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Interviews:家族や友人、そして次世代のためにグラインドし続けるナケル・スミス

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最近のNa-Kel Smith(ナケル・スミス)は大忙しだ。Jonah Hill(ジョナ・ヒル)の監督初作品『Mid-90s』での俳優業をはじめ、ミュージシャンとしての精力的な活動からシューズやアパレルのデザイン、もちろんスケートボードまで、Na-Kelは自分の可能性を抑えつけるようなことはしない。読者の方々が信じようが信じまいが、Na-Kelには成功の方程式があるのだ。先日、ロサンゼルスで行われた〈adidas Skateboarding(アディダス スケートボーディング)〉とのイベント、「3 Rooms」もそんな成功例の1つに過ぎない。このNa-Kelがプロデュースしたコレクションのリリース記念イベントでは、〈Brooks Brothers(ブルックス ブラザーズ)〉とコラボレートしたスリーピーススーツをはじめ、スーツにマッチするスタイルながらスケートもできるハイブリッドシューズ Nak-apulco、〈adidas Skateboarding〉と〈Fucking Awesome(ファッキング オウサム)〉がコラボレートしたスケートシューズなどがお披露目された。同コレクションのデザインを手がけただけでなく、イベントスペースのプロデュースにも携わっていたNa-Kel。冒頭でも書いたように、彼は忙しい男なのである。

いかに己のことを理解しているのか、周囲にどう見られたいのか、Na-Kelの考え方を知るまでさほど時間はかからなかった。自らが自分のイメージをコントロールしなければ、他人によってコントロールされてしまうことを彼は知っているのだ。Na-Kelが発する言葉は自信に満ちあふれている。自分自身であることに堂々としている。自分が何を求めているのかを明確にわかっている。戦略的なのかどうかは定かでないが、彼はスケートボードシーン以外にも影響力を持つブランド、例えば〈Supreme(シュプリーム)〉とも深い関係性を築いている。それだけでは飽き足らず、彼はより広い世界へと羽ばたこうとしているのだ。ペースを落とす気配はない。Na-Kel曰く、全ては家族や友人、そして次世代のためにやっていることなのである。

我々『HYPEBEAST』がNa-Kelに会ったのは、ロサンゼルスにある〈Fucking Awesome〉の倉庫。現在のスケートボードシーン、初めて〈Supreme〉を訪れたときのこと、友人でもあるTyler, The Creator(タイラー・ザ・クリエイター)やEarl Sweatshirt(アール・スウェットシャツ)との楽曲制作の可能性など、様々なトピックについて話を聞いた。

ー スケートボードシーンで名前が売れ始めた頃や特に思い出深い出来事について聞かせてくれますか?

うーん、そうだね……。まだまだ売り出し中だよ。自分のプロジェクトを始めた頃は、本当に誰からも注目されなかった。それでも続けたんだ。自分の理想とはかけ離れた現状を見て、疑念を抱いたり、苦しんだこともあった。いつのことかは覚えてないけど、とにかく自分のやるべきことを続けたのさ。だからこそ今の自分がある。もちろん、今も理想郷にたどり着いたとは思っていないけどね。

ー そもそも、どうやって〈Supreme〉との関係性が生まれたのですか? 当時、どのくらい〈Supreme〉のことを知っていたのでしょう?

元々ハリウッドのスケートショップに通っていたんだけど、俺が小6くらいのときに閉店しちゃったんだ。中1の終わり頃にはスケーターの友達も増え始め、他のスケートショップも見てみたいからフェアファックスまで足を延ばすようになったんだけど、それ以前から母さんや父さんには「Supremeへ連れて行ってよ」ってお願いしていたよ。2人は、放課後に友達と悪さをするためじゃないかと思っていたっぽいけどね。初めて〈Supreme〉に連れて行ってもらったとき、ちょうどJavier Nunez(ハビエル・ヌネズ)が働いていたんだ。当時のJavierは〈City Stars(シティースターズ)〉のスケーターで、彼のチームメイトのKareem Campbell(カリーム・キャンベル)は俺のアンクル。母さんも父さんも「Javが働いているのか!」って安心したみたいだったよ。

それから、放課後にフェアファックスや〈Supreme〉に行くようになった。昔は「Supremeのスケーターになりたい! スポンサーしてくれないかな?」なんて思っていたんだ。スポンサーについて知り始めた頃で、スケートのスキルはまぁまぁ程度。スケートビデオでプロがやっていることやトリップに行く様子を見て憧れていたよ。でも、「Supremeにはスケートチームがないんだ」って言われてさ。「スケーターのスポンサーにはならないよ」って。サポートはしてくれていたけど、俺も若かったから正式なスポンサーが欲しかったんだろうね。今じゃそんなことどうでもいいけどね。

Na-Kel Smith

Na-Kel Smith

Na-Kel Smith

Na-Kel Smith

Na-Kel Smith

ー 最近は、至るところでスケートボード人気の高まり、大衆も受け入れるようになってきたように感じますが、この流れはスケートボードにとってプラスだと思いますか?

何事にもプラスとマイナスはあるでしょ? 個人的には、世間がスケートボードについてどう思っているかなんて気にしてないね。俺は、ただスケートするだけさ。音楽をやるようになる前から、映画に出演するようになる前から、ずっとスケートしてるんだぜ。スケートボードは俺にとってのガソリンなのさ。そして、スケートボードをやるためにも別のことをしなくちゃならないんだよ。

昔は、「スケーターなんだ。クールだね!」なんてものじゃなかった。高校生の頃からかな、周囲がスケートボードをやりたがるようになったのは。高校より前だったかも。当時、黒人スケーターの第一人者と言えばTerry Kennedy(テリー・ケネディ)とAntwuan Dixon(アントゥアン・ディクソン)さ。もちろん、KareemやStevie Williams(スティービー・ウィリアムズ)も黒人スケーターの代表格だけど、俺ら世代にとってはTerryとAntwuanなんだよね。スケーターがジュエリーを身につけ、スケーターが大金を稼ぎ、スケーターが世界中を旅し、スケーターが人生を謳歌している。俺みたいなキッズだって、そんな彼らを身近に感じることができた。だって、俺たちのいるホーソーンやコンプトンで見かけることもあったから。今は、スケートボードをアートの一種として見ているよ。世の中のアーティストだっていろんなことをやっているでしょ。音楽をやったりさ。フォトグラファーが映画のDP(Director of Photography)になった例だってあるし。要は、何を見て何を感じるかなんだよ。

ー 会社を立ち上げたり何かに投資したり、スケーターからビジネスマンに転身する人がたくさんいますよね。あなたも同じようなプランを考えているんですか?

自分がどんなタイプの人間なのかってこと。年齢は関係ない。ビジネスに興味があって金持ちになりたいと思っているのなら、ある程度世渡り上手にならないといけないかもね。今現在から次の段階へしっかり繋がぐ必要があるからさ。あとは、お金をしっかりキープする術も身につけないと。何をしようが、どれだけ金持ちだろうが、一歩間違えれば全てが水の泡になっちゃうからね。大事なことだけど、あくまで金持ちになりたいと思っているならの話だよ。

俺は自分自身にリミットをかけるようなことはしない。自分のハートに忠実でいるだけさ。「もう十分」なんて言うこともない。でも、次に何をやるのかは言わないよ。だって俺にもわからないから。流れに身をまかせるだけさ。

Jason Dill(ジェイソン・ディル)のようなレジェンドと働くってどんな感じですか? 彼から学んだことはありますか?

Dillは最高さ。スケートボードをどうやってプレイすべきかを教えてくれたよ。スケートボードはゲームだからね。数え切れないほどのスケーターが「俺たちはハードコアなスケーターだぜ。あーだこーだ」とか言っているけど、俺からすればビッチみたいなことをしているだけ。俺が生れ育ったところでは、目を覆いたくなるようなことだらけだから。

スケートボードの世界では、たくさんの人が謙虚になることを押し付けてきて、間違いを声に出して言うのをやめさせようとする。そんなことをしても悪化するだけだってね。そんなことわかっているし、ちゃんと考えてもいるよ。でも結局のところ、シューズをリリースしたりできているわけだから、このマザーファッカーは正しかったってことでしょ。じゃあ、ビデオを撮っているとしよう。全てを間違いないものにしなくちゃいけないんだ。混じり気のないピュアなものにね。そこをちゃんとやらないと、それこそあとの祭り。ビデオが出てからじゃ何もしようがないから。物事がどう見えるのかをコントロールすることは、何よりも大切なのさ。いつだって俺とDillはそんな話をしているよ。彼も同じマインドの持ち主で、強く主張するタイプの人間だからね。議論は永遠に続く。彼はプロダクトのクオリティと結果に超こだわるからこそ、俺も影響を受けるんだ。「俺たちの商品は何だって売れるさ」と言う人間はたくさんいて、例えばコラボレートする相手のことも深くは考えない。その点、Dillは違うんだ。金の話以前に、プロダクトを作ることに専念する。何よりもプロダクトのことを考える。彼のそういった姿勢を見ることができるのには感謝しているよ。

ー 他にも影響を受けたスケーターはいますか?
Dylan Rieder(ディラン・リーダー)だね。奴は俺の親友さ。俺が死ぬまで親友さ。安らかに眠ってくれ。

ー 彼からはスタイル的にも影響を受けましたか?

もちろんさ。あれほどスタイリッシュなスケーターはいなかったでしょ。俺とは異なる視点を持ったスタイル。もちろんスケートしているときはスタイリッシュなんだけど、彼は小綺麗な格好もできたよね。

わかるだろ? スケートしていたら服は汚れるわけだし、何を着ているかなんて誰も気にしていないんだ。叔母がスタイリストだったから、俺は有名ブランドのことやハイファッションについても知っていた。彼女は超クールだったよ。だから、Dylanみたいな奴が〈Prada(プラダ)〉のローファーを履いてチルっていても、「その靴知っているぜ。フレッシュじゃん!」ぐらいだった。Dylanのシューズは、いい意味でこのゲームをグチャグチャにしたよね。スケートシューズにとっては、まったく新しいスタイルだったから。

ー 〈adidas Skateboarding〉のチームにいることについてどう思いますか?

純粋に、Tyshawn Jones(タイショーン・ジョーンズ)と同じチームにいられるってことがハッピーさ。あいつは超スケートが上手いから、スケートボードでインスパイアされるのは当たり前のこと。それに加えて、家族のために何かをしなくちゃいけないっていう大きな目標を思い起こさせてくれるんだ。俺と彼は似たような環境で育ったからね。あとは、〈Real Skateboards(リアル スケートボード)〉のチームメイトでもあるJake Donnelly(ジェイク・ドネリー)もいるしね。彼とは〈Real Skateboards〉のチームで一緒になった瞬間から意気投合したよ。

Aaron Miller/HYPEBEAST

ー 例のサッカーにインスパイアされたコレクションについて話を聞かせてくれますか?

〈adidas(アディダス)〉だからさ。〈adidas〉にとってサッカーの存在はでかいでしょ。まず、3つの異なるコレクションを作って、コラボレーションもしたいと思ったんだよね。それまでの俺を見れば、いきなりやり過ぎだよね。彼らは俺のクリエイティビティを信じてくれたのさ。もし他のブランドだったら、10人中9人は「個別にやろうよ」って言っただろうね。だから、〈adidas〉には感謝しているよ。3つのシューズと2つのアパレルコレクション、そしてオモチャをリリースできたんだ。まさにパーティーだね。どえらいことさ。たくさんのものを作るから、たくさん金が必要だ。一部予算をオーバーしちゃったのは申し訳ないけど……。でも妥協はダメ。そうすればやってよかったと思うはずさ。

ー 〈Brooks Brothers〉とコラボレートしたスーツは、どうやって実現したんですか?

俺はスタイリッシュでしょ? だからスーツを作りたかったんだ。自分だけで作ることができなければ、できる人たちと組めばいいのさ。このスーツみたいに、お互いを助け合ってね。

ー ドレス&スケートのハイブリッドシューズもリリースしましたね?

Nak-apulcoさ。スーツに合わせてもバッチリだよ。

ー 実際にあのシューズを履いてスケートできるんですか?

もちろんさ。俺はまだなんだけど、あれを履いてスケートしている人を見たことはあるよ。

ー ドレスシューズということで、やはりDylanの影響はあるんですか?

それはないかな。でも、Dylanのおかげで自分のスタイルを出していくことに自信が持てるようになった。近しい友達から影響を受けているのは間違いないけどね。もしかしたら、スリーピーススーツを作りたいと思ったのはMikey Alfred(マイキー・アルフレッド)の影響かも。

ー 音楽業界にも友達がいますし、若い頃からラップしたかったと伺っています。もしプロスケーターになっていなかったら、もっと早くから音楽にのめり込んでいたと思いますか?

答えはノーだね。俺はなるべくしてプロスケーターになったんだ。絶対になると自分に言い聞かせていたからね。俺の友達に聞いてみるといいよ。TylerやThebe(Earlの本名)なんかと連んでるから、ずっと前から音楽を作る機会はあったんだ。彼らとスタジオにいて、音楽業界に風穴を開ける曲制作を間近で見ていたけど、俺は俺のペースでやりたいんだよね。音楽に手を出したのは単純に好きだったからで、今はかなりの情熱を注いでいる。スケートを始めた頃の感覚みたいだね。誰かがやりたいから、誰かがやらせようとしているから、そんなの俺には関係ない。母さんや父さんは俺がラッパーになればいいと思っているみたいだけど、いつも「嫌だ! 俺はスケートをやる!」って言い続けているよ。

ー TylerやThebeから音楽についてアドバイスをもらうことはありますか?

ないね。

ー あくまで自分だけでやりたいということですか?

だって、みんな忙しいでしょ。「ワッツアップ。助けてくれよ。ビートが必要なんだ」とか、友達の負担になるようなことはしないよ。逆に、向こうから「曲を聴いたよ。なんかやろうぜ」って言ってくるくらいのものを作りたいね。俺だけの音楽を作りたいんだ。俺のことしか聞こえてこないようなね。もちろん、一緒に曲を作ったこともあるよ。“DNA”っていうのと“Trashwan”」。初めてブースに入ってレコーディングしたのが“Trashwan”で、“DNA”は2回目だったかな。俺は自分自身でいることを恐れていない。必要なのはそこじゃないかな。音楽を突き詰めるなら、そこは外せないでしょ。客が5人だろうが500人だろうが、自分自身でいることにビビってちゃダメだよ。

ー 最近は誰の曲を聴いているんですか? 特にスケートしているときにテンションが上がるものがあれば教えてください。

最近はValee(ヴァーレイ)かな。「G.O.O.D. Music」とサインしたよね。あとは、Young Thug(ヤング・サグ)のところのGunna(ガンナ)も聴いてるよ。The Cure(ザ・キュアー)の『Disintegration』もよく聴く。あれはドライブに合うね。そうだ、車をゲットしたから、今までとは音楽が違って聴こえるような気がする。

ー これからやってみたいクリエイティブなことはありますか?

俺は自分自身にリミットをかけるようなことはしない。自分のハートに忠実でいるだけさ。「もう十分」なんて言うこともない。でも、次に何をやるのかは言わないよ。だって俺にもわからないから。流れに身をまかせるだけさ。

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Source: HYPE BEAST

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