東京2020オリンピックのちょうど1000日前となるこの日、同時多発的に行われた様々なイベントの中で、フイナム編集部が向かったのは、浅草のひさご通り商店街にある「WIRED HOTEL ASAKUSA」。
季節外れの台風が上陸するという悪天候にもかかわらず、多くの来場者が訪れたこのイベントは、『1day for 1000 days』のスローガンのもと、スピーカーとなる5名のゲストを中心に、1000日前の自分から今日までの自分、そして1000日後の自分をイメージしようという趣旨のもの。
イベント開始と同時に現れたMCの掛け声とともに、事前に振舞われた日本酒のシャンパンで乾杯。
さらにこの日は、「WIRED HOTEL ASAKUSA」の料理長自らの手によって握り寿司が用意されるなど、浅草らしい日本的な振る舞いも。
そしてこの日、最初の登壇者となったのは、「東京銭湯 – TOKYO SENTO –」というウェブメディアの編集長を務め、日本が誇る文化のひとつである銭湯をテーマに、多角的なマーケティングを行う高橋正和さん。1000日後に控えるスポーツイベントに向けて、「東京2626(ふろふろ)」というプロジェクトを立ち上げ、今後は銭湯文化を世界に発信できるようなユニークなコンテンツを企画していく予定だそう。さらに今回の会場となった浅草は、過去に高橋さん自身が人力車の車夫をしていたこともあり、所縁のある街なのだそう。
続いては、大学時代にアメリカを訪れた際に出会ったカスタムケーキの存在に感銘を受け、その後ケーキ作りの本場、アメリカへと留学。帰国後はここ日本でのスペシャリティーケーキの普及活動を精力的に行っているという鈴木ありささんが登壇。近年、様々なメディでも取り上げられ、数多くの著名人をクライアントに持つ彼女は、1000日後にさらに自身が成長していられるよう、人生二度目の渡米を決意。スピーチの締めくくりで高らかに宣言をしていたのが印象的でした。
3人目は、異色の経歴を持つノーム・ナカムラさんが登場。現在はYoutubeなどを中心に動画プロデューサーを務める傍ら、三味線アーティストとしても活躍しています。かつては吉田兄弟のお弟子さんとして、6年近くの修行期間を終え、現在は全国各地を精力的に巡り、三味線の素晴らしさを伝えているのだそう。またナカムラさん自身、かつては日本の生活に合わずに一度は日本を離れて暮らしていたものの、やはりその日本独特の文化に改めて惹かれ、現在は浅草に在住。1000日後のスポーツイベントを目標に浅草と三味線の素晴らしさをさらに知ってもらいたいと熱い想いを語ってくれました。
ここで、先ほどのノーム・ナカムラさんより紹介を受けた、津軽三味線デュオの輝&輝によるスペシャルライブが披露。疾走感のある「THE 魂(ソウル)」や西洋のリズム感を取り入れたという「もつ鍋」、さらに最後は、津軽三味線ならではのフリースタイルによる演奏で来場者を沸かせてくれました。現在の目標は1000日後に開催されるスポーツイベントの開幕式での演奏とのことで、絃楽器の音が溢れる世の中にしていきたいと来場者に向けてメッセージを残してくれました。
4人目の登壇となったのは、クリエイティブな企画やイベントごとに人材チームを編成する、一風変わったアーティスト集団の「TokyoDex」を主宰するダニエル・ハリス・ローゼンさん。これまでに様々なアートプロジェクトや企業との取り組みを行ってきた実績を持ち、アートが持つ文化的な可能性を日々探っているという。2020年に向けて、東京をミューラルアートで溢れる街にしたい、と真摯に語る表情が印象的で、現在すでにいくつかのプロジェクトを企画しているとのことで、今後の活躍がまずます楽しみです。
そしてこの日最後のスピーカーを務めてくれたのが、デニム産業の一大集積地である岡山でジーンズブランド〈EVERY DENIM〉を立ち上げ、様々なメディアで話題沸騰中の山脇耀平さん。現役大学生でありながら、起業し、実店舗を持たずに、日本各地を巡りながら実演販売を通して自社の商品を販売していくという新しい販売方法にチャレンジしているそう。今後は、自身の育った岡山を拠点にさらに愛着の持てるモノづくりをしていきたい! というバイタリティーに溢れる内容で締めくくってくれました。
今回のイベントでは参加者によるだるま祈願も行われ、それぞれが1000日後に託す想いを形にしていました。
店内には浅草に所縁のあるアーティストであるESOW氏による作品も飾られていた。
ゲストスピーカーによるトークの後は、来場者を交えたフリートークへと移行。それぞれが抱く『1day for 1000 days』への想いを語らい、そこから生まれたコミュニケーションによって、新しい出会いや発見を体感できたであろう本イベント。主催である〈ASICS〉を中心に、スポーツへの関与だけではなく、日本が世界から注目を集めていくこれからの1000日を、誰にとっても意味のある時間にしたいという思いが形となる場ともなりました。
1000日後という遠いようで近い未来をどう迎えるか。皆さんも一度想像してみてはいかがでしょうか。
Photo_Takaki Iwata
Text_Yuho Nomura
Source: フィナム