KEEN IN FUJIROCKFESTIVAL
雨のフジロックで、彼らが見たもの。DATS / 山田健人
2017年のフジロックフェスティバルは雨だった。コンディションはまさしく最悪。それでも、空間を、音楽を、祭りを楽しむ姿勢を誰もが見失わなかった。広大なフィールドでは同時多発的にライブが行われ、その全てを網羅することは誰にもできない。だからこそ、フジロックの正体は、個人の体験の中に存在する。フイナムは、4組のアーティストがそれぞれの目で見たフジロックの正体に迫った。足元にKEENを携えて歩き回り、インスタントカメラが捉えたフジロックの姿を、インタビューとともに振り返る。
- Photo_ Shiori Takesue, Seijun Kato
- Edit_Taiyo Nagashima
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DATS
左から杉本亘(Vo./Gt.)、伊原卓哉(Ba.)、早川知輝(Gt.)、大井一彌(Dr.)の4名からなるバンド。2017年、フジロックフェスティバツ2017ではRED MARQUEEの初日トップバッターを飾る。
肯定するわけでも否定するわけでもなくて、「こういう現象が存在する」ということを提示したい。
DATSというバンド名の由来は、記録媒体の「DAT」から来ているんですか?
杉本それもいいですね。もともと意味はなくて。ただ、“ダッツ”って響きが気に入ってつけたバンド名なんです。後付けで、デジタル・アナログ・トランスレーション・システムという意味を持たせました。
インターネットを想起させるワードを用いながら、ライブはあくまでフィジカル。意味としてはしっくり来ますね。
杉本そうなんです。ライブを観ていただくとわかってもらえると思うんですけど、意外と肉体派なんですよ、僕ら。
伊原色々頭では考えつつも、気合いと勢いでライブします。
なるほど。その勢いと裏腹に、楽曲に批評性が込められているのが魅力だと思います。今回のフジロックはライブを撮影する人がたくさんいて、それが印象に残っているのですが、どう感じましたか?
杉本自分たちのライブに関して言えば、やめてほしいとかは思わないですね。そういう時代だと思いますし、いい側面もあるので。
大井今言っていただいた通り、問題提起をする意志はあります。肯定するわけでも否定するわけでもなくて、「こういう現象が存在する」ということを提示したいというか。正しいか正しくないかは僕らもわからないし、それを考えるきっかけになればいいのかなと。
杉本スマホといえば、JETを観ていた時はすごかったですね。『Are You Gonna Be My Girl』が始まった瞬間にみんなスマホをかざして、その曲が終わった瞬間にワッと人がはけて…。
伊原あれは確かにすごかった。
よかったら一緒に楽しんでいかない?というような、一緒に肩を組んでやっていく感覚
『Application』が描くような、インターネット以降の社会を象徴する出来事ですね。今回のアルバムのテーマはどのように決められたんでしょうか?
杉本基本的に僕らは、アルバム単位でコンセプトを決めているんですよ。
早川メンバー全員で話し合って、今回はこれでいこうと決めましたね。
大井コンセプトに関してはかなり綿密に決めます。今回はアルバムのジャケットも写真家のニール・クラッグにお願いしたのですが、デジタルとアナログという相反する要素が絶妙に同居したジャケットが出来上がったと思っています。
楽曲にフォーカスすると『AMAZON』や『NETFLIX』といったタイトルが印象的ですが、どのような制作過程で作られるのでしょう。
杉本全て日本語で歌詞を書いてから、英訳しているんですよ。メンバーそれぞれが歌詞を書いています。
大井英語だからみんなでできた、というところがありますね。DATSは本当に4人で作り上げているバンドなので、この制作の手法も合っていると思っています。ライナーに日本語の歌詞が記載してあるので、ぜひ読んでみてください。
ライブとは、プレゼンテーションの場であり共有する場でもあると思います。フジロックでのライブを拝見して、DATSのライブはその両方の要素を兼ね備えていると感じました。
杉本嬉しいですね。俺らについてこい、っていう感覚も持ちつつ、よかったら一緒に楽しんでいかない?というような、一緒に肩を組んでやっていく感覚を差し出していきたいです。
大井風刺的になりすぎると、プラスとマイナスが生まれるけれど、僕らは風刺でありながらそれを否定も肯定もしていないんですよ。誰にも答えはわからないので。そこのさじ加減が重要なのかなと。
今現在のDATSの集大成と言えるライブができました。
今回、伊原さんがスマホもお金も持たず、缶バッジと交換でファンから食べ物などを受け取る「タクヤを探せ」という企画があって、フレンドリーな側面も魅力だと感じました。
大井みんなでやっていく、という意志は大事にしていますよ。
伊原今回、本当にファンの方に救われました。人間って暖かいなって…。みんなで上がっていきたいですね。
杉本男同士のアツさみたいなものも持っていますね。本当に仲がいいので、そこも含めてバンドの大事な要素だと思っています。
フジロックのライブはいかがでしたか?
大井ライブハウスでやる時は、盛り上がるところがだいたいわかるんですけど、予想していなかったところで反応があったりとか、フジロックならではの感覚がありました。
伊原僕は大御所のライブを観ていて、大きなフェスで舞い上がっちゃったりするんじゃなくて、いつも通り堂々とやっている方がかっこいいと思いましたね。
杉本フジロックを一つの大きな目標として、新体制になってからずっとイメージし続けてきたので、今現在のDATSの集大成と言えるライブができました。演奏についての反省はないですが、さらにでかいところでやるためには今後どうやっていくか、ということを考えなくちゃいけない。俺が前に出るところをどうするかとか、客の意識の流れを読むとか、ここであの人たち帰ったなとか、細かく分析して次につなげていきたいです。
大井僕らがグリーンに立つためには何が必要なのか、逆算して考えています。自分たちは今現在何を持っていて、これから何を得ていけばいいのか。
そこまで考えて行動しているバンドって珍しいのでは?
武居結構いると思いますよ。例えばヨギーニューウェーブスとか。サチモスとか。
天候が悪かったからこそ、シューズの良さを身をもって体感しました。
彼らはそういう意識を持っていますね。そういうバンドが周囲に集まっているのかもしれません。フジロック期間中、他バンドとの交流はありましたか?
杉本友人とはたくさん会いましたね。
伊原僕は前述の通り、スマホもお金も持たずに過ごしていたのですが、それでもたくさんの友人に会えました。楽しかったですね。
KEENはいかがでしたか?
伊原最高でした。雨にも濡れないし。〈キーン〉のおかげで三日間やり切れたと思います。最高すぎて、今も履いてます。これはNEWPORTなんですけど。
絶賛ですね。
伊原全く不満がないです。フジロックの間はTARGHEE EXPを履いていましたが、とにかく水が入らないってのはヤバい。
杉本途中、伊原が僕の〈キーン〉を勝手に履いちゃって、ビッショビショになっちゃって困りましたね。
伊原天候が悪かったからこそ、シューズの良さを身をもって体感しました(笑)。
大井今回は本当に雨が酷かったので、逆に〈キーン〉の魅力を伝えるいい機会になったような気がします。
Source: フィナム