連載「憧れの逸品」No.53 有終の美を飾ったセリーヌのフィービー。

10年の長きにわたって〈セリーヌ（CÉLINE）〉のクリエイティブ・ディレクターを務めたフィービー・ファイロがこのプレフォールコレクションを最後に退任する。ここで紹介するトートバッグとウォレットは、力作揃いのコレクションのひとつ。

アイコニックなトート「カバ」でおなじみのシグネチャー “CÉLINE PARIS MADE IN ITALY” を大胆にあしらった「メイドイントートテキスタイル」。“Origami Pleats” の名のとおりマチを折り紙のように組み立てたコンストラクション、カーフレザーで縁取ったしなやかなキャンバス製ボディも魅力だ。

“Origami Pleats” を採り入れたもうひとつのモデルが「セリーヌパッチワークテキスタイル＆レザー」。大胆なオプティカル・パターンは頭文字の “C” をモチーフにしたもの。職人が一つひとつ縫いつけている。

そして、「カバ」とともに押しも押されもせぬアイコン的モデルとなったバイカラーのウォレット「ドラムドカーフスキン」。ジップアラウンド・タイプとスナップボタンつきのフラップ・タイプがある。

何者にもおもねらない、というこれからの女性のあり方を提示してみせたデザインアプローチは性差を超えてカルト的な人気を誇ったが、そのスタンスは終いまでぶれることがなかった。郷愁や惜別ではなく、自らのアイデンティティを体現するものとして携えたい。