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米ロサンゼルスを拠点にデザイナー／アーティスト／キュレーター／コレクター／ヴィンテージ愛好家として活躍するショーン・ウォザースプーン（Sean Wotherspoon）。世界的知名度は言わずもがなの彼は、ヴィンテージカルチャーをルーツにこれまで〈Nike（ナイキ）〉、〈adidas（アディダス）〉、〈ASICS（アシックス）〉といった世界的ブランドとのコラボレーションで独自の色を刻んできた。彼の作品は常に、色彩への鋭い感覚と、環境負荷を最小限に抑えるという明確な信念に裏打ちされている。
一方で〈Teva（テバ）〉は、1984年に世界で初めてストラップ付きスポーツサンダルを開発。そして現代に至るまで、耐久性と快適性を軸にプロダクトを磨き上げてきた。最近ではリサイクル素材や環境配慮を前提としたプロダクト開発にも舵を切り、単なる機能ブランドを超えた“持続可能なものづくり”の象徴へと進化している。
この両者に共通するのは、「長く愛されるデザインを、より持続可能な形で生み出す」という哲学だ。ショーンが幼い頃、父親とアウトドアに行く際に履いていたのは〈Teva〉だったという。それは単なるひとつのエピソードではなく、川辺で遊んだ砂利の感触、長時間歩いても疲れにくいソールの安心感、そして父と共有した外遊びの記憶が、ショーンのデザイン感覚に微細な影響を与え続けている。そんなバックボーンがあるからこそ、今回のプロジェクトは独特の温度感を持つ。〈Teva〉はこのプロジェクトを通じて、アウトドアという文脈を超え、ストリートやライフスタイルの領域にその存在感を拡張する。一方でショーン・ウォザースプーンは、〈Teva〉という土台を通じて、自身のデザイン哲学をよりオーガニックかつ自然体な形で表現。過去と未来、都市と自然、ストリートとアウトドア──相反するようでいて、どこか共通する価値観を持つこれらの要素が、今回のコレクションの中でひとつに結びついている。
8月14日（木）のグローバルローンチに先駆けて、日本限定で8月8日（金）から8月10日（日）まで先行発売を実施。今回『Hypebeast』ではその期間中に、ショーン・ウォザースプーン本人への短時間ながらもインタビューを敢行。ショーン・ウォザースプーン自身の過去の歩みから、〈Teva®︎〉との出会い、そして新たに紡がれた次世代のデザインコードまでを紐解いていく。そのプロセスは、単なるコラボレーションの裏話を超え、現代のファッションとプロダクトデザインの未来を占うヒントにもなるはずだ。
父とお揃いの〈Teva〉のシューズを買ってもらい、一緒に履いてアウトドアを満喫した経験が心の中で深く刻まれています
今回のコラボレーションに至った経緯について教えてください
ショーン・ウォザースプーン（以下S）：自分は昔からフットウェアやスニーカーのブランドが大好きで、デザインすることも好きでした。あるとき、友人のジョナサン（Jonathan）とスニーカーやさまざまなブランド、フットウェア業界について話していた際に、幼少期の思い出を話しました。子どものころは父とよくアウトドアを楽しんでいて、そのとき父が愛用していたのが〈Teva〉のシューズだったんです。その話をしたところ、ジョナサンがちょうど〈Teva〉とつながりを持っていて、そこから今回のコラボレーションが始まりました。
なるほど。お父さんとの思い出が心に残っているのですね。
S：父は本当にアウトドア好きな人で、サーフィンやキャンプなど、常に自然の中で活動していました。今でも変わらずアウトドアを楽しんでいます。そんな父は、いつも〈Teva〉を履いてアウトドアに出かけていました。また、私がまだ子供の頃、コスタリカへサーフィン旅行に連れて行ってもらったことがあります。そのとき、お揃いの〈Teva〉のシューズを買ってもらい、一緒に履いてアウトドアを満喫しました。その経験が、自分の中で深く刻まれています。
そういった思い出もあったんですね。そんな中で今回ベースモデルに選ばれたのは、2000年代初頭のアーカイブモデルであるWraptorでしたが、なぜこのモデルに注目したのでしょうか？
S：沢山の〈Teva〉のアーカイブをディグしているうちに、このWraptorに辿り着きました。そこでWraptorの独特なレーシングシステムと機能性が、すごく興味深いデザインでした。また、元のデザイン自体が現代のスニーカーにおいてもハマるデザインだと思って。そこでこのモデルを選びました。
今回のシューズに対するデザインプロセスについても教えていただけますか？
S：今回のデザインにおいて“ふざける”というのがひとつ大きいテーマとしてあります。生真面目なコレクションの発表ではなく、このインスタレーションの空間に入った瞬間に楽しめることを目的としておりました。ポップアップの舞台設定は“2950年の地球”。さらに、空間内で流れているムービーは“2050年に撮影された映像”という設定を加えています。こうした設定によって、訪れた方には日常を忘れ、この世界観に没入してもらい、まるで夢を見ているような感覚を味わっていただけるよう意識しました。
シューズを見せるための空間設計もかなり意識されていたんですね。ちなみにこのモデルは、360°ストラップシステム構造が特徴的だと思うのですが、このディテールはどのように活かしましたか？
S：この360°のストラップシステム自体は既存のデザインですが、自分らしい色使いを大胆に取り入れることで、〈Teva〉のモデルに新たな姿を見出しました。例えばストラップの赤いステッチなど、細部の色のディテールにもこだわっています。あとは、このバックルのデザインですね。オリジナリティは保ちながらも、より使いやすく、高品質に感じられる仕様を目指しました。素材も従来のプラスチックから変更し、少しラグジュアリーな印象を持たせるために、シルバー調の素材を採用しています。
今回〈Teva〉のアーカイブモデルを再解釈する際に、Wraptor以外で印象的なモデルや面白いディテールなどはありましたか？
S：今回の〈Teva〉に限らず、これまでも他ブランドとコラボレーションを行う際には、必ずそのブランドのアーカイブを見せてもらうようにしています。〈Teva〉のアーカイブは膨大で、今回採用しなかった中にも、20〜30点ほど本当に素晴らしいアイテムがありました。もし今後またデザインを手がける機会があれば、過去のアーカイブを改めて見返し、魅力的なモデルを現代に蘇らせたいと考えています。あまりに面白いモデルばかりで、夢中になって名前を忘れてしまったほどですが、写真はしっかりと残しています。中でも特に印象に残っているのは、ミュールとスニーカーが融合したようなモデルですね。とてもかっこいいと思いました。
日本のファッションやカルチャーに対する印象を教えていただけますか？
S：LA出身の私にとって、日本は四季がはっきりしていて、季節や気候によって着るものが変わるという点がとても面白く感じます。LAでは1年を通して同じ服装をしている人が多いので、日本市場において季節の寒暖差がファッションに与える影響は非常に大きいと思います。文化面でも、日本は伝統的なものを大切に守り続けているのが素晴らしいと感じます。たとえば金沢では、かつて武士が暮らしていた街並みを目にすることができますし、京都では何百年も前から存在する寺院や、その周囲にある石や岩といった自然物にも出会えます。今回インスタレーションを行っているこのロケーションについても、渋谷区という都会の中で、伝統的な建物を保存している点に日本らしさを感じました。そうした要素も、この場所を選んだ理由の一つになっています。
なるほど。そもそも日本文化を好きになったきっかけは？
S：文化的な要素というよりも、日本のお客さんとの関わりが大きいと思います。10年前、初めて日本でポップアップイベントを開催した際、多くの日本のファンの方々が来場してくれました。そのとき、日本の人々が自分たちの好きなものを全力でサポートしようとする姿勢を強く感じました。アメリカとはまた違うその温かさに触れ、日本の人々、そして日本という国そのものに惹かれていきました。言ってしまえば、そこから日本に恋をしたようなものですね（笑）。
今回のプロジェクトを通して、〈Teva〉にどのような一面を見出せましたか？
S：〈Teva〉とのプロジェクトを進める中で、自分自身も新たな発見がありました。この経験を活かして、今回に限らず、今後も一緒にさまざまなことに挑戦していければと思っています。
最後に今後挑戦してみたいフットウェアのデザインがあれば教えてください。
S：〈Teva〉は豊富な種類のアウトドアシューズを展開しています。その中には、ロッククライミング用やウェイクボード用の特殊なシューズもあります。そうした専門的なアウトドアスポーツのシューズを、普段のライフスタイルに馴染むデザインに落とし込むことに挑戦したいと考えています。
ショーン・ウォザースプーン
アメリカ出身のファッションデザイナーであり、スニーカーコレクターとしても知られている。独自のカラフルで遊び心あふれるデザインセンスを持ち、特に〈Nike〉や〈adidas〉などのスポーツブランドとのコラボレーションで注目を集めた。ヴィンテージやアウトドアの要素を取り入れたデザインが特徴で、彼の作品は若い世代を中心に高い人気を誇っている。また、サステナビリティやリサイクル素材の活用にも積極的で、そういった環境意識をファッションに落とし込む。ショーン・ウォザースプーンは、今後も多様なブランドとコラボレーションを続け、革新的なデザインを生み出し続けることが期待されている。
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米ロサンゼルスを拠点にデザイナー／アーティスト／キュレーター／コレクター／ヴィンテージ愛好家として活躍するショーン・ウォザースプーン（Sean Wotherspoon）。世界的知名度は言わずもがなの彼は、ヴィンテージカルチャーをルーツにこれまで〈Nike（ナイキ）〉、〈adidas（アディダス）〉、〈ASICS（アシックス）〉といった世界的ブランドとのコラボレーションで独自の色を刻んできた。彼の作品は常に、色彩への鋭い感覚と、環境負荷を最小限に抑えるという明確な信念に裏打ちされている。
一方で〈Teva（テバ）〉は、1984年に世界で初めてストラップ付きスポーツサンダルを開発。そして現代に至るまで、耐久性と快適性を軸にプロダクトを磨き上げてきた。最近ではリサイクル素材や環境配慮を前提としたプロダクト開発にも舵を切り、単なる機能ブランドを超えた“持続可能なものづくり”の象徴へと進化している。
この両者に共通するのは、「長く愛されるデザインを、より持続可能な形で生み出す」という哲学だ。ショーンが幼い頃、父親とアウトドアに行く際に履いていたのは〈Teva〉だったという。それは単なるひとつのエピソードではなく、川辺で遊んだ砂利の感触、長時間歩いても疲れにくいソールの安心感、そして父と共有した外遊びの記憶が、ショーンのデザイン感覚に微細な影響を与え続けている。そんなバックボーンがあるからこそ、今回のプロジェクトは独特の温度感を持つ。〈Teva〉はこのプロジェクトを通じて、アウトドアという文脈を超え、ストリートやライフスタイルの領域にその存在感を拡張する。一方でショーン・ウォザースプーンは、〈Teva〉という土台を通じて、自身のデザイン哲学をよりオーガニックかつ自然体な形で表現。過去と未来、都市と自然、ストリートとアウトドア──相反するようでいて、どこか共通する価値観を持つこれらの要素が、今回のコレクションの中でひとつに結びついている。
8月14日（木）のグローバルローンチに先駆けて、日本限定で8月8日（金）から8月10日（日）まで先行発売を実施。今回『Hypebeast』ではその期間中に、ショーン・ウォザースプーン本人への短時間ながらもインタビューを敢行。ショーン・ウォザースプーン自身の過去の歩みから、〈Teva®︎〉との出会い、そして新たに紡がれた次世代のデザインコードまでを紐解いていく。そのプロセスは、単なるコラボレーションの裏話を超え、現代のファッションとプロダクトデザインの未来を占うヒントにもなるはずだ。
父とお揃いの〈Teva〉のシューズを買ってもらい、一緒に履いてアウトドアを満喫した経験が心の中で深く刻まれています
今回のコラボレーションに至った経緯について教えてください
ショーン・ウォザースプーン（以下S）：自分は昔からフットウェアやスニーカーのブランドが大好きで、デザインすることも好きでした。あるとき、友人のジョナサン（Jonathan）とスニーカーやさまざまなブランド、フットウェア業界について話していた際に、幼少期の思い出を話しました。子どものころは父とよくアウトドアを楽しんでいて、そのとき父が愛用していたのが〈Teva〉のシューズだったんです。その話をしたところ、ジョナサンがちょうど〈Teva〉とつながりを持っていて、そこから今回のコラボレーションが始まりました。
なるほど。お父さんとの思い出が心に残っているのですね。
S：父は本当にアウトドア好きな人で、サーフィンやキャンプなど、常に自然の中で活動していました。今でも変わらずアウトドアを楽しんでいます。そんな父は、いつも〈Teva〉を履いてアウトドアに出かけていました。また、私がまだ子供の頃、コスタリカへサーフィン旅行に連れて行ってもらったことがあります。そのとき、お揃いの〈Teva〉のシューズを買ってもらい、一緒に履いてアウトドアを満喫しました。その経験が、自分の中で深く刻まれています。
そういった思い出もあったんですね。そんな中で今回ベースモデルに選ばれたのは、2000年代初頭のアーカイブモデルであるWraptorでしたが、なぜこのモデルに注目したのでしょうか？
S：沢山の〈Teva〉のアーカイブをディグしているうちに、このWraptorに辿り着きました。そこでWraptorの独特なレーシングシステムと機能性が、すごく興味深いデザインでした。また、元のデザイン自体が現代のスニーカーにおいてもハマるデザインだと思って。そこでこのモデルを選びました。
今回のシューズに対するデザインプロセスについても教えていただけますか？
S：今回のデザインにおいて“ふざける”というのがひとつ大きいテーマとしてあります。生真面目なコレクションの発表ではなく、このインスタレーションの空間に入った瞬間に楽しめることを目的としておりました。ポップアップの舞台設定は“2950年の地球”。さらに、空間内で流れているムービーは“2050年に撮影された映像”という設定を加えています。こうした設定によって、訪れた方には日常を忘れ、この世界観に没入してもらい、まるで夢を見ているような感覚を味わっていただけるよう意識しました。
シューズを見せるための空間設計もかなり意識されていたんですね。ちなみにこのモデルは、360°ストラップシステム構造が特徴的だと思うのですが、このディテールはどのように活かしましたか？
S：この360°のストラップシステム自体は既存のデザインですが、自分らしい色使いを大胆に取り入れることで、〈Teva〉のモデルに新たな姿を見出しました。例えばストラップの赤いステッチなど、細部の色のディテールにもこだわっています。あとは、このバックルのデザインですね。オリジナリティは保ちながらも、より使いやすく、高品質に感じられる仕様を目指しました。素材も従来のプラスチックから変更し、少しラグジュアリーな印象を持たせるために、シルバー調の素材を採用しています。
今回〈Teva〉のアーカイブモデルを再解釈する際に、Wraptor以外で印象的なモデルや面白いディテールなどはありましたか？
S：今回の〈Teva〉に限らず、これまでも他ブランドとコラボレーションを行う際には、必ずそのブランドのアーカイブを見せてもらうようにしています。〈Teva〉のアーカイブは膨大で、今回採用しなかった中にも、20〜30点ほど本当に素晴らしいアイテムがありました。もし今後またデザインを手がける機会があれば、過去のアーカイブを改めて見返し、魅力的なモデルを現代に蘇らせたいと考えています。あまりに面白いモデルばかりで、夢中になって名前を忘れてしまったほどですが、写真はしっかりと残しています。中でも特に印象に残っているのは、ミュールとスニーカーが融合したようなモデルですね。とてもかっこいいと思いました。
日本のファッションやカルチャーに対する印象を教えていただけますか？
S：LA出身の私にとって、日本は四季がはっきりしていて、季節や気候によって着るものが変わるという点がとても面白く感じます。LAでは1年を通して同じ服装をしている人が多いので、日本市場において季節の寒暖差がファッションに与える影響は非常に大きいと思います。文化面でも、日本は伝統的なものを大切に守り続けているのが素晴らしいと感じます。たとえば金沢では、かつて武士が暮らしていた街並みを目にすることができますし、京都では何百年も前から存在する寺院や、その周囲にある石や岩といった自然物にも出会えます。今回インスタレーションを行っているこのロケーションについても、渋谷区という都会の中で、伝統的な建物を保存している点に日本らしさを感じました。そうした要素も、この場所を選んだ理由の一つになっています。
なるほど。そもそも日本文化を好きになったきっかけは？
S：文化的な要素というよりも、日本のお客さんとの関わりが大きいと思います。10年前、初めて日本でポップアップイベントを開催した際、多くの日本のファンの方々が来場してくれました。そのとき、日本の人々が自分たちの好きなものを全力でサポートしようとする姿勢を強く感じました。アメリカとはまた違うその温かさに触れ、日本の人々、そして日本という国そのものに惹かれていきました。言ってしまえば、そこから日本に恋をしたようなものですね（笑）。
今回のプロジェクトを通して、〈Teva〉にどのような一面を見出せましたか？
S：〈Teva〉とのプロジェクトを進める中で、自分自身も新たな発見がありました。この経験を活かして、今回に限らず、今後も一緒にさまざまなことに挑戦していければと思っています。
最後に今後挑戦してみたいフットウェアのデザインがあれば教えてください。
S：〈Teva〉は豊富な種類のアウトドアシューズを展開しています。その中には、ロッククライミング用やウェイクボード用の特殊なシューズもあります。そうした専門的なアウトドアスポーツのシューズを、普段のライフスタイルに馴染むデザインに落とし込むことに挑戦したいと考えています。
ショーン・ウォザースプーン
アメリカ出身のファッションデザイナーであり、スニーカーコレクターとしても知られている。独自のカラフルで遊び心あふれるデザインセンスを持ち、特に〈Nike〉や〈adidas〉などのスポーツブランドとのコラボレーションで注目を集めた。ヴィンテージやアウトドアの要素を取り入れたデザインが特徴で、彼の作品は若い世代を中心に高い人気を誇っている。また、サステナビリティやリサイクル素材の活用にも積極的で、そういった環境意識をファッションに落とし込む。ショーン・ウォザースプーンは、今後も多様なブランドとコラボレーションを続け、革新的なデザインを生み出し続けることが期待されている。
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