デザイナーの古賀優介が2018年秋冬シーズンに立ち上げたブランド〈スケアー(scair)〉。
既存の服に〈スケアー〉流の解釈を加えて新しい価値を生み出すことがコンセプトで、原曲の魅力を損なわずに新たな楽曲を生み出すマッシュアップのような取り組みと服を音楽に例えて表現しています。
昨シーズンのヴィジュアルはアートディレクションに写真家・森山大道の写真集をコラージュしたことで有名な、吉田昌平が担当し、モノクロの幽玄な世界を表出させました。今シーズンは “White Camouflage” をテーマに様々なホワイトのスタイルを表現しています。
2シーズンからの新しい取り組みは “定番商品を除くすべてのコレクションアイテムを10着限定の生産” にすること。販売におけるメリットを丸投げした、他に類をみない特異な手法といえるでしょう。
この奥にある狙いは、低価格量産化が進んだファッションの世界におけるバランスの崩れを打破すること。過剰な店舗数や生産数によって落ち込んだ、服が持つ価値の低下に問題提起しています。
日常的に身に纏う服に希少性と個性を見出し、“着る” ことへの価値を再認識させることこそが〈スケアー〉のもくろみ、というわけですね。
2シーズン目にしてファッション界の現状に一石を投じた〈スケアー〉。今後も目が離せないブランドです。
Text_Rei Kawahara
anthings Co.,Ltd.
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Source: フィナム