Rewrite
今でこそ「スラッシャー」と呼ばれるようなマルチに活躍する人物が増えたが、90年代からそのスタイルを貫いてきた先駆者がいる。それが熊谷隆志だ。スタイリストを軸としながら、レイクタホ(Lake Tajo)名義でフォトグラファーとして活動し、さらにはアパレルブランド〈GDC(ジーディーシー)〉を立ち上げクリエイティブディレクターとしても活躍していた。スタイリストが自身のブランドを手がけることは今でこそ珍しくないが、おそらく熊谷はその草分けの一人だろう。
90年代から2000年代初頭、〈GDC〉は東京を代表するブランドのひとつとして、ストリートシーンの最前線を走っていた。若者の成長を描いた『セント・エルモス・ファイアー』などのアメリカ映画からインスピレーションを受けたデザインは、そのエッセンスが軽妙に抽出されており、カルチャーの奥行きを感じさせた。さらに、古着にもマッチするデザインのアイテムが多く、着るだけで即、こなれ感を醸せたのも特徴だ。人気の高さは、当時〈GDC〉が発行していたマガジンを見れば一目瞭然。降谷建志(Dragon Ash)、浅野忠信、窪塚洋介といった錚々たる面々が〈GDC〉を纏い、ブランドの世界観を象徴していた。
熊谷は2010年に〈GDC〉から身を引いたが、2011年には〈NAISSANCE〉、2018年には〈WIND AND SEA〉を立ち上げるなど、アパレルディレクターとしてのキャリアを確実に積み上げてきた。そして2025年、満を持して〈GDC〉を復活させる。3月8日(土)にはショップもオープン。熊谷が「本気で着たい服」として、新たな〈GDC〉の幕が上がる。その復活の背景を、『Hypebeast』が直接熊谷に聞いた。
GDCは……手放したけどどうしてもまた乗りたくなったポルシェ911かな(笑)
熊谷隆志:WIND AND SEAを続けていた中で、「やりきったな」という気持ちが芽生えてきたんです。じゃあ、次に何をするか考えたとき、新しいブランドを始めるより、かつて自分が手がけたGDCを復活させるのが自然な流れかな、と思いました。Y2Kやアメカジのリバイバルが来ていますよね、今。だとすると自分の感覚と最もフィットするのがGDCだったんです。
WIND AND SEAではオンライン販売が強かったですが、GDCは?
WIND AND SEAでは毎週話題を作ってオンラインで売るスタイルでした。でも、やっぱりこれからは実店舗が重要。実際に手に取ってもらうことが大事だと思っています。
1998年のGDCと、2025年のGDC。違いが知りたいです!
基本的には変わらないですね(笑)。ただ、当時のファンも随分大人になっているので、より幅広い世代に響くようにしたい。だから今回はyutoriと組みました。彼らは若い世代に影響力の強いブランドを複数手掛けているので、今の10代・20代にも刺さるような形にできるんじゃないかなと。
若い世代に響かせるためにyutoriと組んだんですね。GDCが若い世代に提供できる価値とは?
洋服を通じてカルチャーを伝えることですね。80年代のアメカジだったり、ネイティヴアメリカンジュエリーだったり、トラッドだったり、いろいろ。今はネットで知識を得やすい時代ですが、GDCの背景や着こなしをもっと深く知ってもらえたら嬉しいです。スタイリング講座をInstagramでやるのも面白いかも。
新生GDCで表現したい価値観があるのでは?
少し前まで、自分自身が楽な服ばかり着るようになっていて、とはいえその“楽服”がちょっと飽きてきたんですよね。スウェットやフリースもいいけど、やっぱり自分が好きなのはヴィンテージをベースにしたアメリカやヨーロッパの古着。ミリタリー、トラッド、スポーツなど、あらゆるカルチャーのエッセンスが染み込んでますから。その感覚をGDCで改めて表現したいと思っています。ただ、いきなりテーラードみたいな攻めたものはまだ怖くてできません(笑)。
復活の初回コレクションで特に注目してほしいアイテムは?
んー、アイテムというか、やっぱりビジュアルですかね。GDCといえばDragon AshのKJ(降谷建志)、というイメージが強いと思うので、彼がどう着こなすかに注目してほしいです。(※以下が降谷建志を起用した新生GDCの第1弾ヴィジュアル)
かつてのファンも喜びますね。
昔のアイテムがサイズアウトしちゃった人もいると思うので、新しいサイズ感も用意しています。とはいえ、あくまでも“新しいGDC”。今の時代に合ったアップデートも加えているので、楽しみにしていてください。
具体的にデザイン面でのアップデートとは?
さっき言った通り、やっぱり主にはサイズ感かな。一時期のオーバーサイズブームが落ち着いて、少しコンパクトなシルエットが求められるようになっている……はず! なのでそこは調整しました。パンツも裾にクッションができないくらいのジャストな長さにしています。あとは、GDCらしいミックスな感覚はよりドライブを効かせています。
デザインのインスピレーション源は?
昔は映画が一番のインスピレーションでした。でも、今はNetflixで観ると集中力が続かなくて、あまり記憶に残らないんですよね(笑)。だから最近は、古着屋さんを巡ったり、YouTubeで古着の研究をしたり、いろんな角度から元ネタを探すようになりました。
GDCはどんな人に向けたブランド?
古着好きの“服通”が、東京のストリートブランドからアイテムを選ぶ中で「GDCって古着に合うよね」と自然と手に取ってもらえるような存在になりたいですね。
熊谷さんのさらなる今後の展望は?
50歳を過ぎて新しいブランドをやるなんて思ってもいなかったけど、今めちゃくちゃ楽しいんですよ。デザインからビジュアルまで全部自分でディレクションしているので、毎日がGDC漬け。でも、それがすごく心地いい。
熊谷さんにとってGDCとは?
手放したけど、どうしてもまた乗りたくなったポルシェ911かな(笑)。
GDC 代官山店
住所:東京都渋谷区代官山町2-5 コレタス代官山1F
公式Instagram:@gdc_jp
公式HP:https://gdc.tokyo
OPEN:2025年3月8日(土)
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今でこそ「スラッシャー」と呼ばれるようなマルチに活躍する人物が増えたが、90年代からそのスタイルを貫いてきた先駆者がいる。それが熊谷隆志だ。スタイリストを軸としながら、レイクタホ(Lake Tajo)名義でフォトグラファーとして活動し、さらにはアパレルブランド〈GDC(ジーディーシー)〉を立ち上げクリエイティブディレクターとしても活躍していた。スタイリストが自身のブランドを手がけることは今でこそ珍しくないが、おそらく熊谷はその草分けの一人だろう。
90年代から2000年代初頭、〈GDC〉は東京を代表するブランドのひとつとして、ストリートシーンの最前線を走っていた。若者の成長を描いた『セント・エルモス・ファイアー』などのアメリカ映画からインスピレーションを受けたデザインは、そのエッセンスが軽妙に抽出されており、カルチャーの奥行きを感じさせた。さらに、古着にもマッチするデザインのアイテムが多く、着るだけで即、こなれ感を醸せたのも特徴だ。人気の高さは、当時〈GDC〉が発行していたマガジンを見れば一目瞭然。降谷建志(Dragon Ash)、浅野忠信、窪塚洋介といった錚々たる面々が〈GDC〉を纏い、ブランドの世界観を象徴していた。
熊谷は2010年に〈GDC〉から身を引いたが、2011年には〈NAISSANCE〉、2018年には〈WIND AND SEA〉を立ち上げるなど、アパレルディレクターとしてのキャリアを確実に積み上げてきた。そして2025年、満を持して〈GDC〉を復活させる。3月8日(土)にはショップもオープン。熊谷が「本気で着たい服」として、新たな〈GDC〉の幕が上がる。その復活の背景を、『Hypebeast』が直接熊谷に聞いた。
GDCは……手放したけどどうしてもまた乗りたくなったポルシェ911かな(笑)
熊谷隆志:WIND AND SEAを続けていた中で、「やりきったな」という気持ちが芽生えてきたんです。じゃあ、次に何をするか考えたとき、新しいブランドを始めるより、かつて自分が手がけたGDCを復活させるのが自然な流れかな、と思いました。Y2Kやアメカジのリバイバルが来ていますよね、今。だとすると自分の感覚と最もフィットするのがGDCだったんです。
WIND AND SEAではオンライン販売が強かったですが、GDCは?
WIND AND SEAでは毎週話題を作ってオンラインで売るスタイルでした。でも、やっぱりこれからは実店舗が重要。実際に手に取ってもらうことが大事だと思っています。
1998年のGDCと、2025年のGDC。違いが知りたいです!
基本的には変わらないですね(笑)。ただ、当時のファンも随分大人になっているので、より幅広い世代に響くようにしたい。だから今回はyutoriと組みました。彼らは若い世代に影響力の強いブランドを複数手掛けているので、今の10代・20代にも刺さるような形にできるんじゃないかなと。
若い世代に響かせるためにyutoriと組んだんですね。GDCが若い世代に提供できる価値とは?
洋服を通じてカルチャーを伝えることですね。80年代のアメカジだったり、ネイティヴアメリカンジュエリーだったり、トラッドだったり、いろいろ。今はネットで知識を得やすい時代ですが、GDCの背景や着こなしをもっと深く知ってもらえたら嬉しいです。スタイリング講座をInstagramでやるのも面白いかも。
新生GDCで表現したい価値観があるのでは?
少し前まで、自分自身が楽な服ばかり着るようになっていて、とはいえその“楽服”がちょっと飽きてきたんですよね。スウェットやフリースもいいけど、やっぱり自分が好きなのはヴィンテージをベースにしたアメリカやヨーロッパの古着。ミリタリー、トラッド、スポーツなど、あらゆるカルチャーのエッセンスが染み込んでますから。その感覚をGDCで改めて表現したいと思っています。ただ、いきなりテーラードみたいな攻めたものはまだ怖くてできません(笑)。
復活の初回コレクションで特に注目してほしいアイテムは?
んー、アイテムというか、やっぱりビジュアルですかね。GDCといえばDragon AshのKJ(降谷建志)、というイメージが強いと思うので、彼がどう着こなすかに注目してほしいです。(※以下が降谷建志を起用した新生GDCの第1弾ヴィジュアル)
かつてのファンも喜びますね。
昔のアイテムがサイズアウトしちゃった人もいると思うので、新しいサイズ感も用意しています。とはいえ、あくまでも“新しいGDC”。今の時代に合ったアップデートも加えているので、楽しみにしていてください。
具体的にデザイン面でのアップデートとは?
さっき言った通り、やっぱり主にはサイズ感かな。一時期のオーバーサイズブームが落ち着いて、少しコンパクトなシルエットが求められるようになっている……はず! なのでそこは調整しました。パンツも裾にクッションができないくらいのジャストな長さにしています。あとは、GDCらしいミックスな感覚はよりドライブを効かせています。
デザインのインスピレーション源は?
昔は映画が一番のインスピレーションでした。でも、今はNetflixで観ると集中力が続かなくて、あまり記憶に残らないんですよね(笑)。だから最近は、古着屋さんを巡ったり、YouTubeで古着の研究をしたり、いろんな角度から元ネタを探すようになりました。
GDCはどんな人に向けたブランド?
古着好きの“服通”が、東京のストリートブランドからアイテムを選ぶ中で「GDCって古着に合うよね」と自然と手に取ってもらえるような存在になりたいですね。
熊谷さんのさらなる今後の展望は?
50歳を過ぎて新しいブランドをやるなんて思ってもいなかったけど、今めちゃくちゃ楽しいんですよ。デザインからビジュアルまで全部自分でディレクションしているので、毎日がGDC漬け。でも、それがすごく心地いい。
熊谷さんにとってGDCとは?
手放したけど、どうしてもまた乗りたくなったポルシェ911かな(笑)。
GDC 代官山店
住所:東京都渋谷区代官山町2-5 コレタス代官山1F
公式Instagram:@gdc_jp
公式HP:https://gdc.tokyo
OPEN:2025年3月8日(土)
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