Evolving musicality.
進化し続けるFKJの音楽性。
今年3月にファースト・アルバム『FKJ』を発表し、自ら弾きこなす楽器を交えて構築したメロウなビートに柔らかなヴォーカルを重ねることで、その作風を飛躍的に進化させた、パリ在住のマルチ楽器奏者でプロデューサーのFKJ(French Kiwi Juice)ことヴィンセント・フェントン。数分で即完したという1度限りの来日公演(すでに終了)を前に、渋谷にあるRed Bullスタジオで制作を行っていると聞き、早速駆けつけ取材を敢行。彼の音楽性に迫った。
- Photo_Shunsuke Shiga
- Interview&Text_Yu Onoda
- Interpreter_Shiho Watanabe
- Edit_Jun Nakada
- Special Thanks_Redbull Studio Tokyo
- Tweet !function(d,s,id){var js,fjs=d.getElementsByTagName(s)[0],p=/^http:/.test(d.location)?’http’:’https’;if(!d.getElementById(id)){js=d.createElement(s);js.id=id;js.src=p+’://platform.twitter.com/widgets.js’;fjs.parentNode.insertBefore(js,fjs);}}(document, ‘script’, ‘twitter-wjs’);
- https://b.st-hatena.com/js/bookmark_button.js
-
https://d.line-scdn.net/r/web/social-plugin/js/thirdparty/loader.min.js
<!–
–>
制作スタイルは毎回違う。
今回、2度目の来日公演と並行して、東京のRed Bullスタジオで制作作業されていますが、過去にもアムステルダムやベルリンのRed Bullスタジオでの作業風景の動画を公開されていますよね。これは何か新しいプロジェクトに取り組まれているということなんでしょうか?
「そうだね。2年前にロンドンを訪れた時、Red Bullのスタジオを使わせてもらって、そこでのセッションの様子を映像に収めて、それをYouTubeにアップしたんだけど、そのセッションをきっかけに、世界各地のRed Bullスタジオがある街を訪れる際にスタジオを使わせてもらっているんだ。Red Bullスタジオはヴィンテージ機材が揃っていて、どこも素晴らしいし、僕の音楽制作は一人でも進められるから、今回の東京でのように空いた時間を利用して、今後の作品のために世界各地で制作しているんだ」
今回の制作では、ギター、ベース、サックスや鍵盤など、一通りセッティングした楽器を自由に弾いて作業されていましたが、そのスタイルがいつものやり方なんですか?
「いや、毎回作業出来る時間や環境、状況も変わるから、今回のようにインプロヴィゼーションをもとに作曲をしてみることもあれば、事前に考えておいたアイデアを重ねて、曲を組み立てることもあるし、リリックを先に書いてみたり、スタイルは毎回違うんだ」
手足のように自在に操る多彩な楽器は、ネット上の教則動画だったり、タブ譜などから学んだということですが、ご自身の音楽的なスキルや知識を磨くうえで、インターネットの影響は大きいですか?
「そうだね。インターネットを通じて、色んな音楽を聴くことが出来たし、僕らの世代はネットからダウンロードしたさまざまな音楽がインスピレーションの源になっているのは間違いないと思う。もっとも、僕の場合は、両親も音楽をダウンロードしまくってるんだけど(笑)。あと、ネットを通じて接してきた音楽に関して言えば、自分の場合、教則動画よりも曲を繰り返し聴くことが重要だったね。そうやってメロディやコード進行を覚えていったし、それが自分のスキルや知識に繋がったんだ」
ファーストアルバム以前はサンプリングを多用されていましたが、アルバムでは意識的にサンプリングを減らして、生歌や生楽器の比重を増やしていますよね。
「そうだね。自分の制作スタイルはどんどん進化していて、アルバムでは自分の声を意識して多用したんだ。なぜなら、声は自分にとってベストな楽器だし、一番美しい楽器だと思っているから。ただ、そう思いつつも、自分の声には自信がなくて、リリックを書いているうちに“これは自分で歌わなきゃダメだ”と思うようになっていって、段階的に制作を進めているうちに、アルバムでは声ネタのサンプリングに頼らなくなった。でも、僕はサンプリングを否定しているわけじゃないし、今後一切やらないと言ってるわけでもないよ。サンプリングには生では出せない独特な質感があるからね」
サンプリングといえば、テルマ・ヒューストン「Don’t Leave Me This Way」を用いた「Lying Together」はチャンス・ザ・ラッパーやヴィック・メンサを擁するセイヴ・マニー・クルーのラッパー、TOWKIOがトラックに用いて、その上でラップした「I Know You」が世界的に話題になりましたよね。それによって、ご自身を取り巻く状況は変化しましたか?
「いいや、特にないんじゃないかな(笑)。というのも、TOWKIOは僕に何の連絡もよこさなくて、なんなら使われていることを後から知ったくらいだし。それに彼はまだチャンス・ザ・ラッパーほど知られた存在ではないからね」
ご自身で運営されているレーベル、Roche Musiqueはサンプリング・オリエンテッドな90年代のフレンチタッチに影響を受けたハウス・レーベルということですが、現在のFKJはソウル、R&B色が打ち出されていますよね。
「レーベルには色んなタイプのアーティストがいるし、僕はレーベル・カラーに合わせて音楽をつくっているわけじゃないからね。フレンチハウスが引き合いに出されるレーベルに対して、僕の音楽性を言葉で表すとしたら、“グルーヴ”ということになるだろうし、僕自身は90年代のフレンチハウスには全く影響を受けていないんだ(笑)。若かりし頃から聴いてきたのは、ジャズやソウル、ファンク、ヒップホップ、それから両親が聴いていたピンク・フロイドやザ・ポリスやクイーンだったりするし、そのなかでもヒップホップから受けた影響が自分にとっては大きいね」
ケイトラナダしかり、ヴィンス・ステイプルズしかり、近年のヒップホップはダンスミュージックとのクロスオーバーから新たな動きが生まれていますよね。
「いまの音楽シーンは、ヒップホップと共にエレクトロニックミュージックも規模が拡大しているし、以前はフロアにフォーカスしたジャンルだったエレクトロニックミュージックと、それとは全く別の構造の音楽であるヒップホップが、いまはひとつにブレンドされて、ジャンル分けが意味をなさなくなってきているよね。僕もジャンル分けが苦手だったりするから、そうした動きには共感を覚えるよ」
ラップトップでのトラックメイクが容易になったからこそ、FKJがそうであるように、ヒップホップやエレクトロニックミュージックでも生楽器や自分で独自の音をつくるモジュラー・シンセサイザーが用いられるようになっています。
「ただ、僕にとって、ラップトップとリアルの楽器に区別はないんだ。じゃあ、なぜ、自分が色んな楽器を弾くかといえば、僕はとにかく早く曲づくりをしたいから。アイデアが浮かんでから、そのアイデアがホットなのは、最初の20分くらい。だから、それをいち早く具現化するために自分で楽器を弾くんだ。人によってはラップトップの方が早いという人もいるんだろうけど、自分の場合はラップトップをクリックするより、楽器を弾く方が断然楽だね」
アルバムリリース後はアメリカツアーから日本を含むアジアツアー、その後は南米ツアーも控えているということですが、自分で楽器を弾いて作品をつくりつつも、インドアを好む方ではなさそうですね。
「そうだね。小さい頃から両親があちこち旅につれていってくれた僕にとって、世界中を旅するのは自分のライフスタイルだし、ずっと家に居続けていたら、僕の場合、いい音楽をつくることは難しいだろうね。むしろ、家を出て、色んな匂いを嗅いだり、色んな感情に触れたり、はたまた違う文化の人と話したりする経験が自分の音楽に影響を与えているし、その音楽を変えるきっかけになるんだ。いまはネットで世界各地の人と繋がれる時代だけど、ラップトップ越しに目で見ただけのヴァーチャルなものとリアルは全く別ものだよね。聞こえてくる音、実際に感じられる温度や感触……そうしたものが僕の音楽を形づくっているんだよ」
<!–
–>
- Tweet !function(d,s,id){var js,fjs=d.getElementsByTagName(s)[0],p=/^http:/.test(d.location)?’http’:’https’;if(!d.getElementById(id)){js=d.createElement(s);js.id=id;js.src=p+’://platform.twitter.com/widgets.js’;fjs.parentNode.insertBefore(js,fjs);}}(document, ‘script’, ‘twitter-wjs’);
- https://b.st-hatena.com/js/bookmark_button.js
-
https://d.line-scdn.net/r/web/social-plugin/js/thirdparty/loader.min.js
<!–
–>
Source: フィナム