マックス・リヒターはオックスフォードのスタジオからダイヤルインしています。彼の背後には本だらけの棚が並び、その前にはグランドピアノが中央に位置しています。リヒターは「音楽は世界を探究する手段として捉えています」と語ります。彼の話し方は、彼の音楽と同様に熟考深く、雄弁で超越的です。「ある種の地図を作る手段」としての音楽とは、と彼は述べています。

ドイツとイギリスの混血の作曲家であるリヒターは、バッハやシューベルトなどのアーティストが時計回りにレコードプレーヤーから演奏されるような家庭で育ちました。「伝統的にドイツ的」と彼は言います。リヒターは子供の頃にバッハのブランデンブルク協奏曲を聴いて、その言語、文法に魅了されました。その美しい旋律に心を奪われた彼は、これらの音が共に機能する背後に何か別のものがあるという直感を持っていました。ピアノとの一生続く関係が始まりました。楽器を演奏することが「日記のように機能する」ことに気づいた彼にとって、それは世界を理解する手段となりました。

クラシックでありながらしばしばエレクトロニカを含むリヒターの作品は、映画、テレビ、バレエ、ファッションなどに及ぶ。彼はThe Leftovers（2014）、Mary Queen of Scots（2018）、Ad Astra（2019）などの映画の音楽を手掛け、Dior Men’s Fall 2023ショーではキム・ジョーンズとコラボレーションし、ギザのピラミッドの前で演奏するというパートナーシップを築きました。彼の多才さは無限です。

今年の9月は、彼の概念アルバムであるSleepのリリースから10年目を迎えます。これは音と眠りの相互作用についての8時間半の探究であり、彼のクリエイティブパートナーであるユリア・マールとアメリカの神経科学者デイヴィッド・イーグルマンの協力によって生まれました。

リヒターは、この記念すべきアニバーサリーを新しいアルバム「Sleep Circle」として祝います。90分間の催眠的な旅は9月5日にリリースされ、Sleepの最大規模の終夜演奏会も、9月5日と6日にロンドンのアレクサンドラ宮殿で開催されます。ここでは、リヒターに新作アルバム、音楽の文法、そしてそれが彼にとって世界を理解する手段であることについて話しました。

ローズ・ドッド：

マックス・リヒター：Sleep Circleは、2023年に世界中でコンサートで演奏された素材を収録した90分の録音です。これはよりアクティブで、無意識的ではなく、前頭葉に近い素材を使用しており、睡眠の風景を別の視点から提供しています。

RD：

MR：それをそのように考えることができます。それはより幻覚的で夢のようです。しかし、睡眠は広大な空間であり、一部の素材には神経科学的な根拠がありますが、人々がそれをどのように体験すべきか、どのように聴くべきか、さらにはどのようにそれを通して眠るべきかについてはあまり規定しないようにしています。

RD：

MR：私はそうです。これは実際に2011年から2012年頃に始まり、その頃人々がライブ配信のコンサートを本当に始めた時期でした。私は世界中をツアーしていて、パートナーのユリアは家で様々な時差で朝や夜、狂った時間にチューニングをしていました。私たちは、半分目覚めた状態で音楽を聴くことが非常に影響を与え、直接的な感情的印象を呼び起こすとたくさん話しました。この頃はデジタルデータの爆発が起こり、それにポケットからアクセスできるようになった時期でもありました。私たちは大規模な芸術作品、大きな小説、映画、ビジュアルアートについて考えており、それらがほぼ別の現実となる方法について考えていました。これらのことが、この大きな作品、一晩中の環境というアイデアにつながりました。

RD：

MR：私の音楽について初めて演奏を始めたときに、初期の経験は私にかなりの印象を残しました。私は音楽の家庭ではありませんが、両親がレコードを持っており、演奏していました。伝統的なドイツの家庭で聞くことになるクラシック音楽、バッハ、シューベルトなどです。バッハのブランデンブルク協奏曲を聞いたことを覚えています。私は3歳ぐらいだったと思いますが、これらの美しいメロディに心を奪われた