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千駄ヶ谷『BLACX BOX』を紐解く | インタビュー | Hypebeast.JP

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日本のリテールシーンは、世界を見渡しても特異な成熟を遂げている。緻密に編まれたキュレーションと、明確な意思を帯びたディレクション。その両輪が高い次元で成立している背景には、島国という環境の中で独自に発展してきたカルチャーと、それを深く掘り下げ続ける探究心を持った人間がいるからだろう。多くのショップは、セレクトされたアイテムを通じて一貫した美意識を提示、あるいはカルチャー的文脈を軸に空間のスタイルを確立してきた。それらは単なる編集の結果ではなく、それぞれのオリジナリティを体現する表現でもある。

そうした文脈の中で、千駄ヶ谷に構える複合型ショップ『BLACX BOX』は、既存の枠組みから一歩外に出た存在だ。一見すると、その構成は統一性から逸脱しているようにも映る。しかし、その“不均質さ”こそが独自のリズムを生み出し、空間全体に有機的なまとまりをもたらしているのもまた事実である。

オープンから約2年。千駄ヶ谷に構える『BLACX BOX』は、この2年間で独自の存在感を放ち続けている。モノクロームを基調としたミニマルな空間には、厳選されたブランドピースをはじめ、ヴィンテージウェアや書籍、さらにはカーペットといった多様なプロダクトが並び、そのラインアップは一つのカテゴリーに収まることなく横断的に広がっている。一見すると無秩序にも思えるその構成だが、不思議な調和を保ちながら空間全体に独自のリズムを生み出している。訪れるたびに異なる表情を見せ、新たな発見が見つかる点も、このショップの魅力のひとつだ。

今回『Hypebeast』では、『BLACX BOX』を手がけるKobayashi Toshiyaにインタビューを実施。空間設計の背景からセレクトの基準、そしてヴィンテージアイテムの審美眼に至るまで、その全貌に迫る。


それぞれのフロアが異なる役割と個性を持ちながらも、建物全体としてひとつの体験に繋がるよう設計しています

Hypebeast:まず最初に、『BLACX BOX』とはどのようなお店なのか教えてください。

Koabayashi Toshiya:『BLACX BOX』は、いわゆるファッションショップという枠には収まらない場所です。名前の通り、何が出てくるかわからない“ブラックボックス”のように、ヴィンテージや書籍、アート、衣服といったさまざまな要素が混在し、訪れるたびに異なる発見が生まれる空間を目指しています。

この場所はどのようなコンセプトでスタートしたのでしょうか?

特定のジャンルに縛られず、複数のカルチャーが交差する場をつくりたいという思いが出発点にありました。ファッションに限らず、自分たちが価値を感じるものをフラットに並べることで、結果的に一つの空間として成立させることを意識しています。

『BLACX BOX』という名前にはどんな意味がありますか?

“ブラックボックス”という言葉には、内部構造が外からは見えない装置という意味があります。つまり、実際に足を運ばないと何が行われているのか分からない場所、というニュアンスですね。外からは輪郭が掴めないけれど、一歩入ると多様なカルチャーが詰まっている。そんな空間にしたいという思いを込めています。また、“BLACK”の“K”を“X”に置き換えているのは、異なる要素が交差し、掛け合わさるイメージを反映したものです。

千駄ヶ谷という場所を選んだ理由はありますか?

原宿や渋谷とはまた違った、落ち着いた空気があるエリアですよね。ファッションに限らず、建築やデザイン、アートといったカルチャーが静かに根付いている場所だと思っています。その空気感が『BLACX BOX』の在り方とも自然に重なると感じ、ここを選びました。

テナント内の構造も非常にユニークですが、各フロアについて教えてください。

『BLACX BOX』は、ひとつのショップというよりも、複数の小さな世界が集積したような構成になっています。ヴィンテージや書籍、カフェ、アートといった要素がそれぞれ独立しながらも、緩やかに混ざり合うことで、空間全体としてひとつのカルチャーを形成しているイメージです。

B1Fは、「BB Cafe」を中心に、イベントやポップアップを開催するフレキシブルなスペース。タイミングによって異なる表情を見せる、可変性の高いフロアです。

1Fには、パリの書店『Classic Paris』によるセレクションに加え、レコードや音楽関連のマガジンを扱う『Dizonord』の本を展開しています。また、パリを拠点とするアーティストのJulien(ジュリアン)や、アメリカのアーティスト Rita Salt(リタ サルト)によるセラミック作品、さらにスタイリストの島田辰哉さんが手がけるZineも取り扱っています。

2Fでは、『BLACX BOX』のオリジナルスーベニアアイテムをはじめ、厳選したユーズドアイテムを展開しています。

3Fは、高円寺のヴィンテージショップ『Safari』によるセレクトフロア。独自の視点で選ばれたピースが並びます。

4Fは、『BLACX BOX』がキュレーションするブランドフロア。国内外のレーベルを横断的にセレクトしています。

5Fには、大阪の『ESSENTIAL STORE』が手がけるヴィンテージ生地のプロジェクト YUGE FABRIC FARMのスペースを設けているほか、ファッションブランド〈A MACHINE(エーマシーン)〉のアイテムも展開しています。それぞれのフロアが異なる役割と個性を持ちながらも、建物全体としてひとつの体験に繋がるよう設計しています。

ヴィンテージ、書籍、カフェなど異なるジャンルを組み合わせた理由はなんでしょうか。

単純に“服を買う場所”ではなく、“時間を過ごす場所”にしたいという思いがありました。本を読んだり、コーヒーを飲んだり、アートに触れたりする中で、自然と服に出会う。そういった体験の方が、より面白いと感じています。

『BLACX BOX』ではどのような視点でヴィンテージやアイテムをセレクトしていますか?

いわゆる年代やブランドといった分かりやすい指標よりも、そのアイテムが持つ空気感や背景にあるストーリーを重視しています。ジャンルに縛られることなく、「純粋に面白いかどうか」という感覚を軸にセレクトしています。

Veilanceのような機能的なブランドと、I SHIIのよう新鋭ブランドが同じ空間に並んでいる点が印象的でした。セレクトの基準について教えてください。

ジャンルを揃えるというよりも、異なる性質のものが同じ空間に並ぶことで、新しい見え方が生まれると考えています。例えば、機能性を追求したプロダクトと、よりアート的なアプローチの服が隣り合うことで、ファッションに対する視点が少しずれる。その“ズレ”自体が、この空間の面白さにつながればいいなと思っています。

MonMonHouseやA.A Vintageなどのポップアップも開催されていますが、どのような基準で選ばれているのでしょうか?

ブランドとしての強さや知名度以上に、この空間とどれだけ自然に馴染むかを重視しています。『BLACX BOX』という場を通して、さらに面白い体験を生み出せるかどうか。その視点を共有できる人たちと、今後も継続的に取り組んでいきたいと考えています。

『BLACX BOX』の空間設計において、特に意識された建築的な要素や、参照された思想・アプローチがあれば教えてください。

ひとつの完成された空間をつくるというよりも、「余白のある箱」を意識しています。ショップでありながら、展示空間や倉庫、あるいはギャラリーのように、用途が固定されない状態を大切にしたいと考えました。建築的にも、特定の様式を参照するというよりは、機能や装飾を削ぎ落とすことで、抽象度の高い空間をつくるアプローチを取っています。そこに置かれるものや、人の動きによって、空間の意味自体が変化していくような可変性を意識しています。また、フロアごとに異なる小さな“世界”が存在しながらも、建物全体としてはひとつの連続した体験になるように、動線や視線の抜け方も設計しています。

モノクロームを基調とした空間構成や素材選びが印象的ですが、そこにはどのようなコンセプトや意図が込められているのでしょうか?

空間そのものを過度に主張させないために、モノクロームを基調としています。空間に強い色や装飾があると、それぞれが干渉し合ってしまうんです。だからこそ、色を極力排したニュートラルな状態をつくることで、置かれているもの一つひとつの個性や質感が際立つように意識しています。言い換えれば、空間はあくまで背景であり、主役はそこにあるカルチャーそのもの。また、モノクロームにすることで、時間帯や光の変化によって空間の表情が移ろいやすくなる。訪れるたびに異なる印象を受けられる点も、この構成のひとつの魅力だと思います。

自然光の取り入れ方も非常に印象的ですが、このテナントを選ばれた背景や決め手について教えてください。

まさにこのテナントを選んだ理由のひとつが、自然光の入り方でした。ただ、最初からそれをそのまま活かしたわけではなく、「ブラックボックス」というコンセプトを徹底するために、一度すべての窓を塞ぐところからスタートしています。外部の情報をいったん遮断し、完全に閉じた状態をつくることで、光を単なる採光ではなく、空間の中で強く意識される要素として捉え直したかったんです。時間帯や天候によって光の強さや角度が変わり、その変化がそのまま空間の表情を形づくっていく、そうした状態を意識しています。完全にコントロールされた人工的な箱の中に、コントロールしきれない自然光が入り込む。その対比によって、空間に偶発性や揺らぎが生まれると考えています。また、すべてを閉じ切るのではなく、わずかに外との接点を残すことで、「ブラックボックス」でありながらも外の気配を感じられる状態にしています。この“閉じることと開くことのバランス”も、この空間における重要なテーマのひとつです。


特定のジャンルに縛られない人たちが自然と集まる場所にしたい

他のヴィンテージショップとの違いはどこにあると思いますか?

ヴィンテージを単なる古着としてではなく、ひとつのカルチャーとして提示している点にあると思います。服単体で完結させるのではなく、書籍やアートといった異なる要素と並置することで、より多角的な視点から楽しめる空間を意識しています。それぞれのアイテムが持つ背景や文脈が、空間の中でゆるやかに接続されていくことで、ヴィンテージの見え方自体も変わってくる。その体験こそが、『BLACX BOX』ならではの特徴だと考えています。

ファッション以外にも書籍やアートなど様々なカルチャーが交差する空間ですが、どのようなコミュニティを大切にしていますか?

特定のジャンルに縛られない人たちが自然と集まる場所にしたいと考えています。ファッションに関わる人だけでなく、アーティストやデザイナー、本が好きな人など、異なるバックグラウンドを持つ人たちが緩やかに交わるような環境が理想です。それぞれが異なる視点や価値観を持ち寄ることで、空間そのものにも新しい広がりが生まれると思っています。今後も、そうした多様性が自然に混ざり合う場であり続けたいですね。

現在の東京のヴィンテージシーンをどう見ていますか?

東京は、世界的に見てもヴィンテージカルチャーが非常に成熟している都市のひとつだと思います。クオリティや審美眼の水準も高く、シーンとしての完成度はかなり高いですよね。ただその一方で、成熟しているからこそ、ある種の方向性に収束している部分も感じています。だからこそ、少し異なる視点や角度から提示する場所の必要性もあるのではないかと考えています。

『BLACX BOX』は、その中でどのような役割を担っていきたいと考えていますか?

ヴィンテージに限らず、アートや新しい表現も含めて横断的に紹介できる場所でありたいと考えています。それぞれを個別に切り分けるのではなく、異なる文脈同士が自然に交わることで、新しい見え方が生まれるような場にしたいですね。いわば、カルチャーの“交差点”のような役割を持てたら面白いと思っています。

初めて『BLACX BOX』を訪れる人には、どのように楽しんで欲しいですか?

あまり明確な目的を持たずに、ふらっと立ち寄ってもらえたら嬉しいです。何かを買うためというよりも、まずは空間そのものを体験するような感覚で楽しんでもらえたらと思っています。

今後『BLACX BOX』で挑戦していきたいことはありますか?

ファッションブランドに限らず、アーティストやデザイナーと協働しながら、新しい作品やプロジェクトを生み出していきたいと考えています。また、B1Fのポップアップスペースを活用したイベントなど、この場所ならではの企画もさらに広げていきたいですね。空間自体をひとつのプラットフォームとして捉えながら、訪れるたびに異なる体験が生まれるような仕掛けを増やしていければと思っています。

将来的にこの場所をどんな存在にしていきたいですか?

ジャンルに縛られないカルチャースポットとして、長く続く場所にしていきたいですね。ここに来れば、何かしら新しい出会いがある。そんな存在であり続けられたらと思います。

BLACX BOX
千駄ヶ谷に位置する『BLACX BOX』は、2024年にオープンした複合型コンセプトショップ。建物全体は6フロアで構成され、ヴィンテージウェアをはじめ、セレクトブランド、書籍、アート、カフェ、さらにはポップアップスペースまで、多様な要素が一体となった空間として展開されている。各フロアごとに異なるショップや機能が配置されながらも、全体としては一つの“コンパクトデパートメントストア”のように機能し、訪れるたびに異なる体験を提供する構造となっている。また、国内外のヴィンテージショップや海外書店、アート展示などが混在し、定期的にイベントやエキシビションも開催。ファッションに限らず、カルチャーを横断的に体感できる場として注目を集めている。

BLACX BOX
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷2-2-7
営業時間:12:00~19:00※定休日(水曜)

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日本のリテールシーンは、世界を見渡しても特異な成熟を遂げている。緻密に編まれたキュレーションと、明確な意思を帯びたディレクション。その両輪が高い次元で成立している背景には、島国という環境の中で独自に発展してきたカルチャーと、それを深く掘り下げ続ける探究心を持った人間がいるからだろう。多くのショップは、セレクトされたアイテムを通じて一貫した美意識を提示、あるいはカルチャー的文脈を軸に空間のスタイルを確立してきた。それらは単なる編集の結果ではなく、それぞれのオリジナリティを体現する表現でもある。

そうした文脈の中で、千駄ヶ谷に構える複合型ショップ『BLACX BOX』は、既存の枠組みから一歩外に出た存在だ。一見すると、その構成は統一性から逸脱しているようにも映る。しかし、その“不均質さ”こそが独自のリズムを生み出し、空間全体に有機的なまとまりをもたらしているのもまた事実である。

オープンから約2年。千駄ヶ谷に構える『BLACX BOX』は、この2年間で独自の存在感を放ち続けている。モノクロームを基調としたミニマルな空間には、厳選されたブランドピースをはじめ、ヴィンテージウェアや書籍、さらにはカーペットといった多様なプロダクトが並び、そのラインアップは一つのカテゴリーに収まることなく横断的に広がっている。一見すると無秩序にも思えるその構成だが、不思議な調和を保ちながら空間全体に独自のリズムを生み出している。訪れるたびに異なる表情を見せ、新たな発見が見つかる点も、このショップの魅力のひとつだ。

今回『Hypebeast』では、『BLACX BOX』を手がけるKobayashi Toshiyaにインタビューを実施。空間設計の背景からセレクトの基準、そしてヴィンテージアイテムの審美眼に至るまで、その全貌に迫る。


それぞれのフロアが異なる役割と個性を持ちながらも、建物全体としてひとつの体験に繋がるよう設計しています

Hypebeast:まず最初に、『BLACX BOX』とはどのようなお店なのか教えてください。

Koabayashi Toshiya:『BLACX BOX』は、いわゆるファッションショップという枠には収まらない場所です。名前の通り、何が出てくるかわからない“ブラックボックス”のように、ヴィンテージや書籍、アート、衣服といったさまざまな要素が混在し、訪れるたびに異なる発見が生まれる空間を目指しています。

この場所はどのようなコンセプトでスタートしたのでしょうか?

特定のジャンルに縛られず、複数のカルチャーが交差する場をつくりたいという思いが出発点にありました。ファッションに限らず、自分たちが価値を感じるものをフラットに並べることで、結果的に一つの空間として成立させることを意識しています。

『BLACX BOX』という名前にはどんな意味がありますか?

“ブラックボックス”という言葉には、内部構造が外からは見えない装置という意味があります。つまり、実際に足を運ばないと何が行われているのか分からない場所、というニュアンスですね。外からは輪郭が掴めないけれど、一歩入ると多様なカルチャーが詰まっている。そんな空間にしたいという思いを込めています。また、“BLACK”の“K”を“X”に置き換えているのは、異なる要素が交差し、掛け合わさるイメージを反映したものです。

千駄ヶ谷という場所を選んだ理由はありますか?

原宿や渋谷とはまた違った、落ち着いた空気があるエリアですよね。ファッションに限らず、建築やデザイン、アートといったカルチャーが静かに根付いている場所だと思っています。その空気感が『BLACX BOX』の在り方とも自然に重なると感じ、ここを選びました。

テナント内の構造も非常にユニークですが、各フロアについて教えてください。

『BLACX BOX』は、ひとつのショップというよりも、複数の小さな世界が集積したような構成になっています。ヴィンテージや書籍、カフェ、アートといった要素がそれぞれ独立しながらも、緩やかに混ざり合うことで、空間全体としてひとつのカルチャーを形成しているイメージです。

B1Fは、「BB Cafe」を中心に、イベントやポップアップを開催するフレキシブルなスペース。タイミングによって異なる表情を見せる、可変性の高いフロアです。

1Fには、パリの書店『Classic Paris』によるセレクションに加え、レコードや音楽関連のマガジンを扱う『Dizonord』の本を展開しています。また、パリを拠点とするアーティストのJulien(ジュリアン)や、アメリカのアーティスト Rita Salt(リタ サルト)によるセラミック作品、さらにスタイリストの島田辰哉さんが手がけるZineも取り扱っています。

2Fでは、『BLACX BOX』のオリジナルスーベニアアイテムをはじめ、厳選したユーズドアイテムを展開しています。

3Fは、高円寺のヴィンテージショップ『Safari』によるセレクトフロア。独自の視点で選ばれたピースが並びます。

4Fは、『BLACX BOX』がキュレーションするブランドフロア。国内外のレーベルを横断的にセレクトしています。

5Fには、大阪の『ESSENTIAL STORE』が手がけるヴィンテージ生地のプロジェクト YUGE FABRIC FARMのスペースを設けているほか、ファッションブランド〈A MACHINE(エーマシーン)〉のアイテムも展開しています。それぞれのフロアが異なる役割と個性を持ちながらも、建物全体としてひとつの体験に繋がるよう設計しています。

ヴィンテージ、書籍、カフェなど異なるジャンルを組み合わせた理由はなんでしょうか。

単純に“服を買う場所”ではなく、“時間を過ごす場所”にしたいという思いがありました。本を読んだり、コーヒーを飲んだり、アートに触れたりする中で、自然と服に出会う。そういった体験の方が、より面白いと感じています。

『BLACX BOX』ではどのような視点でヴィンテージやアイテムをセレクトしていますか?

いわゆる年代やブランドといった分かりやすい指標よりも、そのアイテムが持つ空気感や背景にあるストーリーを重視しています。ジャンルに縛られることなく、「純粋に面白いかどうか」という感覚を軸にセレクトしています。

Veilanceのような機能的なブランドと、I SHIIのよう新鋭ブランドが同じ空間に並んでいる点が印象的でした。セレクトの基準について教えてください。

ジャンルを揃えるというよりも、異なる性質のものが同じ空間に並ぶことで、新しい見え方が生まれると考えています。例えば、機能性を追求したプロダクトと、よりアート的なアプローチの服が隣り合うことで、ファッションに対する視点が少しずれる。その“ズレ”自体が、この空間の面白さにつながればいいなと思っています。

MonMonHouseやA.A Vintageなどのポップアップも開催されていますが、どのような基準で選ばれているのでしょうか?

ブランドとしての強さや知名度以上に、この空間とどれだけ自然に馴染むかを重視しています。『BLACX BOX』という場を通して、さらに面白い体験を生み出せるかどうか。その視点を共有できる人たちと、今後も継続的に取り組んでいきたいと考えています。

『BLACX BOX』の空間設計において、特に意識された建築的な要素や、参照された思想・アプローチがあれば教えてください。

ひとつの完成された空間をつくるというよりも、「余白のある箱」を意識しています。ショップでありながら、展示空間や倉庫、あるいはギャラリーのように、用途が固定されない状態を大切にしたいと考えました。建築的にも、特定の様式を参照するというよりは、機能や装飾を削ぎ落とすことで、抽象度の高い空間をつくるアプローチを取っています。そこに置かれるものや、人の動きによって、空間の意味自体が変化していくような可変性を意識しています。また、フロアごとに異なる小さな“世界”が存在しながらも、建物全体としてはひとつの連続した体験になるように、動線や視線の抜け方も設計しています。

モノクロームを基調とした空間構成や素材選びが印象的ですが、そこにはどのようなコンセプトや意図が込められているのでしょうか?

空間そのものを過度に主張させないために、モノクロームを基調としています。空間に強い色や装飾があると、それぞれが干渉し合ってしまうんです。だからこそ、色を極力排したニュートラルな状態をつくることで、置かれているもの一つひとつの個性や質感が際立つように意識しています。言い換えれば、空間はあくまで背景であり、主役はそこにあるカルチャーそのもの。また、モノクロームにすることで、時間帯や光の変化によって空間の表情が移ろいやすくなる。訪れるたびに異なる印象を受けられる点も、この構成のひとつの魅力だと思います。

自然光の取り入れ方も非常に印象的ですが、このテナントを選ばれた背景や決め手について教えてください。

まさにこのテナントを選んだ理由のひとつが、自然光の入り方でした。ただ、最初からそれをそのまま活かしたわけではなく、「ブラックボックス」というコンセプトを徹底するために、一度すべての窓を塞ぐところからスタートしています。外部の情報をいったん遮断し、完全に閉じた状態をつくることで、光を単なる採光ではなく、空間の中で強く意識される要素として捉え直したかったんです。時間帯や天候によって光の強さや角度が変わり、その変化がそのまま空間の表情を形づくっていく、そうした状態を意識しています。完全にコントロールされた人工的な箱の中に、コントロールしきれない自然光が入り込む。その対比によって、空間に偶発性や揺らぎが生まれると考えています。また、すべてを閉じ切るのではなく、わずかに外との接点を残すことで、「ブラックボックス」でありながらも外の気配を感じられる状態にしています。この“閉じることと開くことのバランス”も、この空間における重要なテーマのひとつです。


特定のジャンルに縛られない人たちが自然と集まる場所にしたい

他のヴィンテージショップとの違いはどこにあると思いますか?

ヴィンテージを単なる古着としてではなく、ひとつのカルチャーとして提示している点にあると思います。服単体で完結させるのではなく、書籍やアートといった異なる要素と並置することで、より多角的な視点から楽しめる空間を意識しています。それぞれのアイテムが持つ背景や文脈が、空間の中でゆるやかに接続されていくことで、ヴィンテージの見え方自体も変わってくる。その体験こそが、『BLACX BOX』ならではの特徴だと考えています。

ファッション以外にも書籍やアートなど様々なカルチャーが交差する空間ですが、どのようなコミュニティを大切にしていますか?

特定のジャンルに縛られない人たちが自然と集まる場所にしたいと考えています。ファッションに関わる人だけでなく、アーティストやデザイナー、本が好きな人など、異なるバックグラウンドを持つ人たちが緩やかに交わるような環境が理想です。それぞれが異なる視点や価値観を持ち寄ることで、空間そのものにも新しい広がりが生まれると思っています。今後も、そうした多様性が自然に混ざり合う場であり続けたいですね。

現在の東京のヴィンテージシーンをどう見ていますか?

東京は、世界的に見てもヴィンテージカルチャーが非常に成熟している都市のひとつだと思います。クオリティや審美眼の水準も高く、シーンとしての完成度はかなり高いですよね。ただその一方で、成熟しているからこそ、ある種の方向性に収束している部分も感じています。だからこそ、少し異なる視点や角度から提示する場所の必要性もあるのではないかと考えています。

『BLACX BOX』は、その中でどのような役割を担っていきたいと考えていますか?

ヴィンテージに限らず、アートや新しい表現も含めて横断的に紹介できる場所でありたいと考えています。それぞれを個別に切り分けるのではなく、異なる文脈同士が自然に交わることで、新しい見え方が生まれるような場にしたいですね。いわば、カルチャーの“交差点”のような役割を持てたら面白いと思っています。

初めて『BLACX BOX』を訪れる人には、どのように楽しんで欲しいですか?

あまり明確な目的を持たずに、ふらっと立ち寄ってもらえたら嬉しいです。何かを買うためというよりも、まずは空間そのものを体験するような感覚で楽しんでもらえたらと思っています。

今後『BLACX BOX』で挑戦していきたいことはありますか?

ファッションブランドに限らず、アーティストやデザイナーと協働しながら、新しい作品やプロジェクトを生み出していきたいと考えています。また、B1Fのポップアップスペースを活用したイベントなど、この場所ならではの企画もさらに広げていきたいですね。空間自体をひとつのプラットフォームとして捉えながら、訪れるたびに異なる体験が生まれるような仕掛けを増やしていければと思っています。

将来的にこの場所をどんな存在にしていきたいですか?

ジャンルに縛られないカルチャースポットとして、長く続く場所にしていきたいですね。ここに来れば、何かしら新しい出会いがある。そんな存在であり続けられたらと思います。

BLACX BOX
千駄ヶ谷に位置する『BLACX BOX』は、2024年にオープンした複合型コンセプトショップ。建物全体は6フロアで構成され、ヴィンテージウェアをはじめ、セレクトブランド、書籍、アート、カフェ、さらにはポップアップスペースまで、多様な要素が一体となった空間として展開されている。各フロアごとに異なるショップや機能が配置されながらも、全体としては一つの“コンパクトデパートメントストア”のように機能し、訪れるたびに異なる体験を提供する構造となっている。また、国内外のヴィンテージショップや海外書店、アート展示などが混在し、定期的にイベントやエキシビションも開催。ファッションに限らず、カルチャーを横断的に体感できる場として注目を集めている。

BLACX BOX
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷2-2-7
営業時間:12:00~19:00※定休日(水曜)

and integrate them seamlessly into the new content without adding new tags. Ensure the new content is fashion-related, written entirely in Japanese, and approximately 1500 words. Conclude with a “結論” section and a well-formatted “よくある質問” section. Avoid including an introduction or a note explaining the process.

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