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Uncaged Hero Spotlight: 廃品に命を吹き込むデイジー・ハリス=バーランド

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時代の流れとともに消費の形も多様性を帯びてきたことに伴って、我々が住む地球上の環境問題もより深刻なステージへとその歩みを早めていることは間違いないだろう。多くの人がそういったものをどこか自分とは遠いところに存在する問題だと感じてしまう一方で、独自の方法でその環境問題及び人々の意識変革に取り組む人々も存在する。シンガポール発のTiger Beer(タイガービール)が“The Uncaged”と題されたグローバルキャンペーンのもとに招聘した7組のクリエイターたちからなる“Uncaged Heroes(解き放たれたヒーローたち)”に名を連ね、ゴミや廃棄物を原料にそれらを華麗なアパレルウェアやアート作品に昇華させるのがそのうちの1人、Daisy Harris-Burland(デイジー・ハリス=バーランド)だ。彼女によると、一般的に“ゴミ”とされているものも彼女にとっては「複雑で精密、そして素晴らしいウェアラブルなアート作品」を創作するための豊富な資源であるとのこと。そして今回『HYPEBEAST』では、そんな彼女にその創作のプロセスやTiger Beerの最新キャンペーンについてのこと、そして彼女が考えるファッションの未来について話を聞いた。

– イギリス・ポーツマスのサウスシー地区で生活することはどのような意味がありますか?

私はサウスコーストから1時間半ぐらいの距離の場所で生活しているわ。私には私自身の平穏を保つため、そして創造性を高めるために、静かで広い場所と海が必要なの。広大な一続きの水平線の前に身を置くことは私にとってとても特別なことで、自分のちっぽけさを感じ取らせてくれることでもある。その環境に身を置くことは、私たちが“世界”と呼ぶこの“小さく汚れたモノ”の中において何か重要なことを成し遂げる上で私のモチベーションを上げてくれることでもあるのよ。

– 何があなたをファッションの世界に導いたのですか?

ええと、16歳の頃のプロムパーティー(高校の卒業パーティー)かな。大勢の女の子たちがプロム用のドレスに大金を支払っていたなか、当時の私にはそんなお金が無かったので、自宅のキッチンにあるもので自作のドレスを作ったの。それはとても良く出来た素晴らしいものだったけれど、途中友人が私にドリンクを誤ってかけてしまい、ダンスフロアのど真ん中で私のダンボール製のドレスは濡れて崩壊してしまって。その後私はパーティーの受付に出向いてダクトテープを借り、ドレスを修復してよりしっかりしたドレスに生まれ変わらせたの。そのドレスが生み出されたプロセスこそが、私をこの世界に導いた出来事ね。

– ファッションの世界を独自の方法で突き進むにあたり、これまでにどのような障害にぶつかってきましたか?

私が通っていた学校ではテキスタイルやファッションに関する授業を受けることが出来なかったので、それらのことについては空いた時間を使って独学で勉強していたわ。大学ではファッションを学べるところに進んだけれど、特に何か大きく変わることはなく、大学側も「私達は君に紙なんかを素材に用いてドレスアップしてほしくないんだ。Topshop(トップショップ、イギリスのファッション小売チェーン)で働けるようなデザイナーになってほしいんだ」といったような感じで。なので私は大学を中退し、私自身の気持ちに従ったの。もし自分の中にいる自分が何か素直で正しい気持ちを伝えてきたら、例えそれがとても険しい道のりだったとしてもやるべきよ。身骨を砕くほど自分の力を注ぎ込んで、自分を否定してきた人たちが間違っていたことを証明してやるのよ。

– 想像力やウィットが大切だと思うのですが、アイディアやインスピレーションはどういったものから得ているのですか?

私は不可能とされていることを可能にすることから刺激を得ているわ。ファッションという舞台にいることは確かだけど、それでも私はファッション誌のページをめくって、その中に登場するファンシーなドレスや気取ったシューズに心をときめかせることはないの。それよりも廃品置き場に出向く方が私には合っていて。そういう場で役目を終えたと見なされて廃棄された素晴らしいモノを見つけ、それらに新たな役目を与えるのよ。

– なぜファッションの枠組みや規則に挑むことがあなたにとって重要なことなのですか?

私が常に掲げている目標は、3次元のモノを何か美しくウェアラブルなものに生まれ変わらせること。素材となったモノのルーツを損ねずにね。それは“trashion(トラッション、古い物をリサイクルして作ったファッションアイテム)”を何か見下されないものに生まれ変わらせること。私が“trashion”という言葉を使う時は、決して表面上だけの軽薄な意味ではなく、複雑で精密、そして素晴らしいウェアラブルなアート作品――ハイファッションと同義と言ってもおかしくはないの。ただリサイクルされた素材が用いられているだけでね。

– デザインプロセスはどんなものなのか教えてください。

マネキンの身体にそのまま沿わせるように作っていくわ。作業を進めるにるれてそおのままシルエットも完成していくの。デザインスケッチを描くことはほぼないわ。 そのスタイルが好きなの。最後まで自分の作るものの完成形がわからないのがいい。どんな素材からでも何か生み出すことはできるわ。必要なのは試行錯誤し続けること。

– あなたはとてもしっかりした自己を持っていますが、自分の作品にそれがどのように反映されていると思いますか?

私は自分のことは頑固で直感的な人間だと思っているの。自分が何を求めているかということを見定めたら、そこにたどり着くまで誰にも止められない自分がいるわ。そして私のデザインはそんな私の性格を確実に反映していると思う。努力次第でどんな素材でも活かせると信じているから、私は毎回自分の制作に関して全力投球なの。誰もやったことのない方法でもそれを完成させる。そのプロセスは最初から最後まで美しいカオスという感じなの。




– 自分の活動が世の中にどう影響したらいいと思いますか?

私はただ、どんなことでも可能なんだということを伝えたいわ。なぜかみんな、“人と違うことはあぶない”とか、アイディアがあっても“常識はずれだ”っていう先入観のなかで生きている。そんなのバカみたいだわ。前例がないからといって悪い子ことは限らない。私は世の中の人々にもっと疑問を持ってほしいし、常識の枠にとらわれないでほしいの。私は自分のやっていることに夢中だし、それが私を突き動かしてくれているから。

– 今回のタイガービールの企画はどんなチャンスだと思いますか?

とてもすばらしいプラットフォームを与えられたと思うわ。私に声をくれたようなのもね。スポンサーのいないインディペンデントなアーティストでいるのは大変なことよ。私はたくさんの人に私がしていることを見てほしいし、好きになってほしい。楽しんでほしい。私の腕にはPVA接着剤ボトルのタトゥーがあるの。私の作品は私自身であって、それを見せるのはすごく赤裸々でこわくもあるけど、見た人がそこに価値を感じでくれたらそれ以上のことはないわ。

– ほかのUncaged Heroesから学んだことは?

クリエイティブアウトプットがどんなに違っていても、私たちを突き動かすものは同じということ。私たちはある種の緊張感と衝動を持って、ものづくりをしながら生きていくことを欲しているということかな。

– このタイガービールの企画から得たものとは?

信頼だと思うわ。このキャンペーンを通じて、アップカミングなアーティストを支えようとしてくれている人が実際にいるんだということを実感できた。クリエイティブな分野に存在するのって本当に大変なことよ。何もかもが信用できなくなりそうなこともあるけど、タイガービールは私にまた人を信じる希望をくれたわ。

– 2025年までに世界の廃棄物の量は70%増えると言われていますが、ファッション業界はサステイナビリティを向上させるためにどのような貢献ができると思いますか?

大企業が大きな影響力を持つ問題だけど、一人一人の意識が変化を産むことを忘れてはいけないわ。“自分がリサイクルしたところで何も変わらないだろう”って思って、結局リサイクルをしない人ばかり。でもそれは違うわ。ファッションは大きな影響力を持っているんだから、その意識改革を率先してすべきだと思う。それが広告キャンペーンでも、ビニール袋を使用しないというちょっとした姿勢でも、すべてはその意識改革の手助けになるわ。

– あなたはどんなものが素材であろうと、それを作品に昇華させる力を持っています。そんなあなたから見て、素材不足で作りたいものが作れないと言うクリエイターをどう感じますか?

そんなの馬鹿げていると思うわ。アイディアがあるなら、それは形になるはずのものだと思う。どんな物質からでも何かを作れるはずよ。コーヒーのシミでも絵がかけると思うし、割り箸でも建物が作れるし、ゴミ袋でドレスができるわ。核となる発想さえあれば、あなたに必要なものはもうすでに揃っているのと同じよ。

– デザイナーを志す人たちにアドバイスをするとしたら?

直感のままに行きなさい。

より詳しいUNCAGEDキャンペーンについてはuncage.comをチェック。

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Source: HYPE BEAST

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