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【FOCUS IT.】柔軟な視点でモノ作りを続ける、アンベンドプロダクツが秘めるバッグブランドとしての可能性。

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2015年にスタートしたバッグブランド〈アンベンドプロダクツ(UNBEND PRODUCTS)〉。クラシカルな形のバッグをベースに、ヨットの帆や防水、耐摩耗性の生地「X-PAC」などのハイテク素材を用いて、必要な機能だけを搭載したシンプルなバッグが特徴です。

某自転車屋においてバッグの企画、生産を行いながら、自宅兼スタジオにて自身のブランド〈アンベンドプロダクツ〉をハンドメイドで作り続ける、デザイナーの中山敬太さんに話を訊きました。

「ヴィンテージから現行のモデルまで、バッグそのものを見るのが好きなんです。なかでも古いバッグだとすごく限られた用途にしか使えない機能がたくさんあるんです。ポケットがたくさんついていたり、紐が出ていたり。なかには用途や理由が不明なものもあるんです。その理由を調べたり、想像するのも楽しいんですよね」

長年探していてついに去年見つけたというヴィンテージのデイパック。自転車メーカーの〈キャノンデール(Cannondale)〉が80年代の初期に作っていたモノ。中にはプラスチックの芯が入った珍しい仕様になっている。

中山さんがバッグに興味を持ったきっかけは、中学生の頃に東京で初めて買ったデイパックとの出会いだそう。

「買った場所は忘れてしまったんですが、黒のナイロンでスエードボトムの〈ジャンスポーツ(JAN SPORTS)〉をすごく気に入って使っていました。当時流行っていたとか、好きなスケーターが背負っていたとかっていうわけではなく、ただ純粋にナイロンやスエードの素材感とか形に惹かれたんだと思います」

前職のアパレルブランドのパタンナーを辞め、手探り状態で始めたモノ作りが今の仕事に繋がっているそうです。

「僕がお客さんとして現職場のお店に買い物に行った際に社長に声を掛けられ、背負っているバックパックを自分で作ったと話したら、『面白いから一緒にやらない?』と誘ってもらったんです。その場で次の職場が決まりました(笑)。運が良かったですね」

1年以上探し回ったという80年代製の三菱のミシン。お世話になっているミシン屋さんに探してもらって手に入れた愛用品。

「最初はバッグの生地のことなどなにも知らなくて洋服用のミシンで縫えると思っていたんですけど、全然縫えなくて。洋服と違って生地が厚すぎてミシンの針が折れてしまうんです。失敗することも多かったですけど、わからないことを自分で調べるのが楽しかったですね」

現在の職場でバッグ作りの経験を積んでいるときに、以前から親交のあった〈エンズアンドミーンズ(ENDS AND MEANS)〉のデザイナー内山太郎さんがブランドを始めるきっかけをくれたと話します。

「太郎さんもバッグがすごく好きな人で、素材とかディテールにすごくこだわっています。会うたびに素材や形などについて話をしているくらいで。ある日、『中山くんが作ったモノを使ってみたい。何にもとらわれずに今本当に自分で作りたいと思うアイテムを作って!』と言ってくれたことでブランドを始めようと思えました。〈アンベンドプロダクツ〉の最初の商品は〈エンズアンドミーンズ〉とのコラボのバックパックだったんですけど、簡単なバッグではなく、手の込んだバッグを作りました。小さいブランドだと、最初の商品でバックパックのように作業工程が多いバッグは作らないと思うんです。でも、そのときに作りたいアイテムがバックパックだったのと、ブランドとしての説得力や意気込みを同時に出せたらと考えたんです」

アンベンドプロダクツが初めて作ったバックパック「MISSION PACK」。“light trip”をテーマに2泊3日程度の旅行を想定して作られている。色はBlackとCoyoteの2色で展開。現在生産予定なし。¥43,200+TAX

クラシックな形をハイテク素材でデザインしている〈アンベンドプロダクツ〉。同ブランドのアイテムは、1つ1つコンセプトがあります。

「これには防水、耐摩耗性に優れた『X-PAC』を使っています。ただの袋にめちゃくちゃ高い素材を使う、そんな部分がバカらしいなと思って。バカらしくて、無駄使い、消費している感じが今の業界やエンドユーザーへのメッセージになるかなって。単純に機能性がある生地を使って、カジュアルで使いやすいアイテムに落とし込んでも面白いと思うんです。でも、そうではない生地でも作っていて、バッグ素材としては定番のコーデュラナイロンも用意しています。ハイテク素材の並びになぜこの生地が?とか、なんで素材違いを同時にリリースするんだろう?などと考えてもらえたら、面白いなと」

写真上:ヨットの帆の生地を使用した「BUMP PACK-WHITE」。軽量で引き裂き強度がある。シャリっとした質感と透明感のある生地が特徴。¥8,100+TAX、写真下:X-PACを使用した「BUMP PACK-COYOTE」。¥8,800+TAX

軍が実際に使用していたポーチを平面にして、素材を「X-PAC」に変更して作った「DSH BAG COYOTE」。色はBlackとCoyoteまた、別生地を使用したNavyもある。¥7,580+TAX

〈アンベンドプロダクツ〉というブランド名の由来については、「曲がった針金は完全な真っ直ぐにならず、どうしてもいびつな真っ直ぐになります。機械を使えば真っ直ぐになるのかもしれない。でもそのいびつさが人の手が入った証となるわけで、そんなところに愛おしさを感じるんです」と中山さんは語ります。

「うちの商品には、雑という意味ではなく、ステッチの箇所や細かな手作業の部分に、どこか洗練されていない雰囲気とか、手作り感を出すことを意識しています。素材も、普通に生地屋とかで探すのではなく、建材や医療用資材などファッションとはおよそ関係のないところから見つけてくることもあります。形はシンプルで普通に見えても、どこか違和感がある。一回見たら記憶に残るような“引っかかり”のあるバッグを作れたらいいなと思っています」

Photo_Taro Hirayama
Edit&Text_Masato Saita


UNBEND PRODUCTS
www.unbend-products.com
instagram:unbend_products

Source: フィナム

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