Buyer’s Eye For A.G.SPALDING&BROS.
目利きが選んだ、A.G.スポルディング&ブロスのスェット。ジャーナルスタンダードの場合。
待望の実名復刻を果たし、ヘリテージウェア愛好家たちを中心に盛り上がりをみせる〈A.G.スポルディング&ブロス(A.G.SPALDING&BROS.)〉。独自の意匠を施したスウェットをはじめ、これまで数々の名作を輩出してきた伝説のアスレチックブランドです。これにいち早く反応したのが、目の肥えた有名セレクトショップのバイヤーたちでした。この春から取り扱いをはじめる「ジャーナルスタンダード」も、そんなショップのひとつ。今回はキーマンであるセクションマネージャーの川合さんとバイヤーの山口さんにお話を伺い、〈AGスポルディング&ブロス〉の魅力はもちろん、今後の展開や気になる別注アイテムについて、アレコレと聞いてきました。
- Photo_Takeshi Kimura
- Text_Shuhei Sato
- Edit_Yosuke Ishii
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左:川合邦英(ジャーナルスタンダード 商品部マネージャー)
1974年生まれ、東京都出身。10代の頃よりアメリカンクロージングに興味を抱き、ヴィンテージウエアにも精通。「ジャーナルスタンダード」に入社後は、旧き良きアメリカンクロージングと現代のセンスを融合した「J.S.ホームステッド」を立ち上げる。その後は各セクションのバイヤーを歴任し、現在は商品部のマネージャーを務める。
右:山口翼(ジャーナルスタンダード バイヤー)
1983年生まれ、兵庫県出身。関西の「ジャーナルスタンダード」に入社し、「J.S.ホームステッド」のファッションアドバイザーとして従事。その後上京し、同部門でバイヤーとしてのキャリアをスタート。現在は「ジャーナルスタンダード」のバイヤーを担当する。アメリカンヴィンテージクロージングの知識と現代のトレンドを的確に捉えるセンスを併せ持つ。
A.G.スポルディング&ブロスのスウェットはディテールが特徴的で際立った存在。
まずはお二人が〈A.G.スポルディング&ブロス〉を知ったきっかけを教えてください。
山口僕は古着でしたね。ちょうど10代の頃にヴィンテージブームがあって、当時から〈A.G.スポルディング&ブロス〉のスウェットは特別な存在でした。
川合えっ、そんなお洒落なきっかけなの? 自分なんかは野球ですよ(笑)。小学生のときに知って、実際に木製バットを使っていましたよ。ただファッションという意味では彼と一緒で古着ですね。すごくタグの種類が多いイメージがあります。
実際にヴィンテージピースはお持ちですか?
山口自分が興味を持った頃は、すでに古いヴィンテージスウェットは高額だったので手が出なかったですね。だからウール素材でおもしろいものを探していました。
川合スウェットはもちろんですが、彼が言うようにウールのイメージも強いですよね。今日着ているイエール大学のプルオーバーコートもそうです。フックレスのジッパーなので1920年代でしょうか。
それは珍しいですね。買われたのはいつ頃ですか?戦前のヴィンテージが盛り上がった2000年代でしょうか?
川合いえ、確か1995年頃ですね。10代の頃からハウスマークの付いた〈リー〉のユニオンオールに〈レッド・ウィング〉のアイリッシュセッターを合わせているような感じだったので(笑)。ヴィンテージはブランドや珍しさではなく、デザイン重視で選びます。そうすると自ずと戦前のおもしろいものに惹かれていくんですよね。〈A.G.スポルディング&ブロス〉も特徴的なディテールが多くて、当時から際立った存在でしたよ。
川合それと昔はアビエーターに向けたウエアも色々と作っていましたよね。なかでもレザーのフライトジャケットやグローブは良いものがたくさんあった印象です。〈A.G.スポルディング&ブロス〉はアスレチックウェアばかり注目されていますが、実は色んなウェアをハイクオリティで作れる幅の広いブランドなんですよね。そういった背景も、このブランドの魅力のひとつではないでしょうか。
ヘリテージウェアを現代的に。A.G.スポルディング&ブロスで作る、ベストアメリカン・スタイル。
今シーズンから「ジャーナルスタンダード」で復活した「〈A.G.スポルディング&ブロス〉の取り扱いが始まります。どこに惹かれたのでしょう?
山口前々から実名復刻するという情報は掴んでいました。それで実際に展示会へ行ってみると、グレーを基調としたラインナップとクリーンなディスプレイがすごく新鮮に見えたんですね。プロダクトとして忠実に再現されている一方で、ちゃんと今っぽく魅せる術も知っている。そのバランス感がすごく良いなと思いました。
川合「ジャーナルスタンダード」では、ヘリテージファッションに特化した〈J.S.ホームステッド〉というレーベルがあるのですが、またそのようなテイストが一周して戻ってきたという感覚があります。そういった中で〈A.G.スポルディング&ブロス〉はちょうどよく収まった感じですね。
確かに、いま再びヘリテージファッションに注目している人が増えてきましたね。
川合いまはスウェットもカットソーもプリントもの全盛ですが、しっかりとした作りで、一枚で着ても絵になる無地のスウェットが再評価される頃かなと。そのひとつとして〈A.G.スポルディング&ブロス〉をピックアップしました。
では実際にスタリングはどのような提案を考えていますか?
山口河合さんが言ったように、春先は一枚で着ることをオススメしたいと思っています。ベーシックなものですが、スウェット、サイドラインパーカともにディテールが特徴的で際立ちますし、サイズ感で変化をつけるのも面白いかと。
川合オーセンティックなものだからこそ、着る人の個性を出しやすいという部分はあると思います。今シーズンの「ジャーナルスタンダード」では、“ベストアメリカン”をコンセプトにしていて、うちの原点とも言えるユニフォーム、アスレチック、トラッド、カレッジといったアメリカンスタイルを現代的に再構築したスタイルを提案しています。
そこで〈A.G.スポルディング&ブロス〉に白羽の矢を立ったわけですね。
川合そうですね。〈A.G.スポルディング&ブロス〉は、今シーズンの「ジャーナルスタンダード」にとってアイコンのひとつとなるブランドですね。全店舗で展開しますし、販促用の箱などもディスプレイします。さらには別注もお願いしました。
2トーンで仕立てたジャーナルスタンダードの別注品。
2トーンのサイドラインパーカとフットボールシャツですね。この配色にはどのような狙いがあるのでしょうか?
山口展示会にお伺いした時に、〈A.G.スポルディング&ブロス〉のグレーの風合いがすごくよかったんです。インラインのものでも十分雰囲気があるのですが、より一枚で着やすいように僕からはグレーで同系色の2トーンをお願いしました。これなら変に目立ちませんし、シンプルに着るだけでも人目を引くかなと。
グレー系の2トーンはヴィンテージスウェットでもよく見る配色ですよね。一方、川合さんが企画した配色はいかがでしょう?
川合自分がお願いしたのは、ネイビーとホワイトの2トーンです。ただ勘違いしてほしくないのは、置きにいったネイビーではなく、攻めのネイビーだということですね。
“攻めのネイビー”とは?
川合ネイビーは定番色で売れ線でもありますが、そういったものではなく、お客様が新鮮に感じてもらえるものを作りたいという気持ちが根本にありました。今シーズンのテーマである“ベストアメリカン”の中にはアイビーも含まれますから、それならスクールカラーがよいかと。実際に自分がヴィンテージで持っているイエール大学のものをイメージソースに配色しました。
スクールカラーの配色はアスレチックウェアと相性も良いですよね。
川合しかもサイドラインパーカはダブルフェイスのリバーシブル仕様なので、ネイビーを表にして着用することも可能です。ホワイトとネイビー、全くことなる2色のパーカが、この一枚で楽しめるのもポイントですね。
どちらも新鮮に見えるだけでなく、ヴィンテージ好きのツボを刺激しそうな仕上がりですね。
川合こういうブランドですから、当時の背景やオリジナルのこともしっかりと理解した上で、自分たちの現代的な感覚をプラスするのが大切だと思います。
山口「ジャーナルスタンダード」に入社するきっかけが、川合さんが立ち上げた「J.S.ホームステッド」だったので、その感覚はすごくわかります。別注のポイントは、色だけでなく、サイドラインパーカは本来スウェットのダブルフェイスなのですが、それでは春夏に暑すぎると。そこで裏面をスウェットではなく、カットソー生地にしているんですよ。
川合学生の頃、母親に「ダブルフェイスは洗濯するとなかなか乾かない!」なんて文句を言われたよ(笑)。この仕様なら、そういった心配もないはずです(笑)
Source: フィナム