DEUX MONCX & TAISHI NOBUKUNI
信國太志、デュモンクスを携える。
レザーバッグブランド〈デュモンクス(DEUX MONCX)〉が目の肥えたユーザーの間で売れ続けている。勝因は日本の職人仕事に裏打ちされた真っ当なつくり、ケレン味を感じさせない、いまの時代に溶け込むデザインのさじ加減にある。〈デュモンクス〉のうまそうな匂いに誘われてスタジオを訪れたのは、信國太志さん。デザイナーとして一世を風靡するも、その名声に飽き足らずテーラーの世界に飛び込んだ信國さんは〈デュモンクス〉をどんな皿(=服)に盛り付けるのか。
- Photo_Hiroyuki Takashima
- Text_Kei Takegawa
- Edit_Ryo Muramatsu
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信國太志
1970年熊本県生まれ。セントラル・セントマーチン美術大学卒。1998年に〈タイシノブクニ〉をローンチ。2004年から4年間に渡って〈タケオキクチ〉のクリエイティブディレクターを務める。2011年、テーラーに転身。〈ザ クラフティヴィズム〉を始動。
切り目が象徴するものづくり。
信國これ、切り目(切りっ放しで仕上げたコバの処理)ですね。切り目といえば80年代の〈コム デ ギャルソン〉で見たのが最初です。
全国模試で日本で一番(!)になり、どこの学校でも入れるといわれたのにファッションに傾倒していったころですね。
信國そのころの僕はユーティリティなものづくりとデザイナーのそれの間で揺れ動いていました。〈コム デ ギャルソン〉はデザイナーブランドでありながら、ユーティリティなものづくりの採り入れ方がうまかった。
切り目は量産とは真逆の方向性を志向した〈デュモンクス〉を象徴するディテールです。
信國そうなんですね。日本のものづくりってどこか四角四面で色気がなかった。僕はそれを浅草臭っていっているんですが(笑)。
〈デュモンクス〉はものづくりを分かっている職人がちゃんとつくっているな、という印象を受けますね。
製造現場は工房といっても成立しそうな規模です。月産8本とか、そういうレベルでつくられていますからね。そうそう、マイナーチェンジを繰り返して完成度を高めていくことに重きをおいているのも〈デュモンクス〉の魅力。その切り目のバッグは「レガート」というブランドを代表するロングセラーモデルです。
信國それは立派ですね。
マイナーチェンジの成果は収納構造にも反映されています。痒いところに手が届く構造は日本のブランドが得意とするところですが、頭一つ抜けているといっていいと思います。ドキュメントホルダー、ペン&カードホルダーなどのコンパートメント構造はもちろん、ダブルファスナーや三方開きを標準装備していて開閉構造も申し分がない。
信國なるほど。
信國さんはテーラーに転身した理由を「誰のためにつくっているかが分かる、という部分がこよなく魅力的だった」と語っていますが、使い手の声をフィードバックして職人が一つひとつ精度を高めていく〈デュモンクス〉のスタンスからは近しい匂いを感じます。
逆張りのスタイルに溶け込むバッグ。
信國このしなやかなレザーもいいですね。
アンコンの例を出すまでもなく服も軽やかになっていますからね。「カターナ」は直球でこのお題に応えたもの。シュリンクレザーのテクスチャーを生かすべく芯材をギリギリのところまで省いているんです。
信國それでいてかっちりした佇まいがある。僕ならストリートを想起させる、その名もドカチン・スーツ(笑)に合わせたいですね。カジュアルにカジュアルでは凡庸。これはもう、僕の性分ですが、逆張りをしたい。不良がスーツをつくっているのもそうですが、そういう振り幅が新しいものを生むんじゃないかなと。
芯材ががっつり入った昔ながらのブリーフではさすがに重い。「カターナ」はレザーやステッチで重厚な印象を和らげています。引き算の発想があったからこそ成立するスタイリングですね。
信國(バッグを手にとりつつ)、さっきの「レガート」はシアサッカーのジャケット、こっちのバッグ(プラグマシック)はシャツ×スラックスで持つことにします。
実際のスタイリングはこのあと披露していただくとして、最後にうかがっておきたいのがこの4月にローンチしたばかりのウェットスーツです。テーラーとウェットスーツって異次元の発想でした。これもひとつの逆張りですね。
信國ダーツを入れて胸の前後にボリュームをも持たせています。テーラーの技術を応用することで着心地もシルエットも格段に良くなったと思う。肺が圧迫されないので呼吸が楽だし、肩周りもストレスなく動く。何時間でも海に潜っていられそうです。
サーフィンは昔からやっていて、いつかトライしたいと温めてきたアイデアでした。ダブ(=〈ダブ サーフィング ウエットスーツ〉。1975年に創業した老舗)とのコラボレーションモデルになります。
信國さんはかつてこんなこともおっしゃっていました。「東京には伝統がない。伝統はないが、だからといってほかの国がつくったルールに縛られるのはナンセンス。もっと自由でいいと思う」、と。常識にとらわれない信國さんだからできたウェットスーツですね。そんな男が料理したら〈デュモンクス〉はどう仕上がってくるのか。このコラボレーションもみてみたい気がします。
信國ぜひ(笑)。
STYLE 01:CATANA
裾幅25センチ。リネンを仕立てた極太のシルエットの足元には本物の足袋。モードを極めたスタイルの巧妙な重しになってくれるのが伝統的デザインを踏襲した「カターナ」だ。芯材を極力排した「カターナ」はその実しなやか。“逆張り” のようで親和性が高い。
ボディをぐるりと一周する2本のベルトが補強と安定感を両立するロングセラーモデル「カターナ」。シュリンクレザーの風合いを優先し、最小限の芯材で構成したコンストラクションも見どころ。両アオリポケットなど収納構造もいうことがない。ブリーフケース M ¥46,000+TAX
STYLE 02:PRAGMACHIC
高番手のシャツにスラックス。一見正統に見えて、タイドアップしているかのように錯覚するトロンプルイユ(だまし絵)とスタンスミスで抜け感を演出したスタイリング。風格のある「プラグマシック」を携えれば、その名の通りシックな雰囲気が上積みされる。
ラウンドシェイプのダブルジップがモダンな印象を演出する春の新作「プラグマシック」。ボディにはイタリアのCOPER社製レザーを採用。家具にも使われるそのレザーは耐久性と発色の良さが魅力。ハンドルにはレザーカバー付きのシューホーンが付属。ラウンドブリーフ M ¥54,000+TAX
STYLE 03:LEGATO
シアサッカーのジャケットをベースにブルーのグラデーションで仕上げた、これからの季節にふさわしい清涼感溢れるスタイリング。合わせたバッグは「レガート」。ポイントは角度によってはブラウンにもみえるダークグレイ。アンニュイなカラーリングが好相性だ。
ブランドを代表する不動の四番バッター「レガート」。クラシカルなループハンドル、手汚しのアンティークレザー、そしてコバの切り目仕上げ。熟練の職人仕事がベースにある〈デュモンクス〉の真骨頂ともいうべきスペックが満載だ。トートバッグ LH ¥48,000+TAX
サムソナイト・ジャパン
電話:0800-12-36910
www.deuxmoncx.jp
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Source: フィナム