未曾有の古着ブームについて

未曾有の古着ブームが続いています。ヴィンテージの価値が高まり、数千万円もするアイテムが登場することも珍しくありません。一部のマニアやお金持ちだけが楽しめると諦める声も聞こえてきそうです。

しかし、価格が高騰し切っていない現時点では、まだまだ楽しめる隠れた名品も存在します。この連載では、十倍直昭氏が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に紹介しています。今回は、「エルメス（HERMÈS）」のアレアに焦点を当てます。

エルメスジュエリー「名作揃いのスペシャルピース」

これまでの連載では、ヘラクレス、アクロバット、クレッシェンドなど、エルメスの名作ジュエリーを紹介してきました。今回はアレアに注目します。

アレアはフランス語で「偶然」や「予測不能」を意味します。各コマが異なるデザインで、サランボ、シェーヌダンクル、ダリウス、ブックルセリエなどの名作が採用されています。アレアは最初で最後の稀有な逸品です。

デザイン上、コマごとの配色がアップグレードされ、完璧に並んでいます。サイズごとにコマが異なる順序で配置されており、その設計には緻密な配慮がされています。

アレアのデザインはピエール・アルディが手掛け、これまでのエルメスジュエリーのクラシカルな雰囲気から一新され、モダンな印象を与えています。

アレアは3サイズ展開で、上からPM、GM、TGM（別名アレアジュアン）と呼ばれます。

エルメスジュエリーの高騰理由

エルメスジュエリーはモデルによって販売期間が異なります。アレアは2006年から2021年まで販売された後者に属します。近年、エルメスジュエリーの人気が高まっている一因は、生産数の制限が挙げられます。

エルメスがジュエリーの生産数を絞ったことで、ブランド価値を高めようとしている可能性があります。アレア自体は限られた生産数であり、希少性が高いため、人気が高まっています。

アレアは特別な顧客にはスペシャルオーダーが可能であり、価格も500万円以上する非常に貴重なアイテムです。

現在の相場では、TGMが約100万円から、次に大きいGMと一番小さいPMはそれぞれ約200万円からとなっています。

近年のエルメスジュエリーには魅力がありますが、特にデザイナーのピエール・アルディによる2010年前後のアイテムに特別な思い入れがあります。