1996年9月、25歳でこの世を去った伝説のラッパー、2パック。現在のヒップホップブームの潮流を作ったといっても過言ではないスターの壮絶な生きざまに迫る映画『オール・アイズ・オン・ミー』が、12月29日に公開となります。
音楽ファンでなくても、2パックの名を1度は聞いたことがあるはず。だが、彼のたどった人生を知る者は少ないのではないでしょうか? 本作では、スラムで生まれ育った2パックの幼少期から、演劇に打ち込んだ少年期、ラッパーとして覚醒し、スターへと駆け上がった青年期までをプレイバック。人気絶頂のなか、なぜ2パックは殺されたのか? なぜ周囲の反対を押し切り、攻撃的なリリックを紡ぎ続けたのか? なぜカリスマと崇められたのか? 謎に包まれた2パックの真実の姿がこの作品に詰まっています。
両親は革命家、刑務所に送られながら、発売したアルバムがミリオン達成、凶弾に倒れ死去…。2パックの死の真相は、音楽界のミステリーのひとつ。あの日何が起こったのか? 射殺事件につながった「東西ヒップホップ抗争」の発端は? 一足先に公開されたアメリカでは、オープニングの週末興行収入が30億円という大ヒットを記録。20余年経ったいまだから描ける衝撃の物語。記憶に新しい、オスカー候補にまでのし上がったヒップホップ映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』をも凌ぐであろう大作。ぜひ劇場で確かめてください。
また、以下は、公開前に開催されたジャパンプレミアイベントでは、ヒップホップグループのドーベルマン・インフィニティをゲストに迎えてトークショーが行われました。もっとも影響を受けたアーティストが2パックと話す彼ら。その一部始終がこちらです。合わせてチェックを!
MC:本作をご覧になっての感想とお気に入りのシーンがあればお聞かせいただけますか?
P-CHO:すごく公開を楽しみにしていたので、あっという間に観終わって、自分がHIPHOPと出会った頃を思い出しました。「Keep Ya Head Up」をライブで歌唱するシーンはアツくなりましたね。
GS:一番影響を受けたアーティストといっても過言ではないので、改めて2パックのすごさを再認識できました。お母さんが、刑務所に入っている2パックの面会に来るシーンで「Dear Mama」が流れる場面が良かった。
KAZUKI:音楽はもちろん人間的に深く、あまりにも知的な方だと思いました。あと、2パックのレコーディングスタジオに憧れました。
SWAY:2パックについてのいろんな伝記映画を観てきた中で、クロスオーバーする部分がたくさんありました。ずっと文字で勉強するしかなかったり、雑誌を見て過去を掘るしかなかったので、映画を観るだけで彼の歴史を知ることができるのはすごく素敵なことだなと思いました。印象に残ったシーンは、刑務所のシーンで2パックが「50秒の判断で50年を無駄にするな」と他の受刑者に言われるシーンですね。生きている中でも1分の判断で未来が大きく変わることはたくさんあると思うのですごく心に響きました。
KUBO-C:2パックの曲に対するこだわりが刺激になりました。レコーディングスタジオはやっぱりうらやましいですね。エンジニアさんに2パックがキレてたりね。僕らはキレられないのでね(笑) 熱量がすごいですね。
MC:みなさんのキャリアの中で、2パックから影響を受けた事はありますか?
GS:16歳の頃、大阪のアメ村にあるHIPHOPの洋服屋でアルバイトをしてたことがあって、そこのオーナーが2パックのことが大好きで、その影響で自分も2パックの事を知るようになったんですけど、オーナーが亡くなってから初めてラスベガスに行ったときに、たまたま車に乗ってMGMグランド(2パックが亡くなった場所)に差し掛かった時、急にラジオから「Dear Mama」が流れ出した時は、サンルーフを開けて窓全開、ボリューム最大にして、あの瞬間自分も彼らのようになれた気がしましたね。2パックとの運命を感じました。
MC:ドーベルマン・インフィニティが好きな2パックの楽曲&名言を教えてください。
P-CHO:【俺は自分を特別だなんて思っていない、隣の男より責任を持っていると思っている】やっぱり人って責任感で強くなるし、それが力になっていくんやろなと思って刺激を受けた一言です。
GS:【Only god can judge me(神にしか俺は裁けない)】いつ死ぬかわからない人生の中で、リミットって誰しも同じじゃないので、この言葉に共感しました。ちょっとまだ公表してないんですけど、僕胸に大きくタトゥーを入れてるんです。実はそこに大きくこの言葉を入れてます。それほどこの言葉には影響を受けました。体がバキバキに仕上がりすぎて見せれないですけど(笑)
KAZUKI:【俺がサグライフを選んだわけじゃない、サグライフが俺を選んだんだ】言い回しが既にカッコいい。僕もサグライフって(タトゥーを)入れよかなと思いますもん。
SWAY:【I will spark the brain,that will change the warld.(俺が刺激した脳がやがて世界を変えるだろう)】 僕も2パックだったりたくさんのラッパーに脳を刺激されて世界が変わったので、自分も表現者として人の人生を良い方向にチェンジできるようなアーティストになりたいなと思いました。
KUBO-C:【生きてるうちは決して夢を見ることを止めるな。誰もお前の夢を奪い去ることはできない】夢を追いかける強い気持ちがあれば、叶えるまで突っ走ることができるというところに重みがあって、自分もそう思っているのでこの言葉にすごい影響を受けました。
MC:これから映画をご覧になるみなさんに、一言お願いします。
SWAY:2パックの生き様というのがわかりやすく映像になったのも、いまだからできることだと思いますし、2パックが生み出してきた名曲がこういう風にできたんだなってわかってもらえると思います。2パックが亡くなってより名曲になった一曲一曲に、すごい歴史があるんだなというのも映画を観て思いました。HIPHOPのいろんなストーリーがリンクする部分もたくさんあるので、そういう部分も観てもらえたら、より一層楽しんでもらえるかなと思いました。
MC:今年も残すところ僅かとなりましたが、来年の抱負などあれば教えてください。
KAZUKI:今年はホールツアーから始まり本当に音楽な一年だったなと思います。来年はさらに2パックのように、僕らもネクストレベルまで、リリックも深いところまで行って、皆さんにいい音楽を届けられるよう引き続き頑張りたいと思います。
Text_Jun Nakada
『オール・アイズ・オン・ミー』
監督:ベニー・ブーム
出演:ディミートリアス・シップ・ジュニア(2PAC役), ジャマール・ウーラード(ノトーリアスB.I.G.役), ダナイ・グリラ(アフェニ・シャクール役), カット・グレアム(ジェイダ・ピンケット=スミス役), ドミニク・サンタナ(シュグ・ナイト役), ハロルド・ハウス・ムーア(ドクター・ドレー役)
配給:パルコ / REGENTS
2017 / アメリカ / 139分 / 原題:ALL EYEZ ON ME
日本公開日:2017年12月29日
http://alleyezonme.jp/
© 2017 Morgan Creek Productions, Inc.
Source: フィナム