気鋭のユニットNONOTAKが織りなす光と音の洪水!秋の清水寺に響き渡った奉納演奏に酔いしれた夜。
日本を代表する観光地、京都のなかでもトップクラスの人気を誇る寺院である清水寺。正式には音羽山 清水寺と呼びます。ここ清水寺で、春、夏、秋の年三回、夜の特別拝観が行われています。とくに秋の清水寺は、紅葉の一大名所として京都観光の特別なスポットになります。この特別なタイミングで今回、世界を股にかけて活躍しているアーティスト「NONOTAK」が、秋の特別拝観のオープニングにてライブパフォーマンスを披露しました。伝統と革新が合わさった刺激的な一夜をレポートします。
- Photo_Shinji Serizawa
- Interview_Yuichiro Tsuji
- Edit_Ryo Komuta
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NONOTAK
2011年にパリで結成された、イラストレーターのNoemi Schipfer(左)と建築家で、
ミュージシャンであるTakami Nakamoto(右)のアーティストユニット。直線や曲線、幾何学のミニマルなモチーフの映像を照射した空間の中で、音楽をシンクロさせ、没入体験を誘うライブパフォーマンスやインスタレーション作品で、世界中から注目を集める。また〈トヨタ〉のプリウスや、〈ノキア〉、〈エルメス〉、〈アディダス〉や〈ステラ・マッカートニー〉のプロモーションビデオの制作なども。
www.nonotak.com
秋の京都といえば紅葉。京都の紅葉といえば清水寺ということに異論がある方はいないと思います。通年観光客が多い街ではありますが、この時期はとくに街に人があふれます。
夏は暑く、冬は寒いという典型的な盆地気候である京都。11月の中旬ともなると、けっこうな冷え込みなのですが、観光名所となっているここ清水坂を歩く人々はみなどこか高揚した面持ち。すでに色づき始めている紅葉を楽しむべく、老若男女が街を練り歩きます。
今回フイナムは、11月 11 日(土)から12月3日(日)まで開催される秋の夜の特別拝観のオープニングイベントにお招きいただきました。このイベントで、パリを拠点に世界中で活躍するアーティストユニット、「NONOTAK (ノノタック)」の奉納演奏が、重要文化財の経堂で行われました。
NONOTAKは、空間、映像、音楽をシンクロさせた体験型作品で広く知られ、英国・ロンドンの美術館テートブリテンをはじめ、さまざまなアート / 音楽フェス、音楽フェスでパフォーマンスを展開し、「メディアート界の新生」として世界中から注目を集めています。
パフォーマンス前に、建築家でミュージシャンであるTakami NakamotoとイラストレーターのNoemi Schipferの二人に話を聞くことができました。
線はエレガントで美しく、力強い。
NONOTAKの作品はどれも光を使用して複雑な空間をつくりあげていますよね。
Takami Nakamoto(以下、Takami)複雑に見せるというのはぼくらのコンセプトのひとつなんです。ただ、そこにある仕掛けはすごくシンプルなものばかり。それをいかに芸術的に見せるかをポイントにしています。
Noemi Schipfer(以下、Noemi)例えば六本木アートナイトに出たときは、ドミノのように前後に並べた10枚のスクリーンに丸い光を投影させて、エコーのように光を立体的に見せるという展示をしました。ただスクリーンに光を当てているだけのシンプルな仕組みなんだけど、すごく壮大に見えるというか。
スクリーンに投影されるイメージも、丸や四角、時には線だけなど、シンプルですね。
Takami作品は一緒に考えて作りますが、イメージはNoemiがつくっているんです。
Noemi私たちはそのイメージを“キネクトビジュアル”と呼んでいます。丸も四角も、もともとは線から成り立っていますよね。シンプルな線ってすごくエレガントで美しい。それでいて力強さもある。だから線に惹かれるんです。
TakamiNoemiはもともとイラストレーターとして活動していて、〈エルメス〉にイラストを提供したキャリアも持っているんです。
おふたりはそれぞれどんな役割を果たしているんですか?
Takami空間や演出はふたりで考えています。先程も話しましたが、仕組みは基本的にシンプルな構造ですね。空間を与えられて、その場所を活かすにはどうしたらいいか、ふたりで考えるんです。で、Noemiがキネクトビジュアルを作って、ぼくは音楽を考えます。
ライブでの緊張感と終わったときの解放感を味わいたい。
NONOTAKの活動はどのようにしてはじまったんですか?
TakamiぼくとNoemiは高校生のときに知り合ったんですが、ふたりともパリに住んでいたんです。
NoemiTakamiは両親が日本人なんだけど、パリ育ちで、私は日本とフランスのミックス。ある年の夏休みに、日本へ帰って来ているときに知り合って。
Takami高校を卒業したあと、ぼくは建築の道に進んで、Noemiはフリーランスでイラストレーターとして活動していて、あるとき一緒になにかやりたいねっていう話をしたんです。
それが実現してNONOTAKの活動へと結びついていったわけですね。
Takami簡単に説明するとそんな感じですね。ぼくが働いていた建築事務所の仕事で、壁に絵を描いて欲しいって頼まれて、そのときにパッとNoemiのことが頭に浮かんで彼女に依頼したんですよ。ただ、シンプルに絵を描くだけではおもしろくない。なにかユニークな仕掛けのようなものを作りたくて、夜光塗料を使った作品を描いてもらったんです。
Noemi昼はコンクリートの壁なんだけど、夜になるとグラフィックが表れるっていうコンセプト。時間が変わることによって空間に変化が生まれるんです。
TakamiそのときにNONOTAKとしての意識が芽生えましたね。
もともとはペインティングだったのが、どうして“光”をモチーフとして扱うようになったんですか?
Noemiペインティングだけでは物足りなかったというのが正直なところかもしれません。Takamiは音楽もつくれるし、空間をどう演出するかというところにフォーカスしたくて。
Takami建築を勉強しているときは、自分が光に囲まれるような空間に興味があったんです。でもそれを仕事で表現するとなると、なかなか簡単にはできないですよね。だからフォーマットをもっと小さくして、自分たちのできることをやろう、と。
はじめはインスタレーション形式の展示でしたが、それに加えて現在はミュージシャンとしてのライブ活動もしています。
Takamiぼくは元々バンドをやっていたんですが、ステージが恋しくなっちゃって(笑)。緊張と解放じゃないけど、ステージに立っているときの高揚感と、それが終わったときの達成感。それをNONOTAKでも味わいたかった。
ライブとインスタレーションでは意識に差がありますか?
Noemiライブでは私たちのシルエットが活きるような空間にしています。
Takamiぼくらの前後にプロジェクターを置いて、人のシルエットが見えたり消えたりするような仕掛け。ステージには奥行きがあるので、それを活かした演出にしています。
今回清水寺でのライブでは「SHIRO」をやると決まっていると聞きました。
Takami「SHIRO」にはすごい思い入れがあるんです。
Noemiインスタレーションをしているときも、プロジェクターで映像を流すというよりは、光を放っているという感覚なんです。白い光ってシンプルで強さがあるじゃないですか。
Takami仮にぼくらの表現に色を入れたら、ビデオ・アートだと思われるから。あくまで光なんです。その象徴が「SHIRO」。
そもそもどうして清水寺でライブをすることになったんですか?
Takami清水寺の方々にぼくたちのライブ映像を見ていただく機会をいただけて。それでとても気に入ってくださったんです。清水寺では秋の紅葉のライトアップを毎年やっていて、そのオープニングに奉納演奏をさせていただけることになりました。
インスタレーションも同じだと思うんですが、実際に現場で体験すると、その凄味が分かりそうですね。
Takamiうん、そうですね。光の強さ、音の強さを感じて欲しいです。プロジェクター1台の光量は1万ルーメンぐらいで、普通のモニターの5倍の量なんです。光の迫力も大きいし、そこに音が融合するので、ダイナミックさが違うと思います。
おふたりは清水寺に行かれたことは?
Noemi小さい頃に一度だけ。でも、伝統的な場所なのですごく緊張してます。それと同じくらい楽しみな気持ちもありますね。
Takamiぼくも小さい頃に行ったきりですね。普段の2倍、精神力を使いそうです(笑)。
Noemiでも、伝統的な場所で表現をしたいというのはNONOTAKのひとつの目標でもあったから、すごくうれしいです。
Takamiそうだね。ぼくが建築を学んでいて、日本の伝統建築のなかで作品を発表したいという気持ちがあったんです。清水寺は光を希望の象徴と捉えていて、実はぼくも同じ考えでいるんです。だから、そういう場所でNONOTAKとしてライブをやれてすごく光栄というか。プレッシャーも当然感じるけど(笑)。
Noemi伝統的な場所で現代的な表現を行う。そのコントラストがいいなって思います。楽しみです。
最後にNONOTAKの今後について教えてください。
Takami普段はパリを拠点に活動しているんですが、ぼくたちのルーツは日本にあるので、可能な限り日本で多くパフォーマンスをしたいと思っています。
Noemiなるべく多くの人に作品を見て欲しいです。そのために頑張らなきゃって思っています。
Takamiインスタレーションもライブも、時間に制限があるので、もっと永続的な作品をつくりたいです。例えば建築の一部に組み込まれるとか。もっともっと作品のスケールを大きくして、おもしろいことをしていきたいと思ってます。
日本の伝統とアートの最先端が交わった夜。
そして、今回清水寺で披露してくれたライブの一部がこちらのムービーにまとまっています。
鋭角なビートに、緊張感のあるリズム。これらが縦横無尽に動き回る線とコネクトしていきます。太い線、細い線、線が集まった四角、長方形、三角形…。正直“線”にここまでの可能性があるとは思いませんでした。
お堂の後ろに鎮座している菩薩像を美しい光が照らすたびに神々しい気分に。NONOTAKの二人も、その部分にはとくに気を使ってセッティングをしたそうです。前衛的なパフォーマンスと、伝統的なロケーションが未だ見ぬ形で有機的に結合した素晴らしい時間でした。
ちなみに、秋の夜の特別拝観の期間中は約500基の照明が境内を幻想的にライトアップ。また清水寺の本尊である観音菩薩の慈悲を表現した青いサーチライト「観音慈悲光」が、上空を横切るように照らし出され、京都の新しい姿を見せる季節の風物詩として多くの人に親しまれています。
改めて言うまでもなく、京都・音羽山中に広がる清水寺は、紅葉の一大名所。美しく色づく何千ものもみじかが、伽藍(がらん)とともにライトアップされ、圧巻の光景を堪能できます。
また、通常時には非公開になっている成就院もこの期間は特別公開になるそう。「月の庭」の異名で知られる京都屈指の名庭・成就院庭園の、静寂に包まれた夜の景色も見所です。期間は12月3日(日)まで。今年こそ、国宝級の紅葉を見に行ってみてはいかがですか?
清水寺 秋の夜の特別拝観
日程:2017年11月11日(土)〜12月3日(日)
時間:17:30〜21:00(受付終了)
観覧料:大人(高校生以上)400 円、小・中学生 200 円、小学生未満は無料
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Source: フィナム