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連載「憧れの逸品」No.81 新旧の色の魔術師が共演したドリス ヴァン ノッテン。

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フィナム

プラスチック一体成型のパントンチェアはデンマークのデザイナー、ヴェルナー・パントンが10年以上の試行錯誤を経て1960年に完成させた。低コストで量産できるプラスチックは、熟練の職人技のみを正義とする旧態依然とした北欧デザインへの強烈なアンチテーゼだった。 ヴェルナーの才はプロダクトにとどまらなかった。いわゆる空間デザインもまた得意とするところであり、かつてない色彩感覚を駆使したそれはミッドセンチュリーに多大な影響をもたらした。 その世界観に感応したのが〈ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)〉。ご存じ、現代の色の魔術師である。 ミッドセンチュリーを象徴する波のようなグラデーションやボディ・パーツをまとったブルゾン、シャツ、パンツ──パントン家の粋なはからいにより、ドリスはアーカイブを自由に組み合わせ、サイズを変えることができた。 パントン家はなぜ、このような大盤振る舞いをしたのか。 パントンチェアを創造したことからも分かるように、ヴェルナーは業界の異端児だった。コペンハーゲン王立美術アカデミーを卒業したヴェルナーはあのアルネヤコブセン事務所で働き始めるも早々に独立し…
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