2018年1月、およそ7年間務めた〈Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)〉のメンズ部門アーティスティック・ディレクターを退任したKim Jones(キム・ジョーンズ)は、ラグジュアリーとストリートの架け橋として〈Supreme(シュプリーム)〉や〈fragment design(フラグメント デザイン)〉といったブランドとの競演を企ててきたシーンの重要人物だ。その彼の次なるステージに注目が集まるなか、(3月20日付けでDior Hommeのアーティスティック・ディレクターに就任)、我ら日本人に馴染み深い〈UNIQLO(ユニクロ)〉の姉妹ブランド〈GU(ジーユー)〉とのコラボプロジェクト“KIM JONES GU PRODUCTION”を発表。3月17日(土)から4日間限定で『Dover Street Market Ginza(ドーバーストリートマーケット ギンザ)』にて先行発売されたことは既にお伝えしたが、今回『HYPEBEAST』ではこのポップアップイベントに合わせ来日したKim Jonesをキャッチし、話を聞くことに成功。今回のインタビューでは〈GU〉コラボの経緯や日本のファッションシーンについて、そして隆盛を誇った〈Louis Vuitton〉を辞めるきっかけ、更には親友のVirgil Abloh(ヴァージル・アブロー)とのプライベートな話まで語ってくれた。
– 今回のGUとのコラボレーションに至った経緯を教えてくれる?
自分のブランド(Kim Jones)を休止してから今年で10年の節目だったから単純に「何かしたいな」と思ったのが始まりかな。Louis Vuittonでコレクションを制作してたときは、価格帯も高額でなかなか若い層には手が出しにくいアイテムばかりだった。だから今回はリーズナブルな価格で過去のアーカイブコレクションの中から僕の大好きなアイテムをみんなに届けたいって思ったんだ。そんな時にちょうど僕の友達であり、ビジネスパートナーである源間大輔を経由してGU側からアプローチを貰って決まったって感じ。アーカイブからデザインを引っ張るだけだったけど、ほんの数ヶ月でここまでクオリティの高いアイテムが完成して正直びっくりしたよ。
– アーカイブコレクションのなかでお気に入りのアイテムは?
もちろんひとつには絞れないけど、音楽や動物といった僕の好きなジャンルを洋服に落とし込んだアイテムは愛着が深いかな。なかでもカラーブロッキングデザインのポップなニット&ジャージ、2002年の“EDGE OF THE LOOKING GLASS”Tシャツ、2007年の世界一美しい猿で知られるドゥクラングールのフォトTシャツ、ガーキン(KJのアイコンキャラクター)のTシャツ、あと刺繍入りのデニムジャケットは好きだね。
– なぜアジアの3地域(日本・台湾・香港)限定なの?
アジアのなかでもこの3つの地域は重要な市場だと思うんだ。特に日本はKim Jonesのコアなファンもいるって聞いていたし、僕も好きな都市のひとつでもあるし。あとはDSMでの展開も決まったときに、作品のテイストがマッチするのはこの3つかなと閃いたからね。
– 日本人で気になるアーティスト/デザイナーはいる?
グラフィックアーティストだとCav Empt(C.E.)のSK8THING(スケートシング)。クリエイターはfragment designの藤原ヒロシやNIGO®️(ニゴー)で、デザイナーはsacai(サカイ)の阿部千登勢やTAKAHIROMIYASHITATheSoloist.(タカヒロミヤシタザソロイスト.)の宮下貴裕、COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)の川久保玲、Junya Watanabe(ジュンヤ ワタナベ)の渡辺淳弥、ISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)の宮前義之、NEIGHBORHOOD(ネイバーフッド)の滝沢伸介、あとは日本市場でブランド展開をするChristopher Nemeth(クリストファーネメス)とかかな。非常に日本はクリエイションに優れた場所だと思っていて、彼らとコミュニケーションを取ると毎回刺激をもらえるよ。
– 将来的に日本に住みたいとは思う?
いまの僕はロンドン、東京、ロサンゼルスの3都市が1番好きだね。かれこれ日本には80回以上は来ているし、いつも来日の際に泊まるホテルにも満足していて、それくらいの家も東京で欲しいけど、それはもう少し後になってからかな。ビザの問題がちょっとネックでね(笑)。
– 個人的に好きな服のジャンルや系統は?
自分で着るのはベーシックでカジュアルなものが多いかな。ブランドで言うとJunya Watanabe COMME des GARÇONSが好きで、今季の2018年春夏コレクションも素晴らしかったね。色はネイビーやブラック、こげ茶、アーミーグリーンがお気に入りかな。日頃から常にファッションに触れているってのもあって、シンプル志向になっちゃったんだと思うよ。
– キムにとって今のファッションシーンはどう映っている?
こういった分け隔てないジャンルの共存は良いことだと思うよ。LVのようなハイファッションブランドのアイテムを買えない方でも、UNIQLOやGUなど高品質なアイテムをリーズナブルな価格で買える時代だし、昔では考えられなかった民主主義的なこの状況は単に素晴らしいよね。だから僕もLV時代にSupremeとのコラボレーションや今こうやってGUともやれたりできている。僕個人としてもハイブランドからファストファッションブランドのアイテムまで目を通すようにしているし、買ったりもする。市場を見ていれば流行るものもある程度わかるけど、僕は流行りに左右されることなく今好きなものを作るようにしてるよ。ただ価格設定だけは気をつけているけどね。
– ヴァージル・アブローはキムから見てどんな人? コラボはあり得る?
彼は親切でユニークな人だよ。僕と彼とはかれこれ10年位の付き合いだけど、親友みたいな存在かな。こないだロンドンで会ったときも、日本の雑誌を見せたり、Tシャツを交換しあったりしたしね。彼は働き者だから周囲から賛否両論あるけど、誰がみても才能や実力はピカイチさ。ファッションシーンでも非常に影響力があるし、最近では彼に憧れてアーティストになりたいって人も多いしね。実際のところヴァージルと僕のコラボレーションは、この先もあり得ないかな。ビジネスパートナーって言うよりかは、心の底から信頼しあえる友達だからね。
– LVでの思い出は? ネクストステージは?
LVと仕事をした期間は僕の人生にとってかえられない時間だった。離れるのは辛かったし、寂しかったけど、このタイミングでのクリエイティブ・ディレクター職の退任は自分のなかで変換の時期だと感じたんだ。みんな僕の動向を気にしてVersace(ヴェルサーチ)に行くの? とか聞くけど、正直みんなが想像しているブランドではないよ。そしてきっと驚くと思うよ。(この数日後、LVMH傘下であるDior Hommeのアーティスティック・ディレクターへの就任が発表された)
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Source: HYPE BEAST