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イギリス発アーティストSick Dan x『blue room』オーナーHatsuki ── DIY の精神から生まれたクリエイティブ

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Rewrite

カルチャーの熱が常に渦巻く街、イギリス・ロンドン。パンクが残してきた反骨精神、多国籍なコミュニティが生む混沌としたミックス感、そして限られた環境から己のスタイルを切り拓く若者たちのDIYマインド。それらが幾重にも層をなして混ざり合うことで、ロンドンは今もなお“新しいカルチャーを生み落とし続ける都市”として存在している。

そんな街で自らの表現を研ぎ澄ませてきたアーティストのひとりが、Sick Dan(シック ダン)だ。手染めによる衣類の制作から、巨大キャンバスへと広がるペインティング、さらにはデジタルとフィジカルを自由に往還する表現。その作風には、彼にしか成し得ないオリジナリティが溢れていた。

今回Sick Danは、新たなクロージングライン〈five-one(ファイブ–ワン)〉 をローンチする。同ブランドのテーマは、“パターンの開発”。各アイテムは彼自身の手でデザインされ、ロンドンのアトリエで1点ずつ手染めされたピースに加え、日本でプリントを施したシリーズも登場。パターン、カラー、構成、そのすべてが再生産なしの一点物として完結した、まさにアートピースとも呼ぶべきコレクションだ。それは、衣服という形式を通じて彼の思想と現在地を可視化する試みでもある。さらに今回のローンチに合わせ、東京・渋谷を拠点に独自のキュレーションで絶大な人気を誇るショップ『blue room』にてポップアップを開催。オーナーのHatsukiとSick Danが出会ったのはここ2年とのことだが、両者の根底に流れる“表現に対する姿勢”や“ものづくりの距離感”には明確な共鳴がある。アウトプットこそ異なるものの、どこか深いところで接続している、そんな関係性だ。

そこで『Hypebeast』は、Sick DanとHatsukiによる対談を実施。11月21日(金)〜23日(日)に行われるポップアップを前に、今回の〈five-one〉に込めた意図、ロンドンと日本という“島国同士”のクリエイティブのあり方の違い、そして2人が考える“表現”について語ってもらった。


本質を理解しているコアな人たちがおり、ロンドンと東京両都市の間には確かなつながりが育っています

Hypebeast:『Hypebeast』読者に向けて自己紹介をお願いいたします。

Sick Dan(以下D):イギリス出身で、現在はロンドンを拠点に活動しているアーティストのSick Danです。

Hatsuki(以下H):渋谷で『Blue room』という古着屋を営んでいるHatsukiです。

お2人の出会いを教えてください。また第一印象は?

D:今の時代らしく、最初の出会いはInstagramを通してでした。ただカルチャーそのものや、それをつくり上げている人たちへのリスペクトを共有していたことで、一気に距離が縮まったように感じています。実際に会ったとき、彼を“本物”だとすぐに分かりました。

H:そうですね、元々Instagramで繋がっていたんですけど何をしている方かは知らずにいたんです。そんな中、2023年にお店へ来てくれて、ようやく直接会うことができました。怖そうな人が来たと思いきや、とっても可愛らしい人物でした(笑)。僕が英語は全然話せないんですが、なんとなく好きな物の感覚が近いなという印象でしたね。その数カ月に僕も初めてロンドンに行ったんですが初日は1人で過ごさないといけなくて。その時に彼から連絡が来て街を案内してもらいました。『Waste!』や『194Local』、always do what you should doなどの人達ともその日に知り合いました。僕に最初にロンドンという街を教えてくれたのがDanです。

今回のポップアップにおけるテーマについて教えてください。

D:今回のポップアップは、僕の新ライン five-oneのローンチが大きなテーマになっています。これは僕自身のブランド 51ckから派生した新たなラインで、“パターンの開発”にフォーカスしました。展開するのは、キャップ、ビーニー、Tシャツ、フーディ、ワッフル、ワークシャツ、スウェットパンツなどのアイテム。それぞれのアイテムは数量限定で販売し、ロンドンのアトリエで僕が一点ずつ手染めしたもの、あるいは日本でChokkanによってプリントされたもののどちらかになります。パターンや色の組み合わせは、各アイテムごとに独自のものとなっていて、再生産は一切しません。全て一点ものになります。

『blue room』は日本でも人気の古着ショップかと思いますが、Danさんにとってはどのような印象ですか?

D:このコレクションを発表する場所として『blue room』以上の場所は考えられませんでした。初めて店を訪れたとき、すべてが腑に落ちたというか、自分がつくってきたものをここで見せるべきだと感じました。強くインスピレーションを受けましたし、過去が未来に影響を与えていく感覚を店の中で確かに感じました、たとえそれが偶然だったとしても。

ロンドンから見た日本、日本から見たロンドンのストリート・ファッションシーンの印象を教えてください。

H:昔からストリートスナップなどを見てロンドンに憧れていました。カウンターカルチャーから生まれたファッションが昔から根付いていて、僕もそのカルチャーに影響を受けています。近年だとスポーツ、テックに加え僕も好きなalways do what you should doやCorteizなどのストリートブランドがとても支持されています。現地に行ってもそれは感じました。クールで若いブランドが出てくる一方で、それらを追った似たようなブランドや店が溢れています。SNS社会の影響もあると思いますが、ロンドンのとある友人はそれを退屈と言っていたのが印象的です。そんな中でDanは、本当に特殊な存在です。似た格好の人は見たことがありません(笑)。自分のスタイルをちゃんと持っている。『WASTE!』の周りの人達は、その流れとは別の軸で動いていて見ていて楽しいです。どうか有名になりすぎず、程よくみんなに知って欲しいです。

D:両都市は互いの動きを理想化して見てしまうところがあって、その過程で本質がうまく伝わらないことも多いと感じています。ただ、本質を理解しているコアな人たちがおり、両都市の間には確かなつながりが育っています。

ロンドンは人と繋がるのがとても早いとお聞きします。『WASTE!』やalways do what you should doとの繋がりについて教えてください。

D:『WASTE!』は、僕自身ゆるく働いていることもあって、ロンドンに来れば高い確率で店にいると思います。アイテムの共同制作をしたり、僕のアートショーを開催させてもらったりと関係はかなり深いです。実は、店がオープンした当日もその場にいました。オーナーのジャック(Jack)とロイドン(Roydon)はずっと僕の挑戦を後押しし続けてくれる存在です。always do what you should doは、もはや“家族”に近い存在です。ニック(Nick)とは数年前にたまたま街中で偶然出会い、ステッカーやカルチャーの話で一気に距離が縮まりました。僕のことを心から理解してくれた最初の人のひとり。いつも僕のビジョンを支持してくれるので、一緒にアイテムをつくるときも本当にスムーズでしたし、制作に関して完全な自由を与えてくれました。ニックは、本当にリスペクトしています。

Sick Danさんが展開する51ckは、元々はどういったプロジェクトなのでしょうか?

D:51ckは、もともとステッカーから始まり、その後ZINEになり、ビーニーになり、そして現在のブランドという形へと発展していったものです。僕自身、この51ckを“自分のアートのためのマーチブランド”だと捉えています。アーティストを応援したいと思ったら、展示でマーチを買って身につけてもらう、そんな感覚です。グラフィックもリファレンスも、いい意味で“ジャンク”でラフなものばかり。ただ、自分が好きなものをつくりたいだけで、それを気に入ってくれる人がいるのは本当にありがたいことだと思っています。そして今回の新ラインでは、よりクオリティを高め、タイダイやパターン開発でどこまで可能性を広げられるのかを示したいと考えています。

今までのキャリアの中で、価値観を大きく変えた“1着”もしくは“1作品”があれば教えてください。

D:タイの『den souvenir』での個展のために制作した、全長11メートルの巨大ペインティングですね。部屋を丸ごと包み込むようなサイズで、作品の世界観が空間全体に広がる体験は、自分の表現のスケールを大きく押し広げてくれました。さらに、彼らはその絵をカットソーのジーンズに仕立ててくれました。それは、私のプロジェクトにどれだけのスケール感をもたらせるかを示しただけでなく、服に応用できることも示してくれた、自分のプロジェクトが持つ可能性を改めて実感した瞬間でした。

最近はどういったもの・ことからインスピレーションを受けましたか?

D:一番のインスピレーション源は、身近にいる人たちです。まず、ネイルアーティストである恋人のゾーイ(Zoey)の存在。Nailedbyzoeyという名前で活動する彼女は毎日3人のクライアントに10枚ずつ、合計30枚のミニキャンバスに絵を描いています。パターンを生み出す発想や、レイヤーの重ね方、そのすべてが圧倒的で、しかも最終的には“外されてしまう”という儚さまで含めて、本当にクレイジーで尊敬しています。そして、友人であり頻繁にコラボレーションもしている『GEEK OUT STORE』のChokkanも大きな存在です。日本に来るたびに彼のスタジオを訪れて作品や新しいプロジェクトを見せてもらうのが楽しみなんです。彼の多くのイベントにお客として伺えたことは、本当に幸運でした。彼の作品が発展していく様子を見られたことは光栄です。2人とも、常に自分を高めてくれる存在ですね。

Hatsukiさんは最近ロンドンに行かれたとのことですが、現地の古着市場と東京の古着屋文化の違いをどう感じましたか?

H:Danが現在働いている『194 Local』を初めて知った時は衝撃でした。日本だと年代や背景が古着に置いて重要視される事が多いですが、ロンドンでは着こなしや服の見せ方に重きを置いている、そういった見せ方は近年日本の古着屋にも影響を与えていると思います。“古着屋”とはニュアンスが違うかもしれませんが、過去に『blue room』でポップアップを行った『Insidetag』や『Pastdown』は好きな物をとことん追求しています。その結果取り扱っていたブランドとコラボしたり、デザイナーが参考にする為に足を運んだりと良い効果を生んでいます。そういった動きは、僕らにとっても良い刺激になりますね。

D:ロンドンで僕が関わっている『194local』では、ヨーロッパ、アメリカ、日本のデザイナーをミックスした独自のラインアップを展開しています。でも東京だと、そういったカテゴリーごとに専門店が3〜5店舗は存在するイメージで、かなりセグメントが細かいですよね。とはいえ、ヴィンテージって本当に複雑で、結局みんな“自分の身の回りにないもの”を欲しがるんだと思います。だからこそ、日本のシーンには独特の魅力があります。僕自身、興味の幅がかなり広いので、東京に来ると誰も予想しないような超マニアックな店を回っては掘りまくっています。そういう予想外の出会いがあるのも、東京の面白さですね。

ロンドンの若者の服装に触れて、「これは日本にはないな」と驚いたポイントはありますか?

H:天候、音楽、スポーツなどのカルチャーがファッションに密接にリンクしていると思いました。特にAir Maxが本当によく生活に根付いているなと感じます。子供からお年寄りまでみんな普通に履くんです。Air Max 95なんかは日本が火をつけたモデルだと思っていますが、ロンドンではもっと身近な生活の一部となっている。靴への向き合い方の違いは日本と全く違うなと思いました。

D:ロンドンは、さまざまな美意識が混ざり合ったメルティング・ポットのような街で、どこか荒々しく、グライミーな空気が漂っています。若者たちは生活や仕事の面でも厳しい環境に置かれていることが多く、決して裕福ではありません。だからこそ、“今あるものをどう工夫して着るか”という発想が自然と生まれ、その中から独自のスタイルが育っていくんです。ある意味で、その姿勢は日本の若い人たちにも通じる部分があると感じています。限られた環境の中で、自分なりの表現を模索するカルチャーが、ロンドンにも東京にも確かに存在しています。

Sick Danさんの作品/作風に対して、Hatsukiさんが感じる魅力について教えてください。

H:彼の作品の好きな要素の一つはDIY精神です。Supremeやalways do what you should doでさえ彼の手にかかれば独自の物へと変化します。ジャンルは異なりますが僕の好きなイギリスのデザイナー ジュディ・ブレイム(Judy Blame)にも通づるものがある気がして。自分も何かやらなきゃという衝動に駆られます。彼とはロンドンやパリ、最近ではシドニーなど様々な国で会いましたがが、街を本当によく観察しています。一緒に歩いているとすぐに写真を撮っているんですよ。現地の人にとっては何気ない風景も彼にはインスピレーションを与える要素の一つなのでしょう。その視点から生まれる作品は唯一無二で彼にしか作れないと思います。彼のデザインしたパターンは一目で分かります。

今回のポップアップへ向けて日本のお客さんに一言お願いいたします。

D:今回のポップアップで、自分がこれまで取り組んできたクリエイションを日本の皆さんに直接お見せできることを、とても楽しみにしています。関心を寄せてくれているすべての方に、心から感謝しています。ぜひ『blue room』でお会いしましょう。

最後にお2人の展望について教えてください。

D:来週には『gallery commune』での書籍発売、さらに1月には『Waste!』でアートショーを開催します。また、すでにfive-one Issue 0.02のためのパターン制作にも取り組んでいます。日本はいつも私に大量のインスピレーションを与えてくれる場所なので、ぜひ注目してください!

H:お店を初めて以降、Danを含めたくさんの海外の友人ができました。かつて日本の裏原文化の中心いた人たちがマイケル・コッペルマンやフューチュラらと知り合って、世界が広がっていくのもこんな感じだったのかなって想像しています。『blue room』を通して今後も様々な人を日本で紹介する事が出来たらいいですね。

sick dan five-one ポップアップイベント
会場:blue room
住所:東京都渋谷区渋谷2-4-10 鈴木ビル102
会期:11月21日(金)-11月23日(日)
時間:13:00-20:00

Sick Dan
ロンドンを拠点に活動するイギリス出身のアーティストである。パターン、ブートレグ・カルチャー、DIY精神を軸に、「デジタルをフィジカルへと変換する」ことを主題とした作品を制作している。手作業に強くこだわったフィジカルな制作プロセスが特徴で、しばしば意図しない結果を生むこともあるが、それも含めて自身の表現の本質となっている。現在は、染色を施したウェア、ペインティング、ピンズといった作品群で知られている。

in HTML format, including tags, to make it appealing and easy to read for Japanese-speaking readers aged 20 to 40 interested in fashion. Organize the content with appropriate headings and subheadings (h1, h2, h3, h4, h5, h6), translating all text, including headings, into Japanese. Retain any existing tags from

カルチャーの熱が常に渦巻く街、イギリス・ロンドン。パンクが残してきた反骨精神、多国籍なコミュニティが生む混沌としたミックス感、そして限られた環境から己のスタイルを切り拓く若者たちのDIYマインド。それらが幾重にも層をなして混ざり合うことで、ロンドンは今もなお“新しいカルチャーを生み落とし続ける都市”として存在している。

そんな街で自らの表現を研ぎ澄ませてきたアーティストのひとりが、Sick Dan(シック ダン)だ。手染めによる衣類の制作から、巨大キャンバスへと広がるペインティング、さらにはデジタルとフィジカルを自由に往還する表現。その作風には、彼にしか成し得ないオリジナリティが溢れていた。

今回Sick Danは、新たなクロージングライン〈five-one(ファイブ–ワン)〉 をローンチする。同ブランドのテーマは、“パターンの開発”。各アイテムは彼自身の手でデザインされ、ロンドンのアトリエで1点ずつ手染めされたピースに加え、日本でプリントを施したシリーズも登場。パターン、カラー、構成、そのすべてが再生産なしの一点物として完結した、まさにアートピースとも呼ぶべきコレクションだ。それは、衣服という形式を通じて彼の思想と現在地を可視化する試みでもある。さらに今回のローンチに合わせ、東京・渋谷を拠点に独自のキュレーションで絶大な人気を誇るショップ『blue room』にてポップアップを開催。オーナーのHatsukiとSick Danが出会ったのはここ2年とのことだが、両者の根底に流れる“表現に対する姿勢”や“ものづくりの距離感”には明確な共鳴がある。アウトプットこそ異なるものの、どこか深いところで接続している、そんな関係性だ。

そこで『Hypebeast』は、Sick DanとHatsukiによる対談を実施。11月21日(金)〜23日(日)に行われるポップアップを前に、今回の〈five-one〉に込めた意図、ロンドンと日本という“島国同士”のクリエイティブのあり方の違い、そして2人が考える“表現”について語ってもらった。


本質を理解しているコアな人たちがおり、ロンドンと東京両都市の間には確かなつながりが育っています

Hypebeast:『Hypebeast』読者に向けて自己紹介をお願いいたします。

Sick Dan(以下D):イギリス出身で、現在はロンドンを拠点に活動しているアーティストのSick Danです。

Hatsuki(以下H):渋谷で『Blue room』という古着屋を営んでいるHatsukiです。

お2人の出会いを教えてください。また第一印象は?

D:今の時代らしく、最初の出会いはInstagramを通してでした。ただカルチャーそのものや、それをつくり上げている人たちへのリスペクトを共有していたことで、一気に距離が縮まったように感じています。実際に会ったとき、彼を“本物”だとすぐに分かりました。

H:そうですね、元々Instagramで繋がっていたんですけど何をしている方かは知らずにいたんです。そんな中、2023年にお店へ来てくれて、ようやく直接会うことができました。怖そうな人が来たと思いきや、とっても可愛らしい人物でした(笑)。僕が英語は全然話せないんですが、なんとなく好きな物の感覚が近いなという印象でしたね。その数カ月に僕も初めてロンドンに行ったんですが初日は1人で過ごさないといけなくて。その時に彼から連絡が来て街を案内してもらいました。『Waste!』や『194Local』、always do what you should doなどの人達ともその日に知り合いました。僕に最初にロンドンという街を教えてくれたのがDanです。

今回のポップアップにおけるテーマについて教えてください。

D:今回のポップアップは、僕の新ライン five-oneのローンチが大きなテーマになっています。これは僕自身のブランド 51ckから派生した新たなラインで、“パターンの開発”にフォーカスしました。展開するのは、キャップ、ビーニー、Tシャツ、フーディ、ワッフル、ワークシャツ、スウェットパンツなどのアイテム。それぞれのアイテムは数量限定で販売し、ロンドンのアトリエで僕が一点ずつ手染めしたもの、あるいは日本でChokkanによってプリントされたもののどちらかになります。パターンや色の組み合わせは、各アイテムごとに独自のものとなっていて、再生産は一切しません。全て一点ものになります。

『blue room』は日本でも人気の古着ショップかと思いますが、Danさんにとってはどのような印象ですか?

D:このコレクションを発表する場所として『blue room』以上の場所は考えられませんでした。初めて店を訪れたとき、すべてが腑に落ちたというか、自分がつくってきたものをここで見せるべきだと感じました。強くインスピレーションを受けましたし、過去が未来に影響を与えていく感覚を店の中で確かに感じました、たとえそれが偶然だったとしても。

ロンドンから見た日本、日本から見たロンドンのストリート・ファッションシーンの印象を教えてください。

H:昔からストリートスナップなどを見てロンドンに憧れていました。カウンターカルチャーから生まれたファッションが昔から根付いていて、僕もそのカルチャーに影響を受けています。近年だとスポーツ、テックに加え僕も好きなalways do what you should doやCorteizなどのストリートブランドがとても支持されています。現地に行ってもそれは感じました。クールで若いブランドが出てくる一方で、それらを追った似たようなブランドや店が溢れています。SNS社会の影響もあると思いますが、ロンドンのとある友人はそれを退屈と言っていたのが印象的です。そんな中でDanは、本当に特殊な存在です。似た格好の人は見たことがありません(笑)。自分のスタイルをちゃんと持っている。『WASTE!』の周りの人達は、その流れとは別の軸で動いていて見ていて楽しいです。どうか有名になりすぎず、程よくみんなに知って欲しいです。

D:両都市は互いの動きを理想化して見てしまうところがあって、その過程で本質がうまく伝わらないことも多いと感じています。ただ、本質を理解しているコアな人たちがおり、両都市の間には確かなつながりが育っています。

ロンドンは人と繋がるのがとても早いとお聞きします。『WASTE!』やalways do what you should doとの繋がりについて教えてください。

D:『WASTE!』は、僕自身ゆるく働いていることもあって、ロンドンに来れば高い確率で店にいると思います。アイテムの共同制作をしたり、僕のアートショーを開催させてもらったりと関係はかなり深いです。実は、店がオープンした当日もその場にいました。オーナーのジャック(Jack)とロイドン(Roydon)はずっと僕の挑戦を後押しし続けてくれる存在です。always do what you should doは、もはや“家族”に近い存在です。ニック(Nick)とは数年前にたまたま街中で偶然出会い、ステッカーやカルチャーの話で一気に距離が縮まりました。僕のことを心から理解してくれた最初の人のひとり。いつも僕のビジョンを支持してくれるので、一緒にアイテムをつくるときも本当にスムーズでしたし、制作に関して完全な自由を与えてくれました。ニックは、本当にリスペクトしています。

Sick Danさんが展開する51ckは、元々はどういったプロジェクトなのでしょうか?

D:51ckは、もともとステッカーから始まり、その後ZINEになり、ビーニーになり、そして現在のブランドという形へと発展していったものです。僕自身、この51ckを“自分のアートのためのマーチブランド”だと捉えています。アーティストを応援したいと思ったら、展示でマーチを買って身につけてもらう、そんな感覚です。グラフィックもリファレンスも、いい意味で“ジャンク”でラフなものばかり。ただ、自分が好きなものをつくりたいだけで、それを気に入ってくれる人がいるのは本当にありがたいことだと思っています。そして今回の新ラインでは、よりクオリティを高め、タイダイやパターン開発でどこまで可能性を広げられるのかを示したいと考えています。

今までのキャリアの中で、価値観を大きく変えた“1着”もしくは“1作品”があれば教えてください。

D:タイの『den souvenir』での個展のために制作した、全長11メートルの巨大ペインティングですね。部屋を丸ごと包み込むようなサイズで、作品の世界観が空間全体に広がる体験は、自分の表現のスケールを大きく押し広げてくれました。さらに、彼らはその絵をカットソーのジーンズに仕立ててくれました。それは、私のプロジェクトにどれだけのスケール感をもたらせるかを示しただけでなく、服に応用できることも示してくれた、自分のプロジェクトが持つ可能性を改めて実感した瞬間でした。

最近はどういったもの・ことからインスピレーションを受けましたか?

D:一番のインスピレーション源は、身近にいる人たちです。まず、ネイルアーティストである恋人のゾーイ(Zoey)の存在。Nailedbyzoeyという名前で活動する彼女は毎日3人のクライアントに10枚ずつ、合計30枚のミニキャンバスに絵を描いています。パターンを生み出す発想や、レイヤーの重ね方、そのすべてが圧倒的で、しかも最終的には“外されてしまう”という儚さまで含めて、本当にクレイジーで尊敬しています。そして、友人であり頻繁にコラボレーションもしている『GEEK OUT STORE』のChokkanも大きな存在です。日本に来るたびに彼のスタジオを訪れて作品や新しいプロジェクトを見せてもらうのが楽しみなんです。彼の多くのイベントにお客として伺えたことは、本当に幸運でした。彼の作品が発展していく様子を見られたことは光栄です。2人とも、常に自分を高めてくれる存在ですね。

Hatsukiさんは最近ロンドンに行かれたとのことですが、現地の古着市場と東京の古着屋文化の違いをどう感じましたか?

H:Danが現在働いている『194 Local』を初めて知った時は衝撃でした。日本だと年代や背景が古着に置いて重要視される事が多いですが、ロンドンでは着こなしや服の見せ方に重きを置いている、そういった見せ方は近年日本の古着屋にも影響を与えていると思います。“古着屋”とはニュアンスが違うかもしれませんが、過去に『blue room』でポップアップを行った『Insidetag』や『Pastdown』は好きな物をとことん追求しています。その結果取り扱っていたブランドとコラボしたり、デザイナーが参考にする為に足を運んだりと良い効果を生んでいます。そういった動きは、僕らにとっても良い刺激になりますね。

D:ロンドンで僕が関わっている『194local』では、ヨーロッパ、アメリカ、日本のデザイナーをミックスした独自のラインアップを展開しています。でも東京だと、そういったカテゴリーごとに専門店が3〜5店舗は存在するイメージで、かなりセグメントが細かいですよね。とはいえ、ヴィンテージって本当に複雑で、結局みんな“自分の身の回りにないもの”を欲しがるんだと思います。だからこそ、日本のシーンには独特の魅力があります。僕自身、興味の幅がかなり広いので、東京に来ると誰も予想しないような超マニアックな店を回っては掘りまくっています。そういう予想外の出会いがあるのも、東京の面白さですね。

ロンドンの若者の服装に触れて、「これは日本にはないな」と驚いたポイントはありますか?

H:天候、音楽、スポーツなどのカルチャーがファッションに密接にリンクしていると思いました。特にAir Maxが本当によく生活に根付いているなと感じます。子供からお年寄りまでみんな普通に履くんです。Air Max 95なんかは日本が火をつけたモデルだと思っていますが、ロンドンではもっと身近な生活の一部となっている。靴への向き合い方の違いは日本と全く違うなと思いました。

D:ロンドンは、さまざまな美意識が混ざり合ったメルティング・ポットのような街で、どこか荒々しく、グライミーな空気が漂っています。若者たちは生活や仕事の面でも厳しい環境に置かれていることが多く、決して裕福ではありません。だからこそ、“今あるものをどう工夫して着るか”という発想が自然と生まれ、その中から独自のスタイルが育っていくんです。ある意味で、その姿勢は日本の若い人たちにも通じる部分があると感じています。限られた環境の中で、自分なりの表現を模索するカルチャーが、ロンドンにも東京にも確かに存在しています。

Sick Danさんの作品/作風に対して、Hatsukiさんが感じる魅力について教えてください。

H:彼の作品の好きな要素の一つはDIY精神です。Supremeやalways do what you should doでさえ彼の手にかかれば独自の物へと変化します。ジャンルは異なりますが僕の好きなイギリスのデザイナー ジュディ・ブレイム(Judy Blame)にも通づるものがある気がして。自分も何かやらなきゃという衝動に駆られます。彼とはロンドンやパリ、最近ではシドニーなど様々な国で会いましたがが、街を本当によく観察しています。一緒に歩いているとすぐに写真を撮っているんですよ。現地の人にとっては何気ない風景も彼にはインスピレーションを与える要素の一つなのでしょう。その視点から生まれる作品は唯一無二で彼にしか作れないと思います。彼のデザインしたパターンは一目で分かります。

今回のポップアップへ向けて日本のお客さんに一言お願いいたします。

D:今回のポップアップで、自分がこれまで取り組んできたクリエイションを日本の皆さんに直接お見せできることを、とても楽しみにしています。関心を寄せてくれているすべての方に、心から感謝しています。ぜひ『blue room』でお会いしましょう。

最後にお2人の展望について教えてください。

D:来週には『gallery commune』での書籍発売、さらに1月には『Waste!』でアートショーを開催します。また、すでにfive-one Issue 0.02のためのパターン制作にも取り組んでいます。日本はいつも私に大量のインスピレーションを与えてくれる場所なので、ぜひ注目してください!

H:お店を初めて以降、Danを含めたくさんの海外の友人ができました。かつて日本の裏原文化の中心いた人たちがマイケル・コッペルマンやフューチュラらと知り合って、世界が広がっていくのもこんな感じだったのかなって想像しています。『blue room』を通して今後も様々な人を日本で紹介する事が出来たらいいですね。

sick dan five-one ポップアップイベント
会場:blue room
住所:東京都渋谷区渋谷2-4-10 鈴木ビル102
会期:11月21日(金)-11月23日(日)
時間:13:00-20:00

Sick Dan
ロンドンを拠点に活動するイギリス出身のアーティストである。パターン、ブートレグ・カルチャー、DIY精神を軸に、「デジタルをフィジカルへと変換する」ことを主題とした作品を制作している。手作業に強くこだわったフィジカルな制作プロセスが特徴で、しばしば意図しない結果を生むこともあるが、それも含めて自身の表現の本質となっている。現在は、染色を施したウェア、ペインティング、ピンズといった作品群で知られている。

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