1 ノラ・トゥラトの個展「pool7」を体験する

ノラ・トゥラトの個展「pool7」を体験する

ノラ・トゥラトの個展「pool7」について

ロンドンのICAでノラ・トゥラトの個展「pool7」に入ると、自分の心と視線を自由にさせずにはいられません。メインギャラリーの壁には、白いA4用紙が張り巡らされ、編集されていない思索が記されています。「fiona appleについて考えて、彼女が私にとってどれだけ意味を持っていたか」というようなものや、「haha ur not perfect dont worry ur not」といった言葉が目に留まります。ArtReviewに掲載されたエッセイは、この作品を気まぐれな注意散漫な人物の心の中に入り込んでいると表現し、次々と思考が移り変わる中で、別の用紙に目が移るたびに適切なように感じます。このテキストは、アーティストの内面的な対話として読まれるかもしれませんが、デフォルトのサンセリフ体で書かれており、痛烈に共感できる叫びから詩的な質問まで広がり、時には少し無意味で、ほとんど息の詰まるような心の吐露のように感じられます。

ノラ・トゥラトさんとのZoom会話

Zoomでの会話で、アーティストにこの苛立ちの感覚について尋ねました。彼女はそれを軽く受け流しました。「この作品を作ってギャラリーに設置しているとき、少し狂っているように感じました。本当に強烈でした。しかし、ショーが開かれ、すべての作品がそこに展示され、突然、それを感じなくなりました」とトゥラトは語ります。「何かを解決するためにアートを作り、それを解決した後でも、作品はまだそこにあるので、少し奇妙な感じがします。その感情を探り続けたいと思っていますが、もうそれに窒息するような感じはしません。」

ICAの作品について

トゥラトの率直さは爽やかで、ICAの作品に示唆されています。ここでは、テキストベースのシリーズに加えて、pool7: Logical Freezeとpool7という名のオーディオインストールと、8つのスクリーンに分割されたマルチチャンネルビデオ作品が展示されています。オーディオはほぼ真っ暗な部屋に収められており、アーティストの声が様々な周波数と速度で言葉を繰り返し、物理性を喚起し、私たちがどのようにコミュニケートするかの微妙なニュアンスを強調しています。ビデオでは、どんな後処理も施されておらず、アーティストが首を前後に回し、口をできる限り大きく開け、腕を振る様子が映し出されています。これは、彼女が「体の薄れゆく知恵」と呼ぶものに向かおうとする試みであり、文化的な規範から解き放たれた場合、人間がスピーチや身体の動きを通じてどのようにコミュニケートできるかを探ろうとしています。「人間のコミュニケーションの非常に小さな割合が言葉に依存しており、姿勢、トーン、そして私たちの体が空間内でどのように移動するかが、実際にはより多くのメッセージを送っている」と彼女は説明し、この作品が言葉が音調とエネルギーを通じて満たされる様子を見ることに投資していることを強調しています。

理論への依存は少しばかげています。多分それは、私たちが人間であるからで、私たちは状況をコントロールしたがり、不快な状況から考え方で脱出しようとすることが好きであり、私はそれに反対ではありませんが、バランスが必要だと思います。感覚を許容しなければなりません。

– ノラ・トゥラト

アーティストの以前の作品と比較して、pool7ははるかに日記的です。以前の「pools」では、トゥラトはニュースレポート、文学、広告、オンラインコンテンツから見つけたテキストを集め、これらを書籍形式で再編成し、一部のフレーズを大規模なインスタレーションに使用し、壁に散らしました。この作業は、言語のタイムカプセルに変容し、後期資本主義の言語の傾向と絶えず変化するデジタルスピークを強調しています。pool7では、オーディオ録音と未編集のテキストを通じて言語とコミュニケーションを取り戻そうとしています。「私の実践では、自分自身との関係を築き始めており、これが無意識にアートを始めた理由からフィードバックされていると思います。それは、失われたものを見つけ出すためにアートを創作し始めたのが最初であり、私は少しずつ自分の言葉のように感じる言葉を使い始められるようになったと感じています。このpoolでは、私が言いたいことに興味を持ち、外界が私に何を言っているかを考えることはなかった」とトゥラトは語ります。