クリストバル・バレンシアガ。1955年のチュニック・ドレスやその2年後に発表したサック・ドレスの生みの親はクチュール界の建築家と称された。シルエットとカットに革命を起こした彼の思想は、のちのファッション業界において、建築業界でいうところの基礎となった。
デムナ・ヴァザリアは〈バレンシアガ(BALENCIAGA)〉のアーティスティック・ディレクターに就任するにあたってアーカイブを丹念に紐解いていったという。クリストバルのルーツとなるバスク・シルエットにインスパイアされた、丁寧に仕立てられたコートは喝采を浴びた(クリストバルはスペイン・バスク地方に生まれた)。考えてみればデムナもシルエットに対し並々ならぬこだわりをもつデザイナーだ。擦り合わせていく作業はさぞ楽しかったはずである。
デムナの感性によって再構築された新生〈バレンシアガ〉の世界観を手っ取り早く味わいたいならレザーグッズは悪くないチョイスだ。某ファニチャーブランドを彷彿とさせる「キャリー ショッパー」や大胆なストライプが目を引く「バザール ショッパー」といった攻めたデザインにばかり目がいきがちだが、デムナはファンクションの方面でも非凡な才がある。その設計思想を知ればクチュール界の建築家の異名をとったクリストバルも目を細めたであろうことは想像に難くない。
ここで紹介するクラッチと財布は今秋の新作。カーフをメタリック&ロゴで仕上げた。それでいてみた目を裏切る収納力もある。たとえばゴールドの財布はこのサイズ感で紙幣、硬貨に加えて8枚ものカードが収まるというから驚きだ。
Photo_Masaki Sato
Text_Kei Takegawa
Edit_Ryo Muramatsu
バレンシアガ ジャパン
電話:0570-000-601
www.balenciaga.com
Source: フィナム