〈ナイキ〉〈ネイバーフッド〉〈NHK〉をクライアントに持ち、鎮座ドープネスなどが出演した話題の彦根市のMVを手がけるなど、新進気鋭のクリエイティブ集団「セカイ(CEKAI)」をご存知でしょうか?
「セカイ」が株式会社南安精工と共同で、ウォッチデザインの歴史を現代に復刻していく腕時計ブランド〈テンプル(TMPL)〉を立ち上げ、7月18日(水)よりクラウドファンディングサイト・GREEN FUNDING内「Show Boat」にて、ファーストモデルとなる「1910S-CG01」、「1910S-SS01」の先行販売を開始しました。
〈テンプル〉は、プロダクトデザイナー・早川和彦氏(CEKAI)と、時計の名産地・長野県で30年以上にわたり時計の製造に携わってきた株式会社南安精工が出会ったことで生まれた、これまでにない新しい腕時計ブランド。
そのデザインアプローチが新鮮です。
腕時計が世の中に広がってから100年あまり、そのデザインには、各時代の出来事や時代性が織り込まれています。〈テンプル〉では、ウォッチデザインを「その時代を象徴する歴史・文化の結晶」として捉え、単体の時計ブランドの製品を復刻するのではなく、各時代の腕時計のデザインを独自の切り口で再編集し、現代に高い品質と適正価格で復刻していきます。
ファーストモデルの「1910S-CG01」「1910S-SS01」では、腕時計の黎明期となる1910年代のウォッチデザインを復刻。100年前の腕時計に見られる肉厚なフォルムや文字盤、象徴的な針の形を再編集し、現代的なサイズバランスの中に落とし込んだデザインが特徴です。
バリエーションとして、本体2種類、文字盤2種類(ブラック、ホワイト)、ケース2種類(ゴールド、シルバー)の計8バリエーションが揃っています。
工夫を凝らした、そのディテールを詳しく見てみましょう。
まずは、“懐古的フォルムと現代的サイズバランスの両立”です。時計を腕に身につけるという習慣がまだ浸透していなかった1910年代の腕時計は、女性用懐中時計のムーブメントを使用した小ぶりなものが主流でした。懐中時計の名残を感じさせる丸いケースと大きな竜頭。そのフォルムを踏襲し、当時の雰囲気を感じさせつつ、現代的なサイズバランスに仕上げています。
次は“アラビア数字と蓄光塗料が際立つ盤面”。当時の主な盤面素材であった陶器を再現した盤面に、懐中時計の名残ともいえる特徴的なアラビア数字を配置。飛行機など、移動の際の視認性が重要視されていた当時の仕様に習い、大きなアラビア数字の上に蓄光塗料がたっぷりと塗られています。
そして、“「コブラ針」の忠実再現”。通称「コブラ針」という、1910年代の針のデザインを忠実に再現しています。航空時計や軍用時計によく見られる形状で、先端部がコブラのように見えるため、そう呼ばれているとか。針にも蓄光塗料を採用し、視認性も抜群。鉄を炙って酸化させ錆びにくくする当時の技法から生まれる青色を再現した針色も特徴です。
そして、“品質と適正価格を両立させるムーブメントと耐磁設計”。ムーブメントには、使い勝手の良さ、正確性、デザイン、適正な価格を考慮し、日本製の高性能クオーツを採用。日常的にPCやスマホなど磁気と接触する昨今において多いのが、磁気によるトラブルです。今回MAGNETIC RESISITANT4800の耐磁性能を持たせるため、ムーブメントを磁力から守る特殊な構造を採用しています。価格は、3万円前後になりそうとのこと。
いずれのモデルも性別や年齢、シーンを問わず着用できる普遍的なデザインに仕上げられています。
これまでのアーカイブとして蓄積された時計デザインを、再編集し、デザインと機能性を現代に適用するようにアップデートするというこの手法。時計業界とは一味ちがうアプローチとして、リアリティのある回答になっているかと思います。クラシックなデザインは、性別やスタイル問わずマッチするので、実用的な一本として重宝しそうです。
Text_Shinri Kobayashi
TMPL
https://greenfunding.jp/showboat/projects/2377
https://tmpl.watch/
Source: フィナム