＝ルイスの『血戦』のミルクセーキのシーンを連想させる山の中の場面でピークに達します。この作品は、驚異的な10億ドルで33日間撮影され、15分の休憩を挟みながらも、その制作費の一部で製作されたアメリカの神話創造の叙事詩です（今年のオスカーで10部門にノミネートされています）。
以下、ブレイディ・コーベットが『ザ・ブルータリスト』の制作に苦労した点や、トートの揺るぎないビジョンを通じて、アメリカの戦後社会についての映画が私たち自身の未来への関係を物語る方法について考察しています。
アレックス・デニー：戦争は巨大な規模で苦しみをもたらし、人々に人間であることの意味を問わせました。それでも、『ザ・ブルータリスト』のように、未来を夢見続ける人々がいました。
ブレイディ・コーベット：第二次世界大戦で失われた命については話題になりますが、生活が失われたことについてはあまり話されません。もちろん、人間の命に匹敵するものはありませんが、それもまた莫大な損失です。私たちが映画の制作に取り組んでいるとき、バウハウスのアーカイブを訪れた際、これらのアイデアの多くが実現されないままであることに強く訴えられました。私たちは、映画内の建物のデザインにその影響を与えることにしました。これは、1930年代にヨーロッパから脱出できた一握りの芸術家やデザイナーのための記念碑を作るというアイデアでした。実際には、1930年代にヨーロッパから脱出できたのはごく一部の人々だけでした。
AD：文化として、未来を信じることをやめたと感じていますか？
BC：いつもすべてがアーバンアウトフィッターズプレゼンツのように感じられ、新しいファッションはないかのように感じます。時には、新しいものが何も残っていないという恐怖すら感じます。しかし、新しい技術やTikTokなどが私たちに逆説を示してくれる今の時代に生きています。たとえば、ハーモニー・コーリンは、彼の新作の多くをそれに捧げています。新しいものがやってくると確信していますが、まだ何か分からないし、映画製作者たちが実験することを奨励しなければならないと思います。そうしないと、アルゴリズムに屈してしまい、アルゴリズムは新しいデヴィッド・リンチを生み出すことはありません。
