色盲のコンテンポラリーアーティスト、Daniel Arsham(ダニエル・アーシャム)。KAWS(カウズ)や村上隆と並び、『HYPEBEAST』の読者諸君であれば是非、名前を覚えていてほしいアーティストである。2年連続で『HYPEBEAST』が選ぶ100人“HB100”に選出させていただいたArshamは、アート分野のみならず『Snarkitecture(スナーキテクチャー)』の共同創立者として、親友Ronnie Fieg(ロニー・ファイグ)が主宰する『KITH(キス)』の内装デザインなども手がけている。
そのクリーブランド生まれの38歳が今、『NANZUKA』と『Perrotin Tokyo』の2ヶ所を拠点に、日本で個展を開催している。
『NANZUKA』の“Architecture Anomalie”はそのタイトルの通り、「科学的常識、原則からは説明できない逸脱、偏差を起こした現象を含む構造」をテーマとした新作の立体作品を展示。浸食した壁、壁と同化した布、身体性を連想させるアートピースなどは、空間と作品との関係性、視覚認識と身体感覚との関係性といったテーマに対するArshamの関心と研究が反映されており、見るものを答えのない非日常へと誘う。
一方の『Perrotin Tokyo』では“Color Shadows”と題し、『NANZUKA』での展示とは一変、地質物質、石膏、金属、そしてArsham初となるブロンズを用いた鋳造作品を一堂に展示。メインフロアにあるクッキーモンスターやトゥイーティーなどの特殊形状壁作品は、Arsham本人が中学生の頃に愛用していた〈JanSport(ジャンスポーツ)〉のバックパックとそこに無造作にあしらわれていたワッペンに着想得たもので、火山灰、黒曜石、炭粉、紅水晶を含む天然の物質からオブジェを制作するユニークな鋳造技術を用いた特徴的な彫刻スタイルと、廃れる宿命にある現代のあらゆる文化的オブジェを遺産化させたArshamの“Fictional Archeology(フィクションとしての考古学)”シリーズに通ずるものがある。また、その奥には“Lunar Garden”や“Hourglass”などと同じく、日本の枯山水を彷彿とさせる彫刻物の姿が。実はArshamの妻は日本人のハーフなのだが、この作品は彼女と初めて京都を訪れた際に見た枯山水の恒久的な美しさと儚さにインスパイアされており、同時に色覚補正眼鏡で得た新たな色彩の解釈を落とし込むことで、鑑賞者に未だかつてない経験を提供している。
『NANZUKA』の展示(写真1~12)および『Perrotin Tokyo』での展示(写真13~27)の様子は、上のフォトギャラリーから。だが、写真ではなく自身の目で見てこそ感じるものがあるはずので、会期中に是非、『NANZUKA』と『Perrotin Tokyo』をはしごして、Arshamの唯一無二の世界観に触れてみてほしい。
また、後日『HYPEBEAST』ではArshamのインタビューも掲載予定なので、アップデートをお見逃しなく。
Architecture Anomalie @ NANZUKA
住所:東京都渋谷区渋谷2-17-3 渋谷アイビスビルB2F
Tel:03-3400-0075
会期:6月30日(土)まで
時間:11:00-19:00
定休日:日・月・祝祭日
Color Shadows @ Perrotin Tokyo
住所:東京都港区六本木6-6−9 ピラミデビル1F
Tel:03-6721-0687
会期:6月30日(土)まで
時間:11:00-19:00
定休日:日・月・祝祭日
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Source: HYPE BEAST