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映画から飛び出した少女の部屋のように、「dim at noon」

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Rewrite

その名の通り、オーナーやバイヤーの審美眼がフルに発揮される「セレクトショップ」。

トレンドをとらえたブランド、趣味や嗜好性が表れた服、目利きがキャッチした 新世代のデザイナーなど、コンセプトが明確なショップであるほど、 ファッションに対する美意識は店内の品揃えからも一目瞭然だ。そんなショップを訪れるファッションフリークが気にしているのは、 常に新しい刺激を提案してくれるオーナーやバイヤーの次なる動向や関心。

今回は映画から飛び出した少女の部屋がそのままショップになったような「dim at noon(ディムアットヌーン)」の梅野久美子さんにお話を伺った。

Profile
梅野久美子
dim at noon オーナー
下北沢で古着屋を経営後、夫婦で「dim at noon」をオープン。上質なお洋服に触れた多くの経験を活かしてセレクトしている。
Instagramをチェック!
@dimatnoon

お部屋のようなショップに女の子の「好き」があふれる

「dim at noon」がオープンしたのはいつですか。

梅野:2018年です。

— 「dim at noon」をオープンさせる前もファッションに携わるお仕事だったのでしょうか。

梅野:コンセプトは全く異なりますけど夫と一緒にセレクトショップをやっていました。なので「dim at noon」 はまだ6年目ですが、ショップのオーナー歴はそれ以上に長いです。

ショップは下北沢にありますが、街としては古着屋のイメージが強いです。新たにオープンさせるのに下北沢を選んだ理由はなんでしょうか。

梅野:以前やっていたお店も下北沢だったので馴染みのある街だったのが理由のひとつです。ファッションを本当に好きな人たちは自分たちが行きたいと思ったショップであればどこでも訪れますよね。なので場所は特に重要ではなかったんです。

— “ファッション好きが訪れたくなるショップ”として意識していることはなんでしょうか。

梅野:路面店のようなものではなく、あえて2階の一部屋にお店を構えました。外から見ても洋服を扱っているお店だということがわからないようになっています。自分たちが理想とする世界観を表現するためにもこじんまりやりたいという思いがあったんです。

 ショップを訪れた方の全員が思うはずですが、まさに「お部屋」のような内装ですよね。

梅野:ショップのミューズにもなっているソフィア・コッポラの映画『ヴァージン・スーサイズ』の4姉妹の部屋をイメージしていて、花柄の壁紙やアンティーク調のランプ、カーペットに積み重ねられた写真集や映画のDVDの数々など多感な時期の少女の部屋に置いてあるようなものばかりを選びました。少女の親が用意した“可愛らしいもの”と少女が自ら選んだ“可愛いもの”や“好きなもの”がミックスするように、「好きに囲まれた女の子の部屋」を表現したかったんです。

— ちょっと乱雑に置かれた昔の映画のDVDや書籍がすごくリアルに感じます。

梅野:多感な頃の部屋ってゴチャってしてるものですよね(笑)。毎週のようにCDやDVD、雑誌などが発売され、手付かずの状態で溢れていた90年代のリアルを表現しています。

 ショップのミューズとしてだけでなく、梅野さん自身のファッションもソフィア・コッポラから影響を受けているのでしょうか。

梅野:私が10代であった90年代にソフィア・コッポラが立ち上げた<MILKFED(ミルクフェド)>やキム・ゴードンによる<X-girl(エックスガール)>などは映画や音楽カルチャーとの関りが密接でしたので、「特定のこれ!」というよりは、あの頃のガールズムーブメント全体から幅広く影響を受けたと思います。

意識しているのはモチベーションが上がるような洋服

— 下北沢には古着屋の数がここ数年で著しく増加しているように思います。それに伴って、街全体に若者が多くいるような印象がありますが、「dim at noon」のお客さんはどのような層の方が多いですか。

梅野:通りを歩いている中高生はすごく増えていますが、「dim at noon」を訪れるのは学生からクリエイター、IT系で働いている社会人の方など年代は全く関係なく、客層はかなり幅広いと思います。

 街に合わせたセレクトなどはしているのでしょうか?

梅野:街に合わせたセレクトはしていません。若い世代という意味では、「dim at noon」で“自分の好き”と出会ってほしいという思いがあるので、多少は意識するところもあります。若い方は考えが柔軟ですぐに吸収する力があるので、直感的に“可愛い”と思ったらどんな風に着こなすか悩む前に選んでくれます。なので、そんな方たちが手に取りたくなるようなアイテムをセレクトしています。

— 梅野さんはどのような接客スタイルなのでしょう。

梅野:基本的にはお客様が気に入ったもの、可愛いと思ったもの自由に選んでほしいので私は特に何もしていないです。自由に選んでほしいというのは「好き」をずっと大切にしてほしいという思いがあるから。年齢を重ねるとファッションも「自分にふさわしいかどうか」が優先されがちで「好き」を我慢してしまう。似合う、似合わないはあまり気にしないで「この服を着たい」という気持ちに素直に従ってファッション楽しんでほしいです。

— お客さんの職業も年齢層も幅広いということは、「dim at noon」はいろんな人の“好き”が集まっているということですね。

梅野:はい、頑張ってセレクトしています(笑)。「dim at noon」も一概に“かわいい”では括れない側面もたくさんあります。推し活やオタ活に気分爆上げして欲しい気持ちが高まっているので、色物のセレクトが増えているのは事実ですが、ベースはオケージョンを意識しているのでモノトーンが多いです。

 ブランドやアイテムをセレクトするときに基準にしていることはありますか。

梅野:「dim at noon」には『well-bred』、『khaos』、『décadence』というコンセプトを掲げていて、その中の『well-bred』には「育ちがいい」などの意味があり、アイテムの雰囲気もそこから外れないようにしています。何より、特別なときに着たくなるようなとっておきの一着を揃えていて、モチベーションやテンションが上がるようなセレクトを心がけています。ブランドのセレクト基準としては世界を視野に入れている若手デザイナーと一緒に成長したいという思いがあるので新進気鋭ブランドに注目することもありますね。

いつもの普段着ではなくて「今日のこの日のための洋服」ということですね。

梅野:そうです。

 そんな洋服が揃っているショップにぴったりな空間なので、足を踏み入れた瞬間から気持ちが高まりました。

梅野:お客さんにはショップに買い物に来たというよりも、お友達の部屋に遊びに来たぐらいの気持ちでいてほしいといつも思っています。

可愛く仕上げてあげたいからスタイリスト業も視野に

— 2024春夏のトレンドでもありますが、「dim at noon」は<SHUSHU/TONG(シュシュ トン)>や<SUSAN FANG(スーザン ファン)>など「ロマンティック」なブランドの取り扱いが国内でも早かった印象です。

梅野:シンプルに自分たちがガーリーやフェミニンな服が好きなんです。ミニスカートを探していた時期があったんですが国内のブランドでは見つからなくて、海外に目を向けて気に入ったのが<SHUSHU/TONG>でした。なのでトレンドを意識したブランドラインナップというわけではないんです。

 新しいブランドはどうやって探すことが多いですか。

梅野:最近は「dim at noon」の世界観を気に入ってくれたブランド側から「ショップに置いてほしい」とオファーをいただくことも増えています。本当にありがたいです。

— 一部だとは思いますがヴィンテージの取り扱いもありますよね。そこもガーリーやフェミニンなスタイルとの相性を考えて買い付けているのでしょうか。

梅野:新品とのコーディネートを楽しめることはもちろん考えています。スタイリング提案としてSNSにアップすると古着のブランドのことは知らなくてもそのコーディネートをまるっと欲しいという声をいただくこともあって、そんなに反応があるならと実はセレクトショップと並行してスタイリスト業もやっていきたいと考えているんです。

 スタイリスト業に挑戦したいと思ったきっかけはなんでしょうか。

梅野:俳優の卵のような方から「dim at noonで取り扱っているアイテムのテイストが好きなので、衣装としてリースできませんか」とお願いされることがあります。それだったら単にリースするだけではなくて、「dim at noon」の服の中からその方に合うものを私たちが選んで、とことん可愛く仕上げてあげたいと思うんです。スタイリスト業はまだ具体的に始動しているわけではないのですがご依頼いただければいつでもという感じです(笑)。

 SNSの画像だけでトータルでほしいという声があるのは、それだけ提案しているスタイリングが素敵だということですね。

梅野:SNSにアップすることを考えてのこともありますし、オンラインで購入されるお客さんも増えているので素材などアイテムのクオリティはかなり選び抜いています。そこにこだわらないと画像だけではどれも同じように見えてしまいますから。

— ショップで一度購入すれば洋服のクオリティを知ってもらい、安心してオンラインで購入してもらえるという流れですか?

梅野:東京に住んでいて「dim at noon」に訪れることができる方は必ずショップで購入してくれます。この部屋に来ることも楽しみにしてくれているので(笑)。過去に大阪でポップアップを開催したことがあって、そこから「dim at noon」を知ってくださりオンラインで購入してくださる方も多くいらっしゃいます。

— 「この部屋に来ることも楽しみ」というのはすごくわかります。ガーリー&フェミニンの演出は徹底されていますよね。

梅野:先にも少し話しましたが、このショップの核になっているのは『ヴァージン・スーサイズ』の世界観なんです。あの映画を構成しているさまざまな要素を抜き出したり、組み立て直したりして作り上げました。店名も『ヴァージン・スーサイズ』の原作である小説の一節から名付けているくらいです。また、この店内は「大人でも子供でもないフラジャイルな心を持つ実家暮らしの女の子」の部屋をイメージしていて、お母さんが選んだような子供っぽい壁紙やお父さんが買ってきたスーベニアの民藝品など、ちょっぴり不思議で独特な違和感を足しています。意外だと思われるかもしれませんが、ガーリー&フェミニンな要素が100%ではないんです。

終わりのない模様替えのように常に新しい提案を

— 「ガーリー」や「フェミニン」というのは今でこそファッションとして確立されていますが、オープン当初はそこに特化したときのお客さんの反応はどうでしたか。

梅野:あまり受け入れられてはいなかったと思います。

— それでもショップの方向性を変えることは考えなかったですか。

梅野:悔しかったので、むしろとことんまでガーリー&フェミニンに振り切ったショップにしていきました(笑)。諦めずに続けてきたことで“dim at noonを好き”という方が集まるようになってきて、今では自分で着るための服を選ぶ男性のお客さんも増えてきています。

— “dim at noonを好き”というお客さんはどんな方が多いですか。

梅野:人それぞれで、少なくとも私は共通項のようなものを感じないです。「dim at noon」の“かわいい”を共感してくれる方に性別や年齢は関係ないですから。

— 「dim at noon」は梅野さんの“好き”に振り切っているショップだということがわかりました。今後、ショップとしてやっていきたいことや新たに挑戦していきたいことはありますか。

梅野:ショップを撮影場所として貸し出したり、世界観の強いブランドのPRやセールスをしていきたいです。そのためにもブランドやアイテムのセレクトはしっかりとしていきたいです。「dim at noon」でも売れ続けているブランドやアイテムもありますが、それだけではなくて「次はどこに行こう」といつも考えています。

— そうなると現状のラインナップからブランドもアイテムも今後は変わることもあり得るのでしょうか。

梅野:「dim at noon」というショップは一生完成しないと思っていますし、完成した時点でつまらないものになると思います。この部屋には終わらない模様替えというコンセプトもあるので、セレクトの核は変わりませんがシーズンや時代感によって変化し続けるのではないでしょうか。

 ショップとしてはあくまでもガーリーでありフェミニンに特化し続けるということですね。

梅野:今の“可愛い”はアジアンカルチャーからの強いイメージ発信もありますが、「dim at noon」ではクラシックな要素を含んだヨーロッパ方面のブランドにも目を向けています。新しい試みとしてはアーティストの方とコラボレーションをした一点物のファッションピースを増やしていきたいと思っています。

— セレクトだけではなくオリジナルにも注力していくということでしょうか。

梅野:『ヴァージン・スーサイズ』から着想を得たセレクトショップとして「dim at noon」の世界観を追い求めるとしたら、究極はオリジナルになってしまうのかなと今は思っています。

梅野久美子がリコメンドする3ブランド

<SHUSHU/TONG(シュシュ トン)>

「ブランドとしては取り扱いの前から知っていたのですが、ミニスカートをほしいと思った時に強く惹かれたのが<SHUSHU/TONG>でした。アイテムとしてはベーシックでも独特のシルエットが個性を演出してくれて、可愛くて甘いだけじゃなくてクラシックな雰囲気も備えているのが魅力です。テンションを上げたい「推し活」のためにと何枚もまとめ買いするお客さんも多いです。」

Instagramをチェック!
@shushu__tong

<Florentina Leitner(フロレンティーナ レイトナー)>

「デザイナーはオーストリア出身でベルギーを拠点にしているブランドです。お花のモチーフがアイコンになっていて、「ぱっと見で可愛い」というのが買い付けた理由です。取り扱うのは2024春夏からですが、少女映画といえば必ず名前が挙がる『ピクニックatハンギングロック』が今季のテーマになっていて、そこもdim at noonにぴったりだと思いました。」

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@florentinaleitner_

<SUSAN FANG(スーザン ファン)>

「中国人のデザイナーが手がけているブランドで、ビーズをアイコンにした洋服やバッグが揃っています。バッグは3Dプリンターを駆使しているのですが完成品はどこかクラフト感もあって、ハイテク技術なのにどこかほっこりとした懐かしさも感じさせる雰囲気に惹かれました。SNSで発信しているスタイリングも上手で、トータルコーディネートの見せ方にもすごく長けています。」

Instagramをチェック!
@susanfangofficial

dim at noon

2018年、下北沢にオープンしたセレクトショップ。敢えて外に看板を出さずに営業することで、ショップの世界観やセレクトを好きな人がゆっくりお買い物を楽しめる空間づくりをしている。

〒155-0032
東京都世田谷区代沢5丁目28−17
13:00-18:00 定休日:水曜日

Instagramはこちらから!
@dimatnoon

in HTML format, including tags, to make it appealing and easy to read for Japanese-speaking readers aged 20 to 40 interested in fashion. Organize the content with appropriate headings and subheadings (h1, h2, h3, h4, h5, h6), translating all text, including headings, into Japanese. Retain any existing tags from

その名の通り、オーナーやバイヤーの審美眼がフルに発揮される「セレクトショップ」。

トレンドをとらえたブランド、趣味や嗜好性が表れた服、目利きがキャッチした 新世代のデザイナーなど、コンセプトが明確なショップであるほど、 ファッションに対する美意識は店内の品揃えからも一目瞭然だ。そんなショップを訪れるファッションフリークが気にしているのは、 常に新しい刺激を提案してくれるオーナーやバイヤーの次なる動向や関心。

今回は映画から飛び出した少女の部屋がそのままショップになったような「dim at noon(ディムアットヌーン)」の梅野久美子さんにお話を伺った。

Profile
梅野久美子
dim at noon オーナー
下北沢で古着屋を経営後、夫婦で「dim at noon」をオープン。上質なお洋服に触れた多くの経験を活かしてセレクトしている。
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@dimatnoon

お部屋のようなショップに女の子の「好き」があふれる

「dim at noon」がオープンしたのはいつですか。

梅野:2018年です。

— 「dim at noon」をオープンさせる前もファッションに携わるお仕事だったのでしょうか。

梅野:コンセプトは全く異なりますけど夫と一緒にセレクトショップをやっていました。なので「dim at noon」 はまだ6年目ですが、ショップのオーナー歴はそれ以上に長いです。

ショップは下北沢にありますが、街としては古着屋のイメージが強いです。新たにオープンさせるのに下北沢を選んだ理由はなんでしょうか。

梅野:以前やっていたお店も下北沢だったので馴染みのある街だったのが理由のひとつです。ファッションを本当に好きな人たちは自分たちが行きたいと思ったショップであればどこでも訪れますよね。なので場所は特に重要ではなかったんです。

— “ファッション好きが訪れたくなるショップ”として意識していることはなんでしょうか。

梅野:路面店のようなものではなく、あえて2階の一部屋にお店を構えました。外から見ても洋服を扱っているお店だということがわからないようになっています。自分たちが理想とする世界観を表現するためにもこじんまりやりたいという思いがあったんです。

 ショップを訪れた方の全員が思うはずですが、まさに「お部屋」のような内装ですよね。

梅野:ショップのミューズにもなっているソフィア・コッポラの映画『ヴァージン・スーサイズ』の4姉妹の部屋をイメージしていて、花柄の壁紙やアンティーク調のランプ、カーペットに積み重ねられた写真集や映画のDVDの数々など多感な時期の少女の部屋に置いてあるようなものばかりを選びました。少女の親が用意した“可愛らしいもの”と少女が自ら選んだ“可愛いもの”や“好きなもの”がミックスするように、「好きに囲まれた女の子の部屋」を表現したかったんです。

— ちょっと乱雑に置かれた昔の映画のDVDや書籍がすごくリアルに感じます。

梅野:多感な頃の部屋ってゴチャってしてるものですよね(笑)。毎週のようにCDやDVD、雑誌などが発売され、手付かずの状態で溢れていた90年代のリアルを表現しています。

 ショップのミューズとしてだけでなく、梅野さん自身のファッションもソフィア・コッポラから影響を受けているのでしょうか。

梅野:私が10代であった90年代にソフィア・コッポラが立ち上げた<MILKFED(ミルクフェド)>やキム・ゴードンによる<X-girl(エックスガール)>などは映画や音楽カルチャーとの関りが密接でしたので、「特定のこれ!」というよりは、あの頃のガールズムーブメント全体から幅広く影響を受けたと思います。

意識しているのはモチベーションが上がるような洋服

— 下北沢には古着屋の数がここ数年で著しく増加しているように思います。それに伴って、街全体に若者が多くいるような印象がありますが、「dim at noon」のお客さんはどのような層の方が多いですか。

梅野:通りを歩いている中高生はすごく増えていますが、「dim at noon」を訪れるのは学生からクリエイター、IT系で働いている社会人の方など年代は全く関係なく、客層はかなり幅広いと思います。

 街に合わせたセレクトなどはしているのでしょうか?

梅野:街に合わせたセレクトはしていません。若い世代という意味では、「dim at noon」で“自分の好き”と出会ってほしいという思いがあるので、多少は意識するところもあります。若い方は考えが柔軟ですぐに吸収する力があるので、直感的に“可愛い”と思ったらどんな風に着こなすか悩む前に選んでくれます。なので、そんな方たちが手に取りたくなるようなアイテムをセレクトしています。

— 梅野さんはどのような接客スタイルなのでしょう。

梅野:基本的にはお客様が気に入ったもの、可愛いと思ったもの自由に選んでほしいので私は特に何もしていないです。自由に選んでほしいというのは「好き」をずっと大切にしてほしいという思いがあるから。年齢を重ねるとファッションも「自分にふさわしいかどうか」が優先されがちで「好き」を我慢してしまう。似合う、似合わないはあまり気にしないで「この服を着たい」という気持ちに素直に従ってファッション楽しんでほしいです。

— お客さんの職業も年齢層も幅広いということは、「dim at noon」はいろんな人の“好き”が集まっているということですね。

梅野:はい、頑張ってセレクトしています(笑)。「dim at noon」も一概に“かわいい”では括れない側面もたくさんあります。推し活やオタ活に気分爆上げして欲しい気持ちが高まっているので、色物のセレクトが増えているのは事実ですが、ベースはオケージョンを意識しているのでモノトーンが多いです。

 ブランドやアイテムをセレクトするときに基準にしていることはありますか。

梅野:「dim at noon」には『well-bred』、『khaos』、『décadence』というコンセプトを掲げていて、その中の『well-bred』には「育ちがいい」などの意味があり、アイテムの雰囲気もそこから外れないようにしています。何より、特別なときに着たくなるようなとっておきの一着を揃えていて、モチベーションやテンションが上がるようなセレクトを心がけています。ブランドのセレクト基準としては世界を視野に入れている若手デザイナーと一緒に成長したいという思いがあるので新進気鋭ブランドに注目することもありますね。

いつもの普段着ではなくて「今日のこの日のための洋服」ということですね。

梅野:そうです。

 そんな洋服が揃っているショップにぴったりな空間なので、足を踏み入れた瞬間から気持ちが高まりました。

梅野:お客さんにはショップに買い物に来たというよりも、お友達の部屋に遊びに来たぐらいの気持ちでいてほしいといつも思っています。

可愛く仕上げてあげたいからスタイリスト業も視野に

— 2024春夏のトレンドでもありますが、「dim at noon」は<SHUSHU/TONG(シュシュ トン)>や<SUSAN FANG(スーザン ファン)>など「ロマンティック」なブランドの取り扱いが国内でも早かった印象です。

梅野:シンプルに自分たちがガーリーやフェミニンな服が好きなんです。ミニスカートを探していた時期があったんですが国内のブランドでは見つからなくて、海外に目を向けて気に入ったのが<SHUSHU/TONG>でした。なのでトレンドを意識したブランドラインナップというわけではないんです。

 新しいブランドはどうやって探すことが多いですか。

梅野:最近は「dim at noon」の世界観を気に入ってくれたブランド側から「ショップに置いてほしい」とオファーをいただくことも増えています。本当にありがたいです。

— 一部だとは思いますがヴィンテージの取り扱いもありますよね。そこもガーリーやフェミニンなスタイルとの相性を考えて買い付けているのでしょうか。

梅野:新品とのコーディネートを楽しめることはもちろん考えています。スタイリング提案としてSNSにアップすると古着のブランドのことは知らなくてもそのコーディネートをまるっと欲しいという声をいただくこともあって、そんなに反応があるならと実はセレクトショップと並行してスタイリスト業もやっていきたいと考えているんです。

 スタイリスト業に挑戦したいと思ったきっかけはなんでしょうか。

梅野:俳優の卵のような方から「dim at noonで取り扱っているアイテムのテイストが好きなので、衣装としてリースできませんか」とお願いされることがあります。それだったら単にリースするだけではなくて、「dim at noon」の服の中からその方に合うものを私たちが選んで、とことん可愛く仕上げてあげたいと思うんです。スタイリスト業はまだ具体的に始動しているわけではないのですがご依頼いただければいつでもという感じです(笑)。

 SNSの画像だけでトータルでほしいという声があるのは、それだけ提案しているスタイリングが素敵だということですね。

梅野:SNSにアップすることを考えてのこともありますし、オンラインで購入されるお客さんも増えているので素材などアイテムのクオリティはかなり選び抜いています。そこにこだわらないと画像だけではどれも同じように見えてしまいますから。

— ショップで一度購入すれば洋服のクオリティを知ってもらい、安心してオンラインで購入してもらえるという流れですか?

梅野:東京に住んでいて「dim at noon」に訪れることができる方は必ずショップで購入してくれます。この部屋に来ることも楽しみにしてくれているので(笑)。過去に大阪でポップアップを開催したことがあって、そこから「dim at noon」を知ってくださりオンラインで購入してくださる方も多くいらっしゃいます。

— 「この部屋に来ることも楽しみ」というのはすごくわかります。ガーリー&フェミニンの演出は徹底されていますよね。

梅野:先にも少し話しましたが、このショップの核になっているのは『ヴァージン・スーサイズ』の世界観なんです。あの映画を構成しているさまざまな要素を抜き出したり、組み立て直したりして作り上げました。店名も『ヴァージン・スーサイズ』の原作である小説の一節から名付けているくらいです。また、この店内は「大人でも子供でもないフラジャイルな心を持つ実家暮らしの女の子」の部屋をイメージしていて、お母さんが選んだような子供っぽい壁紙やお父さんが買ってきたスーベニアの民藝品など、ちょっぴり不思議で独特な違和感を足しています。意外だと思われるかもしれませんが、ガーリー&フェミニンな要素が100%ではないんです。

終わりのない模様替えのように常に新しい提案を

— 「ガーリー」や「フェミニン」というのは今でこそファッションとして確立されていますが、オープン当初はそこに特化したときのお客さんの反応はどうでしたか。

梅野:あまり受け入れられてはいなかったと思います。

— それでもショップの方向性を変えることは考えなかったですか。

梅野:悔しかったので、むしろとことんまでガーリー&フェミニンに振り切ったショップにしていきました(笑)。諦めずに続けてきたことで“dim at noonを好き”という方が集まるようになってきて、今では自分で着るための服を選ぶ男性のお客さんも増えてきています。

— “dim at noonを好き”というお客さんはどんな方が多いですか。

梅野:人それぞれで、少なくとも私は共通項のようなものを感じないです。「dim at noon」の“かわいい”を共感してくれる方に性別や年齢は関係ないですから。

— 「dim at noon」は梅野さんの“好き”に振り切っているショップだということがわかりました。今後、ショップとしてやっていきたいことや新たに挑戦していきたいことはありますか。

梅野:ショップを撮影場所として貸し出したり、世界観の強いブランドのPRやセールスをしていきたいです。そのためにもブランドやアイテムのセレクトはしっかりとしていきたいです。「dim at noon」でも売れ続けているブランドやアイテムもありますが、それだけではなくて「次はどこに行こう」といつも考えています。

— そうなると現状のラインナップからブランドもアイテムも今後は変わることもあり得るのでしょうか。

梅野:「dim at noon」というショップは一生完成しないと思っていますし、完成した時点でつまらないものになると思います。この部屋には終わらない模様替えというコンセプトもあるので、セレクトの核は変わりませんがシーズンや時代感によって変化し続けるのではないでしょうか。

 ショップとしてはあくまでもガーリーでありフェミニンに特化し続けるということですね。

梅野:今の“可愛い”はアジアンカルチャーからの強いイメージ発信もありますが、「dim at noon」ではクラシックな要素を含んだヨーロッパ方面のブランドにも目を向けています。新しい試みとしてはアーティストの方とコラボレーションをした一点物のファッションピースを増やしていきたいと思っています。

— セレクトだけではなくオリジナルにも注力していくということでしょうか。

梅野:『ヴァージン・スーサイズ』から着想を得たセレクトショップとして「dim at noon」の世界観を追い求めるとしたら、究極はオリジナルになってしまうのかなと今は思っています。

梅野久美子がリコメンドする3ブランド

<SHUSHU/TONG(シュシュ トン)>

「ブランドとしては取り扱いの前から知っていたのですが、ミニスカートをほしいと思った時に強く惹かれたのが<SHUSHU/TONG>でした。アイテムとしてはベーシックでも独特のシルエットが個性を演出してくれて、可愛くて甘いだけじゃなくてクラシックな雰囲気も備えているのが魅力です。テンションを上げたい「推し活」のためにと何枚もまとめ買いするお客さんも多いです。」

Instagramをチェック!
@shushu__tong

<Florentina Leitner(フロレンティーナ レイトナー)>

「デザイナーはオーストリア出身でベルギーを拠点にしているブランドです。お花のモチーフがアイコンになっていて、「ぱっと見で可愛い」というのが買い付けた理由です。取り扱うのは2024春夏からですが、少女映画といえば必ず名前が挙がる『ピクニックatハンギングロック』が今季のテーマになっていて、そこもdim at noonにぴったりだと思いました。」

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@florentinaleitner_

<SUSAN FANG(スーザン ファン)>

「中国人のデザイナーが手がけているブランドで、ビーズをアイコンにした洋服やバッグが揃っています。バッグは3Dプリンターを駆使しているのですが完成品はどこかクラフト感もあって、ハイテク技術なのにどこかほっこりとした懐かしさも感じさせる雰囲気に惹かれました。SNSで発信しているスタイリングも上手で、トータルコーディネートの見せ方にもすごく長けています。」

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@susanfangofficial

dim at noon

2018年、下北沢にオープンしたセレクトショップ。敢えて外に看板を出さずに営業することで、ショップの世界観やセレクトを好きな人がゆっくりお買い物を楽しめる空間づくりをしている。

〒155-0032
東京都世田谷区代沢5丁目28−17
13:00-18:00 定休日:水曜日

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@dimatnoon

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