ダニー・リヨンの荒廃したアメリカの哀歌的な肖像

1963年、21歳のダニー・リヨンは初めての車を手に入れました。それは2ドアの1953年式オールズモビルで、黒いボディにクロームのグリルと豪華な内装が特徴でした。21歳の若きニューヨーカーは公民権運動に参加し、南部へヒッチハイクしていましたが、車がないとどこにも行けないことに気づきました。ジョージア州の裏道を走り抜けると、目に見えるのはピーナッツと綿花の赤土畑だけでしたが、リヨンは歓喜に包まれていました。62年前のあの瞬間について、「この大きなオールズモビルの中で、私はとても幸せで若く、生き生きとしていました」と彼は思い出しています。そして、彼には気付きました：彼は通り過ぎるだけなのです。いつか、すべてが終わることを。

「生きていないという考え自体が、驚くほど衝撃的で、痛ましく、理解しにくいものでした」とリヨンは語ります。83歳になった彼は、静かに夜に消えていくことを拒否しました。代わりに、彼は熱狂的で激しく働き続けています。2024年に自伝『これが私の人生だ』を出版した後、リヨンは哀歌的な単行本、ダミアーニ・ブックスから『ジャンク：アメリカの廃墟』を発表しました。『ジャンク』は、リヨンの青春時代のクラシックカーに根ざし、西部の農村の廃車で終わる献身の物語です。何十年もの間、これらのかつての高貴な巨人たちはアメリカでの老化の屈辱に耐え、リヨンの愛情深い視線を通じて、その崩壊と朽ち果ては、今目の前で目撃している帝国の崩壊の象徴となります。

「私はもう写真家ではありません」とリヨンは言いますが、それにもかかわらずカメラを持ち続けています。「私は書いたり映画を作ったり、さまざまなことをしています」と彼は続けます。「しかし、若くてただの写真家だったとき、大事なのは何をするかを見つけることでした。」数十年にわたり、リヨンはそれを実践し、少数の人々しか間近で目にしたことのない領域に完全に没頭しました。『ザ・バイクライダーズ』、収監された男性たちの写真を撮影した『デッドとの対話』、そして『インディアン・ネイションズ』のためにネイティブ・アメリカン居留地を撮影するなど、彼は身近な領域に完全に没入しました。48年間の妻である画家ナンシー・リヨンと共に、ニューメキシコ州の自宅から南ダコタ州のパインリッジ居留地までのロードトリップで、ジャンクは知らず知らずのうちに始まりました。