ジェシー・マーフの音楽ビデオ「1965」の論争

ジェシー・マーフの「1965」

YouTubeのトップコメントが実際のビデオよりも2倍以上の「いいね」を持っていると何かがおかしいと感じることがあります。これはナッシュビルの歌手ジェシー・マーフの新しい音楽ビデオ「1965」で実際に起こったことで、その差はなんと3万もあります。問題のコメントは？「このビデオがそんなに悪いとは思わなかったけど、皆さんは嘘をついていない 😭 私はこれまでにYouTubeのビデオでそんなことを誰かがやったのを見たことがない」というもの。

このコメントは、マーフの歌詞に広がる議論を指しており、歌詞が家庭内暴力と伝統的なジェンダー役割をロマンチックに描いているように見えることに言及しています。「スナップチャットでは少しスパンクスパンクスするかもしれませんが、あなたは私をスナップチャットで叩かないでしょう」というようなラインや、「私は幾つかの権利を放棄するだろう[…]私はあなたが私を1965年のように愛して欲しい」というようなラインが含まれています。音楽ビデオでは、マーフは60年代のシェーズロングに縛られ、ディナーテーブルの下で年上の男性にオーラルセックスをしてもらったり、パートナーが他の女性とセックスをしているのを見たりしています。

多くの人がマーフの「1965」をエッジロード風刺に傾いて解釈していますが（そして、歌の後半では「昔のジェンダー役割はひどかった、わかってる」と認めています）、彼女は明らかに火遊びをしています。特に、トランプ政権がミソジニスト、反移民主義、反トランスジェンダーのアジェンダを推進する中で、このような瞬間には。サブリーナ・カーペンターとの比較は避けられませんが、結果は著しく異なるように感じます。カーペンターは挑発的なイメージを明るい、ヘテロファタリストの歌詞で緩和する一方、マーフの作品はただ単により鬱々として感じられます—ただ観客に向けたひとつのほほえましいウインクではなく、むしろ虚空への無表情な視線。

マーフは以前、カントリー・ラップアーティストのジェリー・ロールと協力しました（最近トランプと握手している写真があり、ホワイトハウスのローンでUFC戦を開催することを「素晴らしい」と称賛しています）し、彼女自身が伝統的なアメリカの美学を風刺しているとされる同じアメリカの美学を非批判的にロマンティックに描くカントリーヒップホップの領域に属しています。言うまでもなく、たとえマーフが「良い昔の日々」に対するノスタルジアの批判としてこのビデオを意図していたとしても、この意味が多くのリスナーには伝わらないであろうことは明らかです（特に歌詞自体がそれを賞賛するようにしか見えないため）。

その他の論争を巻き起こした音楽ビデオ

2013年には「Blurred Lines」が避けられない存在でした。「I know you want it, I hate these blurred lines」という歌詞をフィーチャーし、男性主人公が性的アプローチの拒絶を無視するように見えることから、このトラックは性暴力の神話を強化し、性的暴行の被害者を非難するように見えることで広く批判を受けました。

しかし、このビデオが特に問題とされる理由は、ビデオに完全に裸で登場するモデルのエミリー・ラタコフスキが、後に「Blurred Lines」の撮影中にロビン・シックからセクハラを受けたと主張したことです。日曜タイムズに掲載された彼女の回顧録「My Body」で、ラタコフスキは次のように書いています。「突然、どこからともなく、見知らぬ誰かの手が私の裸の胸を後ろからつかんでいるのを感じました。[…] 私は本能的に身を引き、ロビン・シックを見返しました。彼はおかしな顔をして後ずさりし、サングラスの後ろに隠れていました。私の頭はセットの向こうの暗闇に向けられました。[監督、ダイアン・マーテルの]声が私に向かって「大丈夫ですか？」と叫んだ」と。

一方、最初はこのトラックをミソジニストではないと弁護していた歌手ファレルは、2019年のGQのインタビューで、「Blurred Lines」が私たちの国にショービニストの文化があることに気づかされたと認めました。それはそれほど良いことではありませんね。

ポップの女王マドンナは、キャリアを通じて、女性の性的抑圧、エイズ/HIV危機に対するスティグマ、人種差別、ミソジニーなどに立ち向かってきました。彼女の1989年のシングル「Like A Prayer」のミュージックビデオは、アメリカ南部の人種差別に立ち向かうことを通して、異人種間の恋愛を描いています