FUJIYAMAXショップを手掛ける、奇想天外アーティストユニットmagmaの正体。
現在「JOURNAL STANDARD 表参道」、「JOURNAL STANDARD 新宿店」にて開催中のポップアップ・イベント「FUJIYAMAX ショップ」にはもう行かれましたか? 先日のラフォーレ原宿での展示が大盛況に終わったアーティストユニット、magmaとのコラボレートプロジェクトである当イベント。明らかに普通ではない混沌としたオーラを放つ彼らの作品展示はもちろん、コラボグッズの販売も行っています。今回はそんなmagmaのふたりに、制作のこだわりや展示の見所などを語ってもらいました。奇想天外な世界観はどのようにして生まれたのか? その原点にも迫ります。
- Photo_Masataka Nakada[STUH]
- Edit_Yuichiro Tsuji
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magma / アーティストユニット
2008年に結成した、杉山 純(写真右)、宮澤謙一(写真左)によるアーティストユニット。廃材、電動器具、樹脂などを利用し、手作業で組み合わせることで独自の世界観を形成。アート作品の制作のほか、空間演出などのクライアントワークも行ない、これまでにゆずのMVや、ツアータイトルのデザイン、ステージセットを制作。他にも、木村カエラ、サカナクション、きゃりーぱみゅぱみゅといったアーティストのMVへ作品提供も行っている。
きっかけは「就職しないほうが楽しいぞ」という恩師の言葉。
magamaは活動のコンセプトなどはあるんですか?
杉山とくにないですね。気づいたらこういう世界観を作りあげていたというか。
宮澤ぼくらは廃材を中心に、物体と物体を組み合わせて作品を作っています。アトリエにはそういった廃材が山ほどあって、それら眺めながら「どうしようかな」と思案するわけです。
杉山奇抜なものを作ろうという意識はないんですけど、見たことあるもの同士を組み合わせていかに見たことない形を作るか、というのは意識していますね。例えば床屋さんにあるサインポールは単体でみると普通なんだけど、集合体にすることで見過ごせないモノへと変化させています。
宮澤サインポールにしろ、街の看板にしろ、ぼくらは昔からこういうモノが好きだったんです。
そもそもおふたりがmagmaとして活動をはじめるきっかけはどんなことだったんですか?
宮澤大学の卒業制作を杉山と一緒に作ったんです。それがmagmaとしてのはじまりですね。
杉山大学のゼミの教授に「卒業したらふたりで会社をつくれ」って言われたんです。その当時からmagmaという名前もつけて、既にチームとして意識的に取り組んでいくようになったというか。
宮澤その教授は寺山修司さんが主宰した天井桟敷の舞台美術をやっていた人で、一度も就職せずに生きている人なんです。その人が「就職しないほうが楽しいぞ」って言ってくれて。あとは「ゴミから作品を作れ」って言われましたね。お金をかけずともいい作品は作れる、と。絶対に普通のことをやらない人なんです。ずっと尖ったことをやっていて、ぼくらはその人に大きな影響を受けています。
magmaという名前にはなにか意味があるんですか?
宮澤ないです。もともとボンバーズっていう5人組のユニットを組んでいたんですよ、大学のときに。だから、「今回も沸騰系でいこう」と(笑)。
インディペンデントな活動に憧れを抱いていた。
おふたりの原点は大学時代にあるということですが、卒業制作のときからいまのようなスタイルができていたんですか?
宮澤ぼくらはふたりともモノが好きなんです。オモチャとか。お互いそういうのを集めちゃう性格で、そこからなにか作り始めるっていうのがはじまりました。
小さい頃にプラモデルを作ったりするような感覚ですか?
杉山それに近い感覚はあるかもしれません。ただ、設計図通りに作るのではおもしろくない。ぼくは出身が静岡で、地元にはプラモデルの工場がたくさんあったんですよ。プラモデルフェスみたいなのがよく開催されていて、ぼく自身も小さい頃にいろんなプラモデルを持っていたんですけど、いろんな種類のプラモデルをバラして、別のモデル同士を合体させて遊んでいました。
やっていることがmagmaと同じですね(笑)。宮澤さんもそんな遊びをしていたんですか?
宮澤ぼくはプラモデルじゃないですね。姉と妹がいるんですが、リカちゃん人形のキッチンセットにウルトラマンを忍ばせて、リカちゃんの服を着せる遊びをしてました。サイズ感がピッタリだったんです(笑)。
だいぶ変態的ですね(笑)。
宮澤まっすぐ道を歩くのがイヤなんです。普通じゃないものに惹かれるというか。ミニ四駆でも、スピードを速くすることに興味がなかったです。どちらかといえばヴィジュアルのユニークさを追求するタイプでしたね。
杉山ぼくはスピードもヴィジュアルも追求したいタイプでした。
正攻法でいかないところがおふたりの共通点であるとしても、性格に違いはあるんですか?
宮澤全然違いますね。マリオカートでいうと、ぼくはドンキーとかクッパを乗り回すタイプ。パワー系です(笑)。
杉山ぼくはノコノコとかヨッシーで、小回りがきく系。
分かりやすい例え、ありがとうございます(笑)。
杉山ふたりとも性格は違うんですけど、だからいいんです。お互いのない部分を補い合っている感覚というか。
表現をする上でどんなことに影響を受けていますか?
杉山90年代の裏原ブランドには影響を受けています。いちからブランドを作って、夜な夜なTシャツにプリントをして、それを次の日に売る、みたいな活動が好きでした。かっこいいなぁって思いましたね。その行動力というか、なんでもやっちゃう感じが。
宮澤そういったインディペンデントな活動にすごく憧れてました。ぼくは山梨県出身なんですが、とある裏原ブランドが山梨限定でブドウをモチーフにしたプリントTシャツをつくっていたり。そういったサービス精神にも共感する部分がありました。
想像の枠を越えていいものができあがったときが感動の瞬間。
制作に関することも伺いたいんですが、作品に使われる廃材はどんなところから集めてくるんですか?
宮澤いろんな所からですね。いちばんテンション上がるのは、街中で交渉してゲットしたとき。
杉山人の家に行って、直接交渉するんです(笑)。「これを譲っていただけませんか?」と。
宮澤最近はパチンコの看板を手に入れました。いつも通る道にパチンコ屋があって、看板を眺めながら「アレ、いいなぁ」ってずっと思ってたんです。そしたらある日、そのお店が潰れてしまって、解体がはじまったんですよ。それで勇気を出して看板を譲って欲しいと声をかけたんです。
でも、看板を手に入れた時点では、どんな作品を作ろうといった構想は描いていないわけですよね?
宮澤そうですね。モノを手に入れてから「さぁ何を作ろうか」と考えます。でも、設計図は用意しませんね。
作品の完成はどうやって決めるんですか?
宮澤具体的な言葉にできないんですが、作品を作っている段階で「こうなれば完成かな」というイメージが湧いてくるんです。そのイメージに限りなく近づいたときに完成というときもあれば、そうじゃないときもあって。
そうじゃないときというのは?
宮澤完成と思っていた作品を逆さまにして置いたらもっとよくなった、みたいな(笑)。イメージしていなかったものが生まれて、なおかつ完成度が物凄く高かったときは最高ですね。作ったのはぼくなんだけど、まるで全然違う人が作ったような仕上がりになったとき。想像の枠を越えていいものができあがるとすごく感動します。
杉山さんは完成の基準はありますか?
杉山宮澤と同じで上手に言葉にできないですね。magmaとして活動をスタートして今年で10年目を迎えたんですけど、むかしのほうが手数が多くて、ゴテゴテしたものを作っていたように思います。ただ、最近はそれが変わってきたんです。ただ派手にすればいいわけでもないし、ゴチャゴチャしたものを作ればいいわけでもない。もっと内に秘めたものも追求するようになったというか。
というと?
杉山モノの組み方、ヴィジュアルとしての美しさ、触れたくなるようなオーラであったり、作品としての精度を上げることに意識的になっているような気がします。
宮澤いろんな具材を足して、煮込んで、最終的においしいものを作る。そういうことでしょ?
杉山サラサラなカレーみたいなね(笑)。そういうことかもしれません。
“フジヤマ”という響きに惹かれる。
「ジャーナル スタンダード」とのコラボレーション企画「FUJIYAMAX ショップ」についてなんですが、このネーミングもマグマを連想させますね。
宮澤架空のショップをつくりたいというお題をジャーナルさんから頂きまして。ぼくらの出身が山梨と静岡ということもあって、富士山に対する想いが強いんですけど。もともと“フジヤマ”という響きに惹かれるものをお互い感じていたんです。
杉山日本語なんだけど、外国語としても通用するじゃないですか。そこがユニークだよねっていう話をしていて。
宮澤「フジヤマ ショップ」というお店は既に存在しているようなんです。だから被らない方がいいと思って最後に“X”をつけました。クリスマスの意味も込めて。
今回のプロジェクトの見所はどんなところにありますか?
杉山什器も家具もキーホルダーもすべてハンドメイドなので、それを感じながら見て欲しいですね。
宮澤キーホルダーは今回のために合計で420個作りました。ひとつひとつ想いを込めているので、小さなアイテムといえど、そういった気持ちを感じて欲しいです。
空間演出に関してこだわった部分はありますか?
杉山クリスマスって赤と緑で表現されるじゃないですか。それを今回は蛍光色を使ってアウトプットして、全然クリスマスっぽくなく仕上げたんです(笑)。表現しているのはクリスマスなんだけど、そういう風に見えない絶妙な感じがユニークだと思うし、おもしろがってもらえたらうれしいですね。
作品についても聞きたいんですが、ジョン・F・ケネディー元大統領の胸像を使った作品がユニークでした。
杉山あれは結構いろんなものを組み合わせて作りました。ケネディの胸像と、手はフランケンシュタインのフィギアで、アメリカ国旗のところは水筒ですね。一番下の台座は、フルーツ皿の土台の部分を使っています。肩から腕にかけてのパーツは自分で作りました。
家具類に関しても、二度見してしまうモチーフがたくさんありますよね。例えば、イスの肘掛けに犬の頭があったり、テーブルの脚にはその胴体と思われるものが使われていたり。
杉山仰る通り、あれはもともとひとつ犬のオブジェでした。
宮澤いい食材っていろんな料理に使えたりするじゃないですか。優れた料理人が食材を無駄にしないように、ぼくらも使えるものはどんどん使うようにしています。「このパーツって、さっき見たあの作品の部品じゃないかな」とか、そういうのを探すのもおもしろいかもしれません。
イスの背もたれに描かれた“BRUCE LEE”の文字や、テーブルの“KING KONG”もシュールですね。
宮澤とくに意味はないんですけどね(笑)。スペースにフィットする言葉がたまたまそれだったというだけで。
今回の展示を通してお客さんにどんなことを感じて欲しいですか?
杉山こんなクリスマスの表現もあるんだぞっていうところを…(笑)。
宮澤小さい作品もたくさん作っているのを知ってもらえたらうれしいです。
最後に、今後の目標について教えてください。
杉山ラフォーレの展示では10周年ということで大きな催しをさせてもらったんですけど、もっともっと広くて大きな場所でエキシビションを開きたいですね。
宮澤ぼくも同じですね。お客さんの期待を大きく上回るものを作りたいです。前回は2フロアで構成されていたんですけど、グルッと一周廻れるようなところでやりたい。そうするには、作品をたくさん作らなきゃいけなんですけどね(笑)。
FUJIYAMAX ショップ
開催期間:12月25日(月)まで
開催店舗:JOURNAL STANDARD全店
※新作オブジェのウィンドウディスプレイは、表参道、新宿店のみ。
JOURNAL STANDARD 表参道
住所:東京都渋谷区神宮前6-7-1
電話:03-6418-7961
営業:11:00~20:00 / 不定休
JOURNAL STANDARD 新宿店
住所:東京都新宿区新宿4-1-7
電話:03-5367-0175
営業:11:30~21:00 (土日祝 11:00~21:00 ) / 不定休
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Source: フィナム