“AI” “珈琲のプロ” “飲める文庫” この3つのキーワードが揃っただけで、すでにかなり気になります。NECが経営する珈琲豆専門店の「やなか珈琲店」が発売する珈琲で、かなり振り切ったコンセプトですがその商品への取り組みは至って大真面目。最後にはどうしても飲んでみたくなるんです。
まず、商品開発のプロセスがこちら。
NECのデータサイエンティストが、文学作品に関する1万件以上のレビュー文(読後感)を珈琲の味覚指数(苦味/甘味/余韻/クリア感/飲みごたえ)に変換した学習データを作成。
NECの最先端AIソフトウェアに学習データを投入し、分析モデルを作成。
分析モデルを用いて6つの名作文学のレビュー文を分析し、味覚指標のレーダーチャートをそれぞれの作品に合わせて作成。
作成されたレーダーチャートをレシピとして、やなか珈琲店のカップテスターが6種のブレンドコーヒーを考案・開発。
AIや珈琲の道のプロの活躍はもちろんですが、最初のステップの読後感を味覚指数に変換する作業。この工程がかなりこの商品の肝になっている気がします。
対象となった名作文学は、島崎藤村の「若菜集」、太宰治の「人間失格」、森鷗外の「舞姫」、そして夏目漱石の「吾輩は猫である」「こころ」「三四郎」。例えば、田舎から上京した青年の淡い恋心が物語の「三四郎」は甘酸っぱい味。緻密な計算と高い技術力によって味が導かれていますが、単純に言えばこういう訳ですね。
冒頭写真のビーンパックのほかには、ドリップパックも発売されます。
デザインがかなり可愛らしくて、この完成度の高さ。そしてリーズナブルです。ちょっとしたプレゼントにかなり喜ばれそうですよね! 発売は「やなか珈琲店」の各店舗と通販で、販売期間が11月末までと少し短めなのでご注意を。
本を読んだあとの充足感にも似た独特の感覚と、コーヒーを飲んだ後の幸福感を、技術と閃きでリンクさせた開発者たちには脱帽です。その全ては飲んでみないとわかりません。プレゼントにもよし、自分用にもよし。まずは一杯飲んでみるところからです。
Text_Rei Kawahara
ブレンドコーヒー「飲める文庫」
販売期間:〜11月30日(木)
販売店舗:やなか珈琲店各店 or やなか珈琲店通販サイト
※販売期間中でも在庫がなくなり次第、販売終了
Source: フィナム