北アイルランド出身のジョナサン・アンダーソンはイギリスの名門ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業すると、その3年後の2008年に〈J.W.アンダーソン〉を立ち上げ、2014年にはイギリスでもっとも権威のあるブリティッシュ・ファッション・アワードのエマージング・タレント・アワードを受賞した。同賞は将来が嘱望されるデザイナーに贈られるものだ。その先見の明には唸らざるを得ないが、スペインの老舗〈ロエベ(LOEWE)〉がアンダーソンをクリエイティブ・ディレクターとして迎え入れたのは2013年のことだった。
現在の〈ロエベ〉の快進撃はご存じのとおりで、ジェンダーレスを武器にした、シーズンテーマを設けないコレクションはアンダーソンの地力をまざまざとみせつけた。半年で消費されない、文化に連なるクリエーションを、という気概もよかった。
ファッショニスタのあいだで話題のトートとポーチはキメが細かく、しっとりしたブラックカーフの中央にユニークなメッセージを刻んでいる。フランス語で卵の意となるoeufは音読すれば “ウフ”。たしかに性差はもちろん、国境も超えてほっこりさせてくれる。
ちなみにその文字はプリントではなく、レザーカッターでパーツを切り取る最新テクノロジーと170年の歴史を有する象嵌細工マルケトリーの技術を応用したのもだ。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa
Edit_Ryo Muramatsu
ロエベジャパン カスタマーサービス
電話:03-6215-6116
www.loewe.com
Source: フィナム