フィリオ・トーレスさんは、最初にニューヨークに来たとき、なぜそんなにたくさんの国旗が掲げられているのか理解できませんでした。立ち上げたコメディ番組の主宰者で、スタンダップコメディアンから脚本家になった彼が手掛ける今年最も想像力に富んだコメディ番組であるProblemistaについて「いや、待ってー、あのすべては政府施設なのかな？」と述べました。「こんなに皆、自分がどこにいるかわかっているでしょ！なぜそれを宣言し続けるのか？」
トーレスさんはエルサルバドル出身で、マンハッタンの自由な芸術の要塞であるニュースクールで文学を学ぶ奨学金を得てニューヨークにやってきました。ジェームズ・ボールドウィンやジャック・ケルアックらの卒業生がいるこの学校について「アメリカ人がアメリカに対してどれだけ執着しているかに驚いた。私が来た国では、『そう、ここから来ているんだ、それだけ』って感じだからね」と話しました。
トーレスさんは映画やテレビ業界でのキャリアを追求したかったが、卒業後、移民としての地位に関連する仕事をしなければならないという米国の移民法の規定により、「文学の学位を取得した人なら誰でもわかるように、難しい条件が課されました。それがキッカケで、トーレスさんは生計を立てるためにさまざまな仕事に就くことになり、現実が彼に追い討ちをかけ、ビザの延長のために5,000ドルの手数料が必要となった時には、GoFundMe（”LEGALIZE JULIO”）を立ち上げてその苦境を告発し、その中で映画デビューのきっかけとなる資金を集めました。
業界で足場を築くため、トーレスさんは自らの執筆作品を披露し、物語の声を開発するためにスタンダップコメディに取り組みました。2回目の試みで、彼はSaturday Night Liveでライアン・ゴズリングが出演するPapyrusやエマ・ストーンが出演するWells for Boysなどの名作スケッチで登場しました。それを経て、HBO向けにカルトコメディLos Espookysを制作し、今年6月にはFantasmasという別の番組が放映されました。
Problemistaでは、トーレスさんは、Spike Jonzeのローファイなシュールさとドキュメンタリー映画監督ジョン・ウィルソンの斜めのスタイルの間に位置する微妙で感動的なコミックセンスを見事に表現しています。トーレスさんが主演する慢性的な内向的なアレハンドロ、NYCでの滞在許可を確保しようと必死に努力する有望なおもちゃ職人を演じ、映画はエリザベスとしてのティルダ・スウィントンによる見事なコミックパフォーマンスに支配されています。彼女は彼を自分の軌道に引き込む混沌とした、圧倒的な未亡人です。彼女のスポンサーシップの約束に誘われ、彼は亡き画家夫のために計画された展示会のために彼女の夫の絵を入手しようと働き始めます。彼女は彼の遺産を確保するために展示会を計画しており、そのために彼に自分の声を見つける重要性を教え、論争で相手をバランスを崩す効果的な方法を教えます。「私に向かって叫ばないで」と言うことです。（本当に、試してみてください。）
これら2人が共有する魅力的なダイナミクスは、トーレスさんにとって「長い間、好意的に見られることが生存本能のようだった」という経験から描かれたものです。「アレハンドロと私は、きわめて難しい人が慰めを見出すタイプの人間です」と笑いながら話します。「なぜかわかりませんが、私たちはそれにかなり長けています。私たちはドラゴンテイマーやライオンウィスパラーのような存在です。」エリザベスは、彼女の目標に本能的に合わせる「嵐の中の岩」としてアレハンドロを見ています。アレハンドロは、彼の奇妙なよちよち歩きと頭から1つだけ飛び出した髪の毛（トーレスさんによると、それは彼の父へのオマージュだそうです）で、彼女の夫を尊敬する狂気の決意に感銘を受け、それを自身のおもちゃ作りのキャリアに活かします。最終的に、これは人生で奇妙なことを求め、それに挑む勇気を持っている映画です。
