映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』公開記念インタビュー。岸井ゆきのと角舘健悟が語る家族と表現。
11月4日(土)より、映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』が公開されます。主演の岸井ゆきのと、主題歌を担当したYogee New Wavesの角舘健悟、二人の対談インタビューから見えてきたのは、表現の世界で生きる人の心象風景でした。映画の世界観を引き継ぐ形で作られた、Yogee New Waves『SAYONARAMATA』のMV撮影現場で捉えた写真とともに。
- Photo_Kodai Kobayashi
- Edit_Taiyo Nagashima
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STORY
とある夏の地方都市。春野吉子は彼氏とのセックスを中断して鳴り続ける電話をとると、それは、祖父の訃報だった。二階から、父に声をかけるー 『おじいちゃん、死んじゃったって。』
岸井ゆきの
女優。1992年生まれ。初の主演として、春野吉子を演じる。
角舘健悟
Yogee New WavesのVo./Gt. 1991年生まれ。バンドとして初の主題歌を担当。
私、20歳までの記憶がほとんどないんですよ。
映画の制作に入る前から、お互いのことをご存知でしたか?
岸井そうですね。初めて会ったのは共通の友人を介して遊びに行ったライブでした。健悟くんの弾き語りを観たんですけど、こんな人他にいない!と思って、衝撃でしたね。
角舘なんか恥ずかしいですね(笑)。
どうしてそう感じたのか、教えてください。
岸井なんでだろう。優しいというか、暖かいというか、すごく人間的だなって。一番最初に見たときはステージの上にいる人としてだから、ライブの後に少し話した時は緊張しましたね(笑)。
逆に、角館さんから見た岸井さんの印象を教えてください。
角館かわいいし、僕も気軽に話しかけられなかったです。だって、女優さんですよ?なかなか近づけないですよ。
二人とも人前に出る立場で、同い年なのに、不思議な感想ですね。
角館僕はずっと男子校に通っていたので、男子校出身者のカルマからなかなか逃れられないんです。男兄弟の中で育ったし、女優さんって聞いたら固まっちゃうみたいな(笑)。
なるほど。年が近いから、昔見たテレビとかそういう他愛もないことも共有できそうな気がします。思い出の番組とかありませんか?
岸井私、20歳までの記憶がほとんどないんですよ。
角館え、それって、どういうこと?
岸井高校があまり合わなくて、3年間ずっと、未来のことだけを考えるようにしていたんです。卒業したら何をしようかな?とか。18歳で専門学校を受けるために横浜に行って、そこでスカウトしてもらって、それ以降新しい人生がはじまったと思っています。20歳までは別の人生でした。
最終的にまっすぐな方が救われる。そう信じて音楽をやっています。
ヘビーな話だと思うのですが、淡々と話されていますね。
岸井全然引きずっていないんです!
角館今、楽しめているならそれが一番ですよね。
岸井新しい人生がはじまって5年くらいしか経っていないので、日々が新鮮なんですよ(笑)
今はお芝居にのめり込んでいますか?
岸井はい。でも、お芝居をはじめてからずっと、「私のことなんて誰が見るんだろう?」と不安に感じることも多かったんです。ただ、今回の映画の主演をやらせてもらって、一つ皮がむけたなと。自分が主演として真ん中にいられたことが大きいと思います。
女優としての意識が変わったんですね。
岸井自分が中心になって現場の空気を作るということを意識しました。主演に自信がなかったら映画自体に説得力がなくなってしまうし。自由に素直にやっていいんだ!と思えたことが大きいですね。森ガキ監督をはじめ、今回の映画の制作チームがすごく素敵だったから、という理由もあります。
角館ミュージックビデオやドラマで見ていたけど、今回で印象が大きく変わった気がしましたよ。
『おじいちゃん、死んじゃったって。』という映画は、一見軽やかなようで、すごくヘビーな内容を扱っています。家族、地方社会、介護、そして死。そこにYogee New Wavesの『SAYONARAMATA』という楽曲がすごく合っているなと思いました。
角館僕は映画でも、表現でも、どこかに毒がないといけないと思っているんです。この映画にはそういう深みがちゃんとあるから、いいなって。ただハッピーエンドに終わらせるだけじゃなくて、そこに消化しきれない感情が残るんですよね。
角舘さんも岸井さんも、「暗さ」をポジティブに解釈している印象です。
角館そうですね。暗さについて目を向けていた時期もありますが、今は愛情こそが一番大切だと思っています。まっすぐであることが、最後にはちゃんと得をするはずなんですよ。短いタームでは損をすることもあるかもしれないけど。最終的にまっすぐな方が救われる。そう信じて音楽をやっています。
それは最近のYogee New Wavesの楽曲からも感じます。岸井さんは、演技がうまいと評されることが多いですが、それはどういう部分で評価されていると思いますか?演じるということを内側から見るとどういう感覚なのか知りたいです。
角館すごく興味ありますね。聞きたい。
岸井技術的な部分はまだまだです。例えば、こういう動作をしたらこう見られる、こう伝わるとか、計算しきれない部分も多いですね。ただ、他人の人格を借りるということに関してはたくさん考えます。例えば、吉子が言わないであろうことは言わないし、吉子だったらどうするのか、ということを考えて演じますね。心の方が深く入り込むかもしれないです。
角館ライブでも「どう見せるか」という意識は働くけれど、あくまで自分主体だから、他人の人格に入り込むのって、すごく難しそうですね。
他人が近くにいないとダメになってしまう関係性みたいなものがよくわからないんです。
今回の映画のキーワードである「家族」って、人それぞれに全く異なる形だと思うのですが、お二人にとっての「家族」について教えてください。
角館僕は母親がとにかく大好きです。男が初めて守る存在って、母だと思うんですよ。僕の両親は幼い頃に離婚しているのですが、かといって、父親とも会って話せば愛情を感じる。すごく複雑でしたね。
両親の間に立つ苦しさ、わかります。
角館そういう場面って、あるんですよね。これは自分にしかできない役割だ、適任だぞ。って思っていました。でも、恋人には「しんどいよ~!」って泣きついたりもしていましたね(笑)。
岸井私は、ずっといい子でいようと思っていました。両親も私のことをいい子だって考えてくれているだろうし。家族という近しい間柄でも、それぞれを個人として捉える家族で、海外旅行に行く時も自腹だったんですよ。
海外って、どこに行ったんですか?
岸井フランスに行くために25万円くらい、時給800円のバイトで貯めて…。
角館えー!すごい!
岸井だから、ある意味独立心が強いというか、他人が近くにいないとダメになってしまう関係性みたいなものがよくわからないんです。
悲しい時とかしんどい時も全て自分で解決するのでしょうか。
岸井全部ノートに書いています(笑)。
角館めっちゃ見たい。
岸井絶対にダメ(笑)。
最後に、映画の中の好きなシーン、見どころについて教えてください。
岸井朝ごはんのシーンですね。共演した皆さんと初めて会ってから二週間くらいの撮影だったんですけど、あのときに、ちゃんと家族になれたなって思えました。
角館水野美紀さん演じる薫がフェラーリに乗って登場するところかな。彼女は都会に生きる人で、東京生まれの自分の生活に比較的近いというか、共感できるところが多かったです。強いけれど、情緒の豊かな人。
ありがとうございました。
おじいちゃん、死んじゃったって。
公開:11月4日(土)
監督:森ガキ侑大
原作・脚本:山﨑佐保子
出演:岸井ゆきの、岩松了、美保純、岡山天音、水野美紀、光石研、小野花梨、赤間麻里子、池本啓太、大方斐紗子、五歩一豊、松澤匠
主題歌:Yogee New Waves「SAYONARAMATA」(Roman Label/BAYON PRODUCTION)
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Source: フィナム