写真というメディアは、視覚情報でありながら、時にそれ以上のものが写り込みます。それは時に、気配や雰囲気、空気と呼ばれるつかみ所のないもの。
目に見えないそういったものを写真に封じ込めることができる一部の写真家たちは、言葉以上に写真で雄弁に語ることができます。奥山由之さんの写真にも感覚的な何かが写っているからこそ、特別なチカラで観るものを魅了しているのではないでしょうか。
─まるで球体を描くように形成されていく周囲の環境は、自ら発している”何か”によって形が決められているのではないか、と思える。写真には、その”何か”がよく見つかる─
本展では、写真家として歩みだして6年となる奥山由之さんが、写真集『BACON ICE CREAM』(パルコ出版)を作った後で止まってしまった“写真の持つ気配”をもう一度再生させるきっかけとなった、ある村の日常─命が宿り、球体を描くようにして人の輪が創り上げられていく様子─を具象と抽象で表現した最新作約70点を、四章の構成によって展示しています。
また、併設の展示室 「Gallery 916 small」では、映像作品の特別上映も。なお、本展覧会にあわせて赤々舎より出版される写真集『As the Call, So the Echo』が、916にて先行販売されます。
観るものの心のこわばりをそっとほぐしてくれるような優しさにあふれた写真の数々。肌寒いこんな季節だからこそ、強く、優しく響くのではないでしょうか。
Photo_©Yoshiyuki Okuyama
Text_Shinri Kobayashi
Yoshiyuki Okuyama 「As the Call, So the Echo」
会期:11月18日(土)〜12月24日(日)
時間:平日11:00〜20:00 / 土日・祝日 11:00〜18:30
休廊:月曜日(祝日を除く)
入場料:一般 ¥800、大学生・シニア(60歳以上) ¥500、高校生 ¥300、中学生以下無料
http://gallery916.com/exhibition/asthecallsotheecho/
Source: フィナム