フィナム
去る1月にパリで行われた〈ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)〉のショーのフィナーレは、無数のマーブルに埋め尽くされた。それはデザイナーにとって、最も思い入れのある意匠だった。 書籍の装飾などに用いられる伝統的な技法、エブル。油性塗料を水面に散らし、紙に写し取っていくという15世紀のトルコで生まれた由緒正しい技法だ。 ドリスはこれをテキスタイルの上で表現すべく協力してくれる職人を虱潰しに探した。そうして300点にのぼる〈ドリス ヴァン ノッテン〉だけのマーブルプリントがロンドンにある職人のアトリエで呱々の声を上げた。 ドリスの才が色彩感覚にあることはよく知られているところ…
連載「憧れの逸品」No.71 ドリス ヴァン ノッテンと6世紀続く意匠。