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Interviews:東京ストリートの中心であり続ける DJ DARUMA のファッションアプローチとユース世代への想い

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’00年代後半、DJ/プロデュースチーム DEXPISTOLSとして、エレクトロサウンドを武器に、音楽のジャンルはもちろん、ストリートを中心に様々な壁を取り払い日本のクラブシーンを大きく変化させたDJ DARUMA。クリエイティブユニット・PKCZ®️の活動としてはベルギーで開催されている世界最高峰のフェス「Tomorrowland」への参加やファン待望の1stアルバム『360° ChamberZ』のリリースも記憶に新しく、その一方で、音楽的背景を色濃く反映させたアパレルブランド〈FULL-BK(フルビーケー)〉の展開は感度の高いストリートヘッズからも脚光を浴びている。

クリエイティビティを多角的に発揮し、ファッションと音楽シーンに深く精通するDJ DARUMAは、自身の活動をどう思い、自身が身を置くカルチャーをどのように見ているのだろうか。〈FULL-BK〉のローンチから早2年半。我々『HYPEBEAST』は設立当初のインタビューぶりに机を挟み、彼の本音を聞き出した。

ー ローンチから5シーズン目を迎える〈FULL-BK〉ですが、立ち上げ当初と比較して心境の変化などはありますか?

手探りで始めた設立当初を振り返ってみると、ようやくものづくりの感覚が戻ってきましたね。〈CREPEMAN(クレープマン)〉では“洋服を作る”というよりも、プリントTシャツをひたすらやっていた感じで。繊細に洋服を作った上でブランド運営をロジカルに考えるのではなく、ウケるアプローチの模索でしたから。なので、洋服を作るということに関しては〈ROC STAR(ロック スター)〉から2年ぐらい空白の時間がありまして、2シーズン目ぐらいまでは自分的に服作りの感覚が戻ってきていなかったんですけど、今季ぐらいからある程度しっかりと見せれているし、自分でも納得できるものがクリエイトできました。ルックブックを含めてチームでやることのありがたさも感じましたし、生産チームもとてもしっかりしてくれています。今回のルックに関して言えば(スタイリストの高橋)ラムダくんをはじめ皆さんが“プロ”なので、その道のプロの人たちとやると僕に思いつかなかったイメージが出てくるし、やりたかったことを具体的に形にしてくれるので。それは〈ROC STAR〉とかではやってこなかったことなので、やり易いしチームにすごく感謝しています。

最新コレクションとなる秋冬シーズンのコンセプトやインスピレーションソースについて教えてください。

僕は元々シーズン開始前に色々なことを頭にタメてから一気に吐き出すタイプなんです。実は『YouTube』で電気グルーヴの(石田)卓球さんが(ピエール)瀧さんにガバ(ハードコアテクノの一つ)のダンサーにフォーカスを当てたドキュメンタリーを見せる、という動画がありまして。それ自体もすごく面白かったんですけど、ファッション的側面から見てみると、スポーツの取り入れ方が今っぽいなという印象を持ったんですよね。そこで、この動画をヒントに全体の雰囲気として90年代後半のガバシーンをエッセンスとして取り入れました。で、今は90年代リバイバルって言われているけど、その中に00年前後の空気感が戻ってきているところもあったりするんですよ。だから、2000年ぐらいのレイヴのフロアのグラフィック感とかもいいなと思って、そういうところをグラフィックデザイナーの方にリクエストさせてもらいました。

ー DARUMAさんが当時体感していたレイヴやトランスの雰囲気を言葉で説明すると?

エネルギーがすごかったんですよ、パーティーシーン自体の。とにかくそこに集まる人たちがみんなイカしてたんです。フロアに熱があって、原宿シーンの重鎮の人たちも何人か来ていて、ファッション的な面にもオリジナリティがあったし、そういう人たちと交流が持てたのもその現場でした。ヨーロッパでもエピックトランスの流れやその後のプログレッシブハウスの文脈へ続いていく大きなイベントがたくさんあったりとか、世界的にレイヴがすごく流行っていたんです。だから、面白い人たちが現場にたくさんいて、音楽的にもエッジーなものが多く、今でも2000年前後の音楽を振り返って聴くことがあります。

ー 今季のコレクションにおいて、自身がプッシュしたいプロダクトはありますか?

セットアップじゃないですかね? 今の雰囲気的にも、しばらくは全然いけると思うので。僕はとにかくスポーツアイテムが好きで、Public Enemy(パブリック・エナミー)のFlavor Flav(フレイヴァー・フレイヴ )が〈Jordan(ジョーダン)〉のナイロンセットアップにシルクハットみたいな帽子を被って、足元にJordan 5を持ってくるというスタイルを見た時に、衝撃が走ったのを今でもよく覚えています。90年代のファッションはスポーツがひとつの大きなキーワードだったので、そこに大きく影響されたということもあり、自分で洋服を作る時にスポーツがベースにある方が考えやすいです。あと、移動が多いのでセットアップって楽なんですよね。移動が多い人には、動きやすさと着崩れしないというのも大事ですよね。シャツなどはどうしてもシワになりやすいので、諸々加味した上で僕がセットアップの楽さに惹かれている部分はあるかと思います。

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ー TOKOさんとのキッズブランド〈TEG TEG(テグ テグ)〉も今季からのスタートかと存じます。立ち上げに至った経緯も含め、なぜこのタイミングだったのでしょう?

まず、自分たちの子供に着せる洋服として考えてみても、子供服にストリートのテンションを持ち込み、価格帯も手頃なブランドって存在しないんですよ。大人のブランドが子供服をやっているパターンはあるのですが、子供に特化したストリートファッションブランドは世界を見渡しても見当たらないかと。そこで、HIROさん(EXILE / LDH JAPAN会長)から「DARUMAが奥さんと一緒に子供服を作ったらカッコイイのができそうじゃない?」とご提案いただき、「LDH」のアパレル部門のバックアップを受けてスタートしたのが〈TEG TEG〉です。僕は全体を見て、細かいものづくりは奥さんに任せるというスタイルなのですが、奥さんも子供が大きくなってきたから仕事に復帰したいという想いもあり、子供服というのは魅力的でしたね。

ー〈FULL-BK〉とデザイン面でのアプローチの違いなどはありますか?

先ほどもお伝えしましたが、〈TEG TEG〉の基本的なデザインは奥さんに任せています。なので、もちろん相談は都度都度ありますが、デザインを奥さんのTOKOが主軸でやっているという点が根本的な違いだと思います。僕自身、彼女の感覚的なアプローチを羨ましくも尊敬していて、ものづくりやアウトプットの仕方にセンスを感じるんです。でも、そこが実売を考えずにあまりにもクリエイティブに寄り過ぎている場合は僕がアドバイスします。

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ー 音楽活動では1stアルバム『360° ChamberZ』のリリースも記憶に新しいですね。国内アーティストはもちろんですが、Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)のMethod Man(メソッド・マン)、Afrojack(アフロジャック)というビッグネームも客演に迎えられています。彼らをパートナーに招聘した理由を教えてください。

Afrojackは「LDH Europe」のCEOなので、深い繋がりがあるんですよ。彼は天才ですね。若くして世界のトップDJとして君臨していれば、普通調子にのるじゃないですか?(笑)でも、彼は全然そんなことなくてすごい将来を見据えてしっかり仕事をしていますね。「LDH」が運営する「EXPG」というスクールがあるのですが、そこに所属している子たちが「LDH」の様々なエンターテイメントにダンサーとして出演し、その先にはアーティストとしてデビューできる可能性があるというシステムを含め、「LDH」の仕組みにすごく感銘を受けていて、HIROさんから色々学びたいと。こういったシステムはヨーロッパに存在しないものなので、彼にはこれをヨーロッパでのエンターテイメント事業に活かしたいという想いがあり、何度も日本に来てはHIROさんと会議したり、会社見学したり、ご飯に行ったりして色々なことを吸収しようと努めています。尚且つ僕がいうのも変ですが、作曲活動やDJのスキルも申し分なく、テクニックはもちろんのこと、空気感を掴んでフロアに何を落とすべきかっていうのを的確に察知する能力に優れています。EDMのアーティストとカテゴライズされますが「Tomorrowland」のプライベートパーティに招待してもらった時は、ガッチガチのテックハウスで超良いグルーヴを作ってクラブミュージック偏差値の高い人たちをしっかり踊らせていて、こんなこともできるのかと。すごく信頼もあるし、仕事でももっと色々とご一緒したいです。

Method Manに関しては、PKCZ®️の会議で「誰か90’sのラッパーをフィーチャーしよう」という話しになった時に様々な名前が出たんですけど、彼は僕らの世代にとってのスーパーアイドルじゃないですか。今で言うところの(A$AP)Rockyですよね。個人的にはBiggie(The Notorious B.I.G.)とMethod Manが二大アイドルなんですけど、Biggieは一旦下界に降りて来ていただかないとラップしてもらえないので(笑)、それは現実的ではないからダメ元でVERBALくんの繋がりでMethod Manに声をかけてもらおうと。トラックも聴いてもらい「これだったら良いよ」という快諾をいただきました。やっぱりVERBALくんのコネクションはすごいですね。

ー Method Man との制作秘話はありますか?

Method Manについては、トラックを送り、これにバースを入れてほしいという流れで仕事を進めていたので、一緒にスタジオに入れたわけではないんです。でも、ひとつ嬉しかったこととしては、Method Manのマネージャー的な立場の人からお話を伺ったのですが、最近は役者にフォーカスしているので音楽のフィーチャリングなどは、ほとんどやってないらしいんですね。でも我々のトラックを聴いて「これならいいよ」と、ご本人がOKを出してくれたみたいなんです。都市伝説のようなものなのですが、Wu-Tangのスタンスとして、その日の気分で彼らは撮影に来たり来なかったりするらしんですよ。だから、僕たちがニューヨークでMV撮影をした時はそれ以外のパートの撮影を日本で済ませて、あとはMethod Manが入るだけという準備をしました。先に日本から向こうに素材を送ったらご本人が見てくれて、これだったら行くよと納得した上で撮影に駆けつけてくれました。PKCZ®️の帽子もかぶってくれて、もう考えられないというか……。自分の人生で夢にも描いてなかったことが実現した瞬間でしたね。

ー 音楽にも深く精通されているDARUMAさんですが、今注目しているアーティストはいますか?

自分の音楽的趣味は四つ打ちに戻っているのですが、世界的にヒップホップが盛り上がってますよね。日本でもフリースタイルを含め、良いムーブメントが起きている印象です。ビジュアルもいい子が多いし新世代ラッパーにはどんどんやっていってもらいたいです。ヒップホップはゴシップ含めずっと追いかけていますが、今は1人のアーティストや1枚のアルバムをがっつり聴き込むというよりはシーン全体を眺めているという感じでしょうか。

ー 昨今のファッションシーンは“ストリート”というワードに強く影響されていますが、今後の展開予想などはありますか?

特に日本はですが、若い世代の多くがストリート文化を中心に自分を表現することを再び始めているような気がしています。20代前半でファッションブランドをやってみよう、音楽をやろういう子たちが増えていますよね。なので、その情熱のある若者たちが表現を続けられる環境を僕らが作るのはもちろんなのですが、その子たちにも頑張って続けていってほしいです。ブランドをコントロールするにしても、音楽で突っ張っていくにしても、めちゃくちゃ大変だと思うんですよ。一概に売れると言っても”喰っていく”ことは簡単ではないし。でも本当に良いものを持っていたり、かっこいいことを表現しているユースがすごく多いので、止めないでキープしてほしいというのが僕のひとつ願いです。その子たちの3年後や5年後、10年後が見たいじゃないですか。もっとビックリしたいし新しい感覚を見せて欲しい。そういう子たちがいることでシーンも活性化する。さらに言えば、その下の世代にブランド運営や音楽を仕事の一つにできるという具体例を見せることができれば全体が盛り上がると思うので、今頑張っている子たちがストリートシーンの中で表現を続けて、どうにかこうにか仕事に繋げてやっていってほしい。その一方で、繰り返しになりますが、僕たちは仕事に繋げられるような環境づくりをしてあげなきゃいけないなと強く思いますね。

ー 『HYPEBEAST』の読者に提案したい東京 Night Outのおすすめスポットはありますか?

ちょっと前に『OATH』でパーティやらせていただいたんですけど、やっぱりすごいよかったですよ。みんなが口を揃えて「OATHはイイ」って言いますけど、その意味を身体で理解しました。運営側がプライドを高く持って、そこを保っているのもとても凄いですし毎晩良いパーティを作ろうとしている姿勢をすごくリスペクトしています。少しずつ世の中の流れをグルーヴでみんなを一晩楽しませる方向に持って行きたいんですよね。お酒を片手にしっかり音楽を楽しんで、最高の朝を迎えられるようなパーティを再び提案していきたいという意味で、ナイトスポットとしての『OATH』は最高でしたね。

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Source: HYPE BEAST

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