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挑戦してダメでも諦めない姿勢は僕の誇り。成功したラッパーも売れない時代から姿勢を変えていない!【木村”フィリップ”ミノルのdopeなラップトーク#3】

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キャラ作りの一環としてカルチャー好きを装うポーザーが世に溢れる昨今、ガチなヒップホップヘッズである、ファイターの木村”フィリップ”ミノル。

前回のインタビューを読めば、その濃すぎるトークで木村が一人のヘッズでもある事が理解できたはず。

今回もノリノリでインタビュー現場に現れた木村は、冒頭からいきなりトップスピードでラップトークを開始してくれた。「ちょっとは格闘の話をした方が・・・」とAbema HIPHOPTIMES編集部がストップをかける場面もあったほどだ。そんなこんなで今回もヒップホップヘッズはもちろん格闘技ファン必読の内容となった【木村”フィリップ”ミノルのdopeなラップトーク】。じっくりお楽しみください!

目次

■リル・ウェインは生き方が面白い。…基本的に病んでる感じですよね(笑)

編集部:相変わらずマメにチェックしてる感じでしょうか?

ミノル:実はこれまで日本語ラップって正直そんなに聴いてこなかったんですよ。でもクラブで日本語ラップのアーティストに会う機会も増えてきて「ちょっと聴いてみようかな?」って思って。

編集部:どんな曲にFEELしました?

ミノル:YDIZZYですね。正直何言ってるかは分からないんですけど(笑)。流してるとメチャ気持ち良いんですよ。

KEPHA – LOUDER ft.YDIZZY

直接は知らないですけど、いろんな人から名前を聞いてて。で、チェックしてみたら良くて!歌詞というよりはフロウとかトラック先行すね。音重視。あと意外かもしれないですけど、毎日寝る前に聴いてるのがtofubeatsの「LONELY NIGHTS」。

tofubeats – LONELY NIGHTS

ミノル:KANDYTOWNのYOUNG JUJUをゲストに迎えた曲ですね。最近はこういうチル系の音が好きなんです。この曲は凄いっすよ。気持ち良い。

編集部:tofubeatsはかなり意外でした。これまでとはちょっと違う方向性のアーティストも聴き始めた感じですね。やや文系~オシャレ系よりというか。SALUさんなんかはどうですか?

ミノル:あ、SALUは出始めた頃から好きでしたよ!今や完全に人気者って感じですよね。「Taking a Nap」が凄く好きで。漢さん、D.Oさんとの「LIFE STYLE」も凄いよかったっす。PVでの演技も面白くて(笑)

SALU / Taking a Nap (Pro by BACHLOGIC)

SALU / LIFE STYLE feat. 漢 a.k.a. GAMI, D.O (Prod. by Chaki Zulu)【Official Music Video】

編集部:クラブで聴いて興味を持つというパターンが多いんですか?

ミノル:仲間に日本語ラップが好きなボクサーがいて、そいつと一緒にラップを聴いたりするんですよ。Apple TVでYouTube見ながら「これヤバいねー」とか言って。そいつは割とオシャレ系なヒップホップが好きで、そういう所でも情報収集してますね。

編集部:SALUに関しても「LIFE STYLE」のトラックはChaki Zuluだし、なんとなくYENTOWN周辺が気になってる感じでしょうか?

ミノル:YENTOWNのPETZさんは共通の知り合いが多くて、お互いに存在は知っている感じですね。ちなみにKOHHと一緒にやってる曲が凄く好きです。YENTOWNは今まであんまり聴いてなかったんですけど、最近良いなあって思いますね。もちろんトラックも含めて。

KOHH, PETZ, Tokarev – 十人十色(prod by Y.G.S.P)

編集部:前回はめちゃめちゃエミネムの話をしてたんで、今回は同じくらい好きだというリル・ウェインにスポットを当てて行きましょう。何か思い出深い曲ってありますか?

QD3 Presents Lil’ Wayne “The Carter” (Sundance) Documentary Trailer Premiere

ミノル:最近改めてドキュメンタリー映画『リル・ウェイン ザ・カーター』を観ました。僕がリル・ウェインを知ったのって、実はそんなに昔の話じゃない。せいぜい2010年とかそのくらいなんです。前回話に出た「Drop The Wolrd」の時代ですね。当時の曲だと「Fuck One Time」が好きです。

Lil Wayne – Fuck One Time

編集部:トラックも良いですよね。

ミノル:リル・ウェインは本当に生き方が面白いと思います。自分をさらけ出してるし、ダメである事も認めるし。…まあ基本的に病んでる感じですよね(笑)。

編集部:「病んでる」というのは前回もおっしゃってましたね。どの辺りでそう感じたのでしょう?

ミノル:映画観ると分かりやすいですよ。ずっとブッ飛んでて、でも繊細で。レコーディング風景のシーンがあるんですが、リル・ウェインって歌詞を思い付いたらマイクの前に立ってフリースタイルみたいな感じで録音して、また考えてという感じで曲を作って行くんです。

その時に記者の人に「歌詞をいつ思いつくのか」とか「あらかじめ考えてくるのか」って聞かれてて。どう見ても普通に質問してるだけなんですが、リル・ウェインは「ラッパーの歌詞の事聞くとか何考えてんだ!黙れ!出てけ!」みたいな感じでブチギレ始めて(笑)

編集部:うわー!ライター泣かせですねえ…(笑)

ミノル:「黙って聞いとけや!」みたいな。アレ見たときは「…病んでんのかな?」って思いましたね(笑)。でもね、そういう所が好きなんですよ。

編集部:一時期の多忙っぷりとかを考えると病んじゃうのも分かるような気がします。

ミノル:『リル・ウェイン ザ・カーター』は、人間としてのリル・ウェインを見れるんで相当オススメっすね。映画の中でカニエ・ウエストを抜くシーンがあるんですよ。当時まだカニエはミリオンを達成してなくて。で、映画の後半でリル・ウェインはミリオンを達成する。そういう勝って行く姿を追っていて。それがカッコ良いんですよ。あの映画はヤバいです!

編集部:カニエとかはお好きですか?

ミノル:カニエについてはよく知らないんで語る事は出来ないですね。別に嫌いではないんですが、何を歌ってるか知りたいまでは行かないかなあ。まああれだけ売れているんで、色んなものを抱えてるんでしょうけど、なんとなく感情移入出来ないんですよ。Jay-Zも似たような感じです。

やっぱりリル・ウェインの方が全然好きですね。やっぱりエミネムとかリル・ウェインとかって、見てると「この人どうしたんだ!?」って思うんですよ。そうなってくると気になってしまう。

編集部:やはり痛みを抱えている人が好きなんですね。では次の曲を紹介していただきましょう。

Limp Bizkit – Ready To Go ft. Lil Wayne

ミノル:「Ready To Go」はリンプ・ビズキットとコラボレートした曲です。このコラボは割と衝撃的でしたね。「そこに行くのか!」と。

編集部:当時「完全に主役を喰った」って評判になってましたよね。

ミノル:ですね!ハッキリ言ってリル・ウェインを起用した人間にも問題があると思います(笑)。喰われるに決まってる!最初は「ロックか?」って思ってたんですけど、聴いてみたら良くて。違和感も全然ないし、声質も合っててリル・ウェインのヴァースだけずっと聴いていたい(笑)。

編集部:あまりロックは聴かないんですか?

ミノル:詳しくないんですよね。でも全然嫌いじゃないですよ。EDMとかよりは全然好き(笑)。そういえば、メイウェザーは、リル・ウェインと一緒に入場したりしてましたよね。リル・ウェインが生でラップして。

Floyd Mayweather Walks Out With Justin Bieber & Lil Wayne!

編集部:ミノルさんも日本のラッパーと一緒に入場するなんていかがでしょうか?

ミノル:めちゃやりたい!!ベルト獲った後ですね。Pablowくんとかと入場したいかなー(笑)。

で、次の曲。これもフィーチャリング曲なんですよね。

Bebe Rexha – The Way I Are (Dance With Somebody) feat. Lil Wayne (Official Music Video)

編集部:ベベ・レクサですね。いわゆるポップシンガーなんですがエミネムとリアーナの「The Monster」を手がけた方でソングライターとしても有名です。あとタレントのローラに似ててカワイイ。

ミノル:最近の曲ですよね。こういう女性との曲にも違和感なく入って行けるのが凄いんですよ。リンプ・ビズキットとの曲はぶつかり合って勝ったし、それで良いと思うんです。でもこの曲では、しっかり女性をエスコートしている。ある種、引き立て役に回ってる。

編集部:かなり振り幅の大きな人なんですね!

ミノル:映画を観た後に、改めて過去の曲を聴き返してみたりもしたんですが「凄く色んな事を経験したんだろうなあ」って。その上でこういう曲を聴くと「人として強いなあ」って思いますね。笑顔一つにしてもなんというか深い。いろんなものを抱えて、悲しみを乗り越えた後に笑うんですよね。そういう所もカッコ良いって思う。

■僕は本当に格闘技しか出来ない。格闘技とヒップホップの事くらいしか考えてない!

編集部:計り知れない所はありますよね。キャッシュマネーレコード出身ですし、修羅場も沢山経験してると思います。最近も独立騒動で銃撃とかされてましたし(笑)。でもこうやってポップスターとしても活躍している。

ミノル:僕は本当に格闘技しか出来ないんですよ。格闘技とヒップホップの事くらいしか考えてない。家の事は全然出来ないし、気も使えないので、めっちゃ周りの人に怒られるんです。

例えばバイトしてた頃でも、何して良いか分かんなくなって、その場で立ちつくしてしまう。表現に問題があるかもしれないけど、自分では<アスペルガー症候群>的な面があると思っています。本当に格闘技しか出来ない。

でも『リル・ウェイン ザ・カーター』を見て、そういう生き方しか出来ない自分に自信が持てた。リル・ウェインって、本当にずっとウィードとリーンでハイになってんですけど、バッグからマイクとスタンドを出して仕事をするとなったら真剣なんです。好きな事で大成功して、凄い額の金を稼ぐって、やっぱり凄く難しい事だと思います。苦労も多いと思う。でも本人からしたら、ずっと夢の中で生きてるようなものだとも思うんですよ。

僕も格闘技をやっていて、正直つらい事もあるんです。でも、それも夢の中で起きてる、夢の一部なんだって。それで実際に勝ち上がっている人を見ると、自信が持てますね!

編集部:なるほど。自分と重なる面がある、と。

ミノル:「好きな事以外もやっていかないとダメ」みたいな風潮があるじゃないですか?格闘技関係者ですら「終わった(引退した)後の事も考えないといけないよ」なんて言う。でも、僕は一か八かなんです。

今は格闘技の事だけ考えて、突き詰めて進んで行く。いつかリングに立てなくなる日が来るかもしれないけど、その時に成功していれば、きっと何かに繋がっていくはずです。これはヒップホップから学んだ事かもしれません。リル・ウェインはじめズバ抜けた成功を手にしているヤツというのは、他の事が出来ないんじゃないかなって思う。

編集部:ファンも木村さんにそういう姿勢を求めてると思います。真似出来ないからこそ憧れる。木村さんは、アスリートである以上にファイターでありウォーリアーだと思うんです。これからもそうであって欲しい。ラッパーに木村さんのファンが多いのも、そういう姿勢に共感してるんだと思います。

ミノル:0か100かなんですよね。で、100の結果を出し続けないのも、僕の良い所なのかも。0が続く事もある(笑)。でも(敗戦も)今となっては良かったのかなとも思うんです。

挑戦して、結果ダメで。でも諦めずに行く。そういう姿勢は誇りに思うしかないなって。僕が勝手に思っている事ですが、成功したラッパーたちは、きっと売れていない時代から姿勢を変えていないと思うんです。

編集部:自分を曲げられない方は多いでしょうね。

ミノル:リル・ウェインにしても、売れるまでに「お前とはやってられん」って離れて行くヤツらが多かったんじゃないかなって。今周りにいるクルーって結局ついて来れた人たちなんだと思うんですよ。

編集部:木村さんも曲げられないタイプですよね。

ミノル:そうですね。これは書いてもらって構わないんですが、実はフリーになるにあたってスポンサーを全部外したんです。人に騙されたりとかもあって本気で悩んで、色んな事が本当に分からなくなってしまった。

それで「全て真っさらにして今までやってきた人たちと出来る所までやろう」と思ったんです。あの時は本当にヒップホップに救われた。だからリル・ウェインみたいに痛みや悲しみを見せる人が好きで。

編集部:スポンサーの件は凄く大変だったのでは?

ミノル:大変だったし、先行きが不安にもなりました。でも自分を捨てるのは嫌だったので、そういう意味では楽になれましたね。

今はこのままの僕でいさせてくれる人だけとやって行こうと思っています。Pablowくんがバトルで言っていた「金の稼ぎ方にこだわる」「腐っても鯛でいたい」ってラインが凄く好きなんです。「武士は食わねど高楊枝」ですよ。

編集部:お金の面で苦労したりとかは?

ミノル:東京に出てきたばかりの頃は、正直アルバイトをしないとお金がない状態でした。他の選手は、お金がない事を表に出して、周りからサポートしてもらっていた。でも僕は「アルバイトはしてないです。格闘技だけで食ってます」って言い張ってたんです。自分の中でそう言うと決めていた。でも、そうやって格好つけて言っていた事が、今では現実になった。そんな経験もあったので、Pablowくんの言葉は響きましたよね。

編集部:BADHOPも川崎のタフな環境からラップ一本で成り上がった人たちですもんね。

ミノル:実際つらい事もあったと思いますよ。でもそんな時でも人前に出るときはキチンとした綺麗な格好して。そこをちゃんとしないラッパーっているじゃないですか?「今頑張ってる最中なんで、こんな感じで良いでしょ?」みたいな雰囲気を出して。言葉にしてしまう人も多い。僕は格好をつけてる人のが好きですね。

ラストは「Mirror」。以前入場に使った曲です。

Lil Wayne – Mirror ft. Bruno Mars

タイトルの通り、鏡の中にいる自分に語りかける曲ですね。「俺は知っている。お前はつらいんだろ?」って。僕がイメージしているリル・ウェインそのものという感じです。ブルーノ・マーズのヴォーカルも良い。

「Mirror」は、鏡の前で葛藤とか悩みについて歌っているという設定の曲です。それこそ僕が好きなリル・ウェインが詰まっている曲。それまでは「こういう人なんだろうな」と勝手に想像していたんですが、そのイメージは間違ってなかったんだなって。この曲は自分の中でナンバーワンです!

Source: Abema HIPHOP TIMES

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