6月22日(金)、ポートランド発のアウトドア・フットウェアブランド〈KEEN(キーン)〉と、実力派東京ブランドとして支持される〈VAINL ARCHIVE(ヴァイナル アーカイブ)〉のコラボレーションシューズが発売される。採用モデルは〈KEEN〉の代表的シリーズUNEEK(ユニーク)より登場したUNEEK HT(ユニーク エイチティー)だ。UNEEKの特徴であるインターロッキング コード システムの内側に、メッシュのブーティーがレイヤーされたUNEEK HTは、夏だけでなくイヤーラウンドで活躍してくれる優秀シューズ。このUNEEK HTに〈VAINL ARCHIVE〉の大北幸平が施したのは、街や都会を感じさせるカラーリングとささやかな文字の配置。〈KEEN〉のアウトドアDNAに対照的な都市生活のエッセンスが落とし込まれている。販売価格は13,500円(税抜)だ。
そんな〈VAINL ARCHIVE〉のUNEEK HTを取り扱う店舗の中でも、セレクトショップの老舗『SHIPS』では、6月15日(金)から店頭で〈KEEN〉の豊富なラインアップを取り揃えた「KEEN MORE VARIATION」を開催中だ。この〈VAINL ARCHIVE〉のUNEEK HTをどこよりも多く仕入れたのは『SHIPS』のバイヤー田中楽。一番多くこのコラボモデルをバイイングしたことについて田中氏は、「蓋を開けてみたら、どうやらそうらしいですね。僕は特別多くオーダーしたつもりもなく、KEENとVAINLならこのくらいはお客様に用意しないと、っていう感覚でした」とのこと。本格的な夏に向けて新しいアウトドアシューズを見つけたいみなさんは、この機会に是非『SHIPS』の店頭へ足を運んでみよう。
そして以下よりご紹介するのは、UNEEK HTを囲んだ大北氏と田中氏へのざっくばらんなインタビュー。ものづくり、ファッションを通じて感じるあれこれを聴いた。
VAINL ARCHIVEとSHIPSのお付き合いはいつ頃からですか?
田中:SHIPSで取り扱いを始めたのは2014年春夏のコレクションからですね。幸平さんとの出会いはその1シーズン前の’13年秋冬の展示会だったんですけど、バイイングのタイミングが合わなくて。
大北:5分で帰ったよね。
田中:いやいや、そんなことないです(笑)。
大北:ないです(笑)。うちの展示会の時期が遅かったんですよね。で、’14春夏からお付き合いしていただいてます。
プライベートでも親交が深いですが、距離が縮んだきっかけはあるんですか?
大北:SHIPSさんでポップアップをやらせてもらった事ですね。作り込んだポップアップイベント自体、自分も初めてだったしSHIPSさんもやってこなかったとのことで、お互い手探りだったから、楽くんと話す機会も必然的に増えていったんですよね。せっかくだからSHIPSさんの中で違和感を出したいと思って、ミーティングする度に毎回構想が変わっていきました。最終的には店内に小屋を立てて、友達の絵描きや写真家にも参加してもらった結果、イベント自体にはたくさんの人が来てくれました。売り上げ的には成功だったのかちょっと……(笑)。でもそこからっすよね。
そのポップアップはいつ頃だったんですか?
田中:2014年の10月ですね。4年近く前。
大北:人は来てくれたんだけど、ブランドの知名度もない中でよくこんな無謀なトライする人いたなっていう、やってやった感(笑)。
田中:ようやったな感すごかったっすよね(笑)。
人気ブランドの創成期エピソードですね。その経験が今に繋がるのかと。
大北:大手の会社と何かをするっていうのも初めてだったんです。そこから、楽くんとの距離はすごい近くなりましたね。もちろん今でも仕事としてプロ意識はお互いあるので、おんぶにだっこみたいなのはダメですけど。僕はブランドとしてどう進んでいくかっていうところで、他社さんとの取り組みから成長させてもらえる部分はお願いしてます。このKEENとのコラボレーションも然りで。
では、今回のデザインについて改めて教えてください。
大北:ちょうどこのUNEEK HTがデビューするタイミングでコラボの話をもらって、最初はどうしたらいいだろう、と。アウトドアブランドだけど、自分そんなにキャンプしに行くわけじゃないし、とかね。本気のアウトドア派じゃなく、毎日の散歩が好き派です(笑)。
でもそこが、アウトドアブランドであるKEENがVAINL ARCHIVEとコラボする理由でもあったのかもしれないですよね。違う風というか、ブランド内だけじゃ生まれない広がりをVAINL ARCHIVEに期待したっていう。
大北:うん、だからこそ、そこで僕がアウトドアに寄せても無理があるから、街履きとして、都会をイメージしてつくりました。今回のために作ったビデオにも、ちょっと暗い感じと、雨と、濡れてるアスファルトとかが映っているんだけど、そういう街をサバイブするような感覚と、東京の空気感を落とし込んでみようっていうのが、今回のカラーパレットのベースです。黒と、グレーと、リフレクターと、コントラストのオレンジと。多分好きなんですよね、東京が。それと、90年代からずっと洋服屋にいて、色んなスタイルを見てきたつもりだけど、気づいたら自分はあまりカテゴライズされないものが好きみたいで、だから色んなスタイルに合わせやすい色っていうのも頭の中にありました。このグレーは、昔の軍モノのアイスグレーから抜いた色だったりするんだけど、そういう部分はミルスペックへの信頼感とか、あの頃の中田商店のような存在の影響があるのかもしれないです。
お2人とも日頃からKEENを愛用しているかと思いますが、KEENの気に入っている点はどこですか?
大北:単純に、このソールに入っている細かい溝には驚きました。
田中:その切り込みが、滑り止めや地面へのグリップ力になってるんですよね。
大北:もっと簡易化された商品なのかと思ってたけど、しっかりとしたテクノロジーが反映されてるんですよね。今回のモデルのブーティーも、外と中の繊維が違うんですよ。製作にあたって開発チームの人たちとも話をしたんですけど、その時彼らの熱意もものすごく伝わってきて、改めてKEENを勉強させてもらった感じがあります。だから色やロゴ以外は無駄にいじらなかったかな。服でもそうなんですけど、コラボや別注の時にオーバースペックにしたくないんですよね。Marmotの別注の時も然りで、そこに過剰な機能性を詰め込む必要性を感じないというか、既にその道のプロが作った素材にあれこれ注文つけないほうがうまくいく気がしています。特にKEENの場合、プロダクトとしてすごく完成したものなんですよね。だから手を加えるのが実は難しかった。そういう意味でも今回は、コラボをやる意味みたいな事も勉強しました。これでKEENさんをどうプロモーションできるんだろう、っていう挑戦というか。
田中さんが思うKEENの魅力は何ですか?
田中:僕はデザイナーじゃないのでものづくりとは違う視点になってしまうけど、バイヤーとして、純粋に“何コレ感”ていうのが一番の魅力だと思います。比較対象となるブランドが色々ある中で、同じカテゴリーにありながらも似て非なるものが出て来たなっていう感じが、UNEEKを見た時のいちばんの印象ですね。なかなか新しいものが出てこないと感じるこの時代に、何コレ?っていうアイキャッチな面白いプロダクトを見つけた嬉しい感覚がありました。
お2人はいつも、KEENをどんな時に履いているんですか?
大北:ジムに行く時かな(笑)。
田中:僕は会社についたらKEENに履き替えてます(笑)。正直、朝の満員電車にサンダルっていうのは心許ない面もあるけど、会社内で快適に過ごすにはぴったりですね。他のアウトドアブランドのシンプルなサンダルって、会社で履いてたら怒られちゃうんだけど、KEENならなんだかOKなんですよ。ファッションアイテムとしてのデザイン性があるのかと。
ちなみに改めて、SHIPSのコンセプトやSHIPSがファッションシーンに提案していきたいメッセージを伺えればと思うのですが。
田中:そうですねぇ、SHIPSって40年以上の歴史があるんで、実は部署や人ごとに思っていることは多少違うのかもしれないです。ただ根本には、お客様に信頼の置けるクオリティだったり、安心できる商品を提供するっていう事があるはずです。うちは流行りものを売っているトレンド屋さんじゃなくて洋服屋さんで、その店頭に並ぶ洋服の基準ていうのが、他には負けないようなラインアップであったり品質であったりすると思ってます。バイヤーとしてもそう思いながら仕事をしてますね。トレンド最先端のHYPEBEASTさんの取材でこんなこと言うのもアレなんですけど(苦笑)。
全く問題ないですよ(笑)。ちなみにお2人へのHYPEBEASTのインタビューは初めてなので、何かメッセージやら感想やらいただけたら。
大北:そういえば初めてですね。あまり関係ないけど、最近のファッションシーンの変動が大きいからしっかりブレずにやっていかないといけないなと。それと個人的にはwarpが休刊になったのは寂しいなぁ。そういえば、俺と楽くんが初めて一緒に取材受けたのもwarpだったよね。
田中:そうっすねぇ。居酒屋で……。
大北:懐かしいね、あの頃に比べるとブランドとしてもいろいろなことに挑戦させてもらえる環境になっていることに日々感謝ですね。
田中:まだまだいきましょう!
大北:なるべくブレずに続けます(笑)。
では、ミレニアルと呼ばれる世代に思うことなどはありますか? ちなみにミレニアル世代って、1981年から1996年に生まれた人たちのことだそうです。
大北:うーん、自分的に感覚は若い子たちとそこまでかけ離れてるつもりはないんですけどね。若い子たちと話すのは楽しいし好きですよ。
田中:そうですよね。おっさんたちばかりと話してるより楽しい。感覚は通じるけど、僕たちの知らないことを絶対知ってますからね。お互いにそうなのかもしれないけど。
大北:音楽も服もアートも、リバイバルみたいなものを新しいものとして捉えてるところでも、通じるし面白いです。でもそこで、これ昔流行ったよって言うとおっさん感出ちゃうから、我慢して言わないですけどね(笑)。
[問]KEEN Japan
Tel:03-6416-4808
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Source: HYPE BEAST