2015年1月のADキャンペーンに起用されたのは1934年生まれのアメリカの小説家、ジョーン・ディディオンだった。深いシワが刻まれ、髪もいささか薄くなりはじめたディディオンの凛とした佇まいはつくりものの美にうんざりしていた女性の心にするりと入り込んだ。
〈セリーヌ(CÉLINE)〉を21世紀の女性がもっとも共感したブランドと書いて異論を唱える人はかなりのへそ曲がりに違いない。艶やかなミニマリズム、タフでエレガント、現代的ラグジュアリー…クリエイティブ・ディレクター、フィービー・ファイロを賞賛するフレーズは無数にあるが、一言でいえば、おもねる、というスタンスとは真逆のスタイルをかたちにしてみせた。そしてそれは、目の肥えた男性も素通りできるものではなかった。
〈セリーヌ〉を代表する「ラゲージ」のデザインを受け継いだ「ビッグバッグ」。アイレット付きベルト、バタフライループ、ローエッジでアップデートされたこのニューカマーは着こなしを上品に仕上げるアイテムとしてまたとない。
ソールにアクセントをつけたボリューミーなスニーカー、ラバーとネオプレンをコンビにしたアンクルブーツ──愛嬌あるフォルムがたまらないシューズもまた、スタイリングの新鮮なスパイスになってくれるに違いない。
おもねらないファッションは、性差も軽やかに超える。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa
Edit_Ryo Muramatsu
セリーヌ ジャパン
電話:03-5414-1401
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Source: フィナム